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ジャンピングふるさと 高知県高知市 さとびと

「一緒に食べる・一緒に笑う」
高知県内に広がる「子ども食堂」

高知家(こうちけ)子ども食堂

地域の子どもたちに食事や居場所を提供する「子ども食堂」。
NPO法人や地域のボランティアによって運営され、その数は現在、全国で2,200カ所を超える。
高知県内でも多様な形で広がりつつあり、食事を提供する場所としてだけでなく、
「保護者の孤立感や負担感を軽減する場」「地域で子どもを見守る場」としての機能も期待されている。

高知県では昨年から、県内全域へ取り組みを広め、活動をさらに充実させるための積極的なサポートが始まった。

県全体で「子ども食堂」の持続と拡大を目指す

子どもたちが一人でも訪れることができ、無料または数百円で食事ができる「子ども食堂」。地域で子どもたちを見守る場として全国的に定着してきた取り組みだ。だが、無償で取り組む団体がほとんどのため、継続して活動することが困難な場合も多いという。そういった状況をいち早く察した高知県では、昨年から支援することを決定し、子ども食堂を県内全域に広めるためのサポートを開始。県に基金を創設し、趣旨に賛同する個人や企業からの寄附を募り、立ち上げや活動に要する経費の助成を行った。また、子ども食堂を運営する人同士が互いに課題を持ち寄り、交流を深めつつ解決方法を話し合う場を設けたりしている。その他にも、スクールソーシャルワーカーや民生児童委員などと連携して、子ども食堂の取り組みを進めている。

「県としてもまだ手探りの状態です。少しずつ改善することで、子どもたちがもっと足を運びやすくするのが目標」と高知県地域福祉部の掛水隆司(かけみずたかし)さん。子ども食堂が継続運営できるよう応援するのが県の役割だと位置付けているという。

現在、県内で把握している子ども食堂の数は、55団体64カ所(8月末現在)。全国的にも多いという。「活発な活動の背景には、自分たちが“なんとかせな”という高知の県民性があるのかもしれません。困っている人がいると、いても立っても居られず“ほっとけん”と手を貸したくなる人が多いんです。子ども食堂に関わる人たちの熱い思いを大事にしつつ、行政として支援したい」と掛水さんは話す。

子どもの居場所づくりネットワーク会議
県内各地の子ども食堂に関わる人たちが参加する「子どもの居場所づくりネットワーク会議」。「食料の調達が大変」など、現場ならではの声が飛び出す
高知県地域福祉部の掛水さん
「誰もが訪れやすい居場所をつくることで、本当に支援が必要な子どもも来やすくなるはず」と高知県地域福祉部の掛水さん

地域を元気にする新しいコミュニティの形

団体によってスタイルも運営方針もさまざまな子ども食堂。活発に取り組む団体の中でも特徴的な二つの子ども食堂を訪ねた。

「こども食堂こうち実行委員会」は、高知市内の3カ所で子ども食堂を運営。その一つ「水曜校時カフェ」は、毎週水曜日16時から19時まで開く。1カ月で延べ200人もの子どもが訪れる。食材の多くは企業などからの支援で賄うが、その時々で食材が異なるため、スタッフは昼過ぎに集合し、メニューを考えるという。地域での居場所づくりをコンセプトにしているこちらは、さまざまな年齢層の人たちが集い、バイキング形式の食事を楽しみながら、自由に交流を図るのが特徴だ。「準備の大変さよりも自分の家に帰ってきたような子どもの笑顔に癒されますね」と代表の秦泉寺(じんぜんじ)あやさんは言う。

同じく毎週水曜日16時半から20時まで開かれている「えいや家(か)」は、「NPO法人GIFT」が子どもを中心とした地域の居場所として開設。ボランティアの高校生や大学生から勉強を教えてもらったり、食事の準備をしたりと自由に過ごした後に、みんなで一緒に食事をするのがこちらのスタイル。「お姉ちゃんたちと料理するのが楽しいから!」と率先して手伝う子や「先週来て楽しかったから、今日は友達も連れてきた!」と友達同士で連れ立ってくる子も多い。事務局長の眞鍋大輔さんは、子どもたちにとって自分の居場所として実感できる場所であると同時に、社会のルールを学んでいく場でもあってほしいと話す。

多くのサポートによって、子どもたちの笑顔が増え、それにより地域そのものが元気になっていく。子ども食堂は、まだ芽吹いたばかりの新しいコミュニティだが、今後、地域に欠かせない存在として広がっていくだろう。

「えいや家」は老人ホームの共同スペースで開催。
「えいや家」は老人ホームの共同スペースで開催。広い部屋で大学生スタッフと思い切り遊ぶのもかけがえのない経験
「えいや家」での調理の様子
「えいや家」での調理の様子。カレーライスなど、子どもたちも一緒につくれるようなメニューが多いそう
「水曜校時カフェ」のボランティアスタッフは年齢もさまざま。中学生から年配の方までが、自分にできることをできる範囲で続けている
「水曜校時カフェ」のボランティアスタッフは年齢もさまざま。中学生から年配の方までが、自分にできることをできる範囲で続けている

お問い合わせ

こども食堂こうち実行委員会
電話番号 090-3988-4120
メール kodomoshokudo.kochi@gmail.com
URL https://www.facebook.com/kodomoshokudo.kochi/
『水曜校時カフェ』
『こだかさカフェ』

● 『水曜校時カフェ』 毎週水曜日16:00〜19:00

● 『こだかさカフェ』 第2日曜日11:30〜14:30

場所:高知県高知市中万々2-47 地域交流センター城北 2F

『わっカフェ』

● 『わっカフェ』 第4日曜日毎週水曜日11:30〜14:30

場所:高知県高知市吉田町6-6 コープよしだ 2F

『帯カフェ』

● 『帯カフェ』 第1・3土曜日14:00〜17:00

場所:高知県高知市帯屋町1丁目13-24 帯屋町商店街 室戸屋ジロー 3F

NPO法人GIFT
電話番号 090-6280-5500
メール npogift.dream@gmail.com
URL https://npo-gift.com
『えいや家』

● 『えいや家』 毎週水曜日16:30〜20:00

場所:高知県高知市神田1068-1 老人ホーム あっとホーム 1F