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ジャンピングふるさと 新しい学びを実践する場で 未来への"鍵"を見つけよう 新しい学びを実践する場で 未来への"鍵"を見つけよう
毎週日曜日に開かれる「部会」は、一人ひとりの活動の進捗や近況の報告からスタート。モニター越しのメンターや見学に訪れたゲストもそれぞれの日常や活動について説明するフランクな雰囲気

新しい学びを実践する場で
未来への"鍵"を見つけよう

みとよ探究部

高松市、丸亀市に次いで県内で3番目に人口が多く、
父母ヶ浜や紫雲出山などの観光名所でも知られる香川県三豊市。
地域を挙げて教育機会の提供にも力を入れている同市で
2021年(令和3)からスタートしたのが、
市内全域の中高生なら誰でも参加できる「みとよ探究部」。
昨今、教育改革のキーワードとして注目され、
今後さらに必要とされていく「探究学習」の実践の場を紹介する。

みとよ探求部
三豊市 父母ヶ浜 紫雲出山 粟島 香川県

教育改革のキーワード「探究」を実践する機会

「みとよ探究部(以下:探究部)」は、三豊市教育委員会が主催する学校横断型の部活動として2021年(令和3)に誕生した。子どもたちが地元の産業や仕事のことを自ら見て聞いて深く学ぶと同時に、それぞれが興味を持ったテーマについて主体的に学ぶ学習の場として設けられたもので、現在は中学1年生から高校3年生まで11人が所属する。

運営するのは、地域の大人たち。中心となるのは、東京大学で言語学を研究してきた経験を生かして三豊市の教育推進に貢献する小玉祥平さんと、慶應義塾大学在学中に「探究部」のカリキュラムをつくるために三豊市に移住した田島颯さん。「地域と関わるうちに三豊市が好きになった」と地域に根を下ろした2人を中心に、東京や沖縄で活動する大学生も、子どもたちの活動をサポートするメンターとしてオンラインで参加している。

活動の柱は大きく分けて2つ。一つ目の活動は「まちあるき」と呼ばれるフィールドワーク。探究のお手本となる地域の大人たちがガイド役となって一緒に街を歩き、地元で活躍する大人の生き方や働き方について理解を深めるというもの。これまで、観光でにぎわう仁尾町で飲食店や旅館を経営する方とともに父母ヶ浜などの観光スポットを歩いたり、建築設計事務所やゲストハウスを訪れて設計やデザインについて考えたりと、さまざまな活動を行っている。「中高生の時期に多様な大人と関わることは未来の可能性を広げてくれるはず」と小玉さん。「課題解決のために常に模索しながら計画を立て実践している大人と関わることが、自分自身の興味関心や問題意識につながる」と田島さんも言う。

探究部のメンターである小玉さん(左)と田島さん。自分の経験やキャリアをもとに、アドバイスやフィードバックを行うメンターは探究学習には欠かせない存在
昨年秋に行われた「まちあるき」では、建築デザイナーとともに飲食店やゲストハウスを訪問。「どんな人に来てもらいたいか」などの疑問を整理した
取材日のゲストは、東京大学と慶應義塾大学のゼミの合同プロジェクト「劇団遊学生」のメンバー。「他の人が取り組んでいる活動の内容や取り組み方針を聞くことも、プロジェクトづくりのヒントになる」と、ゲストとの時間も大切にしている

自分で考えて自分で進行そのワクワクこそ「探究」

二つ目の活動は「部会」と呼ばれる個別プロジェクトだ。生徒一人ひとりがそれぞれワクワクするテーマを設定し、そのテーマに沿って個別のマイプロジェクトを進めていく。一人ひとりテーマが違い、深めていく内容も学ぶ速度も違うため、その生徒の進捗に合わせられるように、小玉さん、田島さんと大学生メンターがマンツーマンで探究をサポートする。オンラインを取り入れることで、幅広い地域の大学生にサポートしてもらえるのは大きなメリットだという。「僕らはあくまでも、中高生と協力しながら、プロジェクトの進め方を共に考える伴走者。そもそも明確な正解がないテーマばかりなので、僕らにも答えが分からないですから」と田島さん。大人の協力を得ながら、自分なりに答えを出していく、そこに活動の意味があるという。半年ごとに行っている成果発表会でのプレゼンや質疑応答も、中高生ではなかなか体験できない機会だ。探究学習に興味があったことから参加したという中学生は「人と人とをつなぐことも、自分が人とつながることもどちらも楽しい」と全国の小中高生とつながる探究学習のコミュニティをオンライン上で運営している。また、「訪れるうちに粟島が好きになった」と話す高校生は、関係人口を増やすためにまずは粟島ファンをつくろうと企画を立てている。

コミュニケーション力や表現力、協力しながら課題を解決していく力、探究し続ける力を身につけ、どんどん成長していく部員たち。そして「中高生と一緒に取り組むことで見えてくることも多い。僕らも一つひとつチャレンジしていければ」と小玉さんと田島さん。今後、さらに地域の学校と連携し、部員を増やしていきたいという。大人も中高生も探究は続いていく。

半年ごとに学習の成果を発表する「成果発表会」では、一人ずつプレゼンを行う
発表会を翌週に控えたこの日は5人の部員(前列)が参加。東京と沖縄の大学生メンターに加え、大学生などのゲストも飛び入りで活動に参加

お問い合わせ

みとよ探究部
住所 香川県三豊市高瀬町下勝間2373番地1
電話番号 0875-73-3131(三豊市教育委員会)
メール tanq@mitoyo-edu.com