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四国各地には、さまざまな魅力を持った「e」場所があります。

そこは、電気(electricity)を

うまく活用している場所でもあります。

その気になるポイントを訪ねる「eしこく探訪」。

隠れた魅力のヒミツに迫ります。

四国各地には、さまざまな魅力を持った「e」場所があります。そこは、電気(electricity)をうまく活用している場所でもあります。その気になるポイントを訪ねる「eしこく探訪」。隠れた魅力のヒミツに迫ります。

佐田岬はなはな
「佐田岬はなはな」は、大分県佐賀関と伊方町三崎を結ぶフェリーターミナルが隣接した絶好のロケーションにある。
海に向かって細長く伸びた屋根は、愛媛県産のスギ材の梁(はり)を重ねた独特の構造となっている

次世代エネルギーの活用と
人と人との交流を図るモデルケース

伊方町観光交流拠点施設
「佐田岬はなはな」

宇和海の眺望と新鮮な海の幸

四国最西端、佐田岬半島に位置する伊方町。半島の先端、鼻に建つことから名付けられた「佐田岬はなはな」は、人と人との交流の輪を広げる拠点施設として、2020年(令和2)5月、リニューアルオープンしました。既存の観光案内所を基盤に、地場の海産物を取り扱う直売所やレストラン、カフェなどを新たに拡充しました。

目の前の宇和海の景色も、リニューアル以前は、津波対策として護岸がかさ上げされていることから、視界が遮られていました。これを解消するため、新たな建物は、背後の三崎集落から海に向かって徐々に高くし、集落と宇和海が線状につながるよう設計されています。

「私は子どもの頃から、海が見えるのは当たり前という環境で育ちました。ところが、リニューアル前の現場に立って、堤防で海が見えないことにびっくり。何としても、ここに来られる方には、海を見ながら新鮮な魚介類を堪能してもらいたいとの思いが実現しました」と佐々木伊津子支配人。

三崎港を一望できる絶景のレストラン。特に海の見えるテラス席は最高の眺めで、晴天の日には九州が見える
特産のしらす商品に加え、店内のいけすでは、活きの良い伊勢海老やサザエを販売。いけすで選んだ伊勢海老をレストランで食べることもできる
「海を眺め、潮風を感じながら食事を楽しんでもらえます。潮の香りもおかずの一品です」と佐々木支配人

地域特有の「地中熱」「青石」を利用した冷暖房設備

「佐田岬はなはな」は、敷地周辺の地質の特徴を生かし、「地中熱」システムを導入しています。「地中熱」とは、地下の安定した熱を利用した再生可能エネルギーのこと。地下約100mから、低温の熱エネルギーを取り出し、建物内の冷暖房設備に利用しています。さらに、蓄熱性能の高い愛媛県産の「青石」を積み上げて石垣を作り、そこに冷水や温水を循環させて冷暖房を行う、石垣放射冷暖房設備を導入しています。

「建物内の空調に地中熱を利用したり、青石を利用したりと、設計段階から驚くようなことばかりでしたが、建物が完成し、思った以上の心地よい室内環境に、さらに驚きました」と佐々木支配人。

売店スペースやギャラリーには、パネル式放射冷暖房設備も設置しています。鉄製のパネルに水を循環させて熱を放射し、室温を調整しています。直接体に風が当たらないため、実に穏やかで心地よい環境が整っています。

「徹底した省エネルギーと、次世代エネルギー『地中熱』の導入は、観光施設としては、あまり例がないと思います」と話す佐々木支配人。こうした創意と努力が評価され、「佐田岬はなはな」は、中四国で初めて「Nearly ZEB(※)」認証を取得しました。

※「Nearly ZEB」とは「Nearly Net Zero Energy Building」の略称で、省エネと再生可能エネルギーの導入により、建物で使用する一次エネルギーを従来の25%以下に削減することを目指した建物のこと

佐田岬をイメージした細長い通路の壁には、愛媛県産の青石がもつ蓄熱性能を利用した冷暖房設備を導入している
地中熱利用の高効率ヒートポンプチラー。冷暖房用の冷水・温水を製造するための装置
夏は冷水、冬は温水を放射パネル内に循環させている

高級食材と電化厨房のコラボレーション

観光客のお目当ては海の見えるレストランでの食事です。しらす丼(釜揚げ・生)に海鮮丼、期間限定の伊勢海老を丸ごと使った料理など、鮮度抜群の海の幸を存分に味わうことができます。

これらの調理を一手に引き受ける與品(よしな)直人料理長は、電化厨房について、「IHは使い慣れておらず、導入時は少し不安でしたが、いざ使ってみると操作が簡単で、火力も申し分なし。特にスチームコンベクションオーブンは一度に多量の調理ができ、何より掃除が楽です。火を使わないことで、厨房環境が一変しました」と笑みをこぼします。

宇和海は、伊勢海老やウニ、サザエといった高級食材が豊富。「海士(あまし)」と呼ばれる男性が素潜り漁の腕を競い、一本釣りの漁師が活躍しています。佐々木支配人の「伊方町では水産業は文化です」の言葉にうなずけます。

「佐田岬はなはな」は、次世代エネルギーの活用と人と人との交流を実現させた“伊方モデル”の手本といえます。

「期間限定の伊勢海老料理も、スチームコンベクションオーブンだと、調理方法を数値化できるので、スタッフが代わっても変わらぬ味を提供できます」と松本拓海さん
人気のしらす御膳は、名物のしらす丼、しらすかき揚げ、海老と旬の天ぷら、味噌汁と盛りだくさん
海鮮丼は宇和海で獲れた旬の海の幸を贅沢に盛り付け
揚げ物もIHフライヤーだと温度を選ぶだけでカラッとした食感に仕上がる
宇和海に向かって広がる広場にある、青石の石垣をモチーフとしたモニュメント。正面からは「はなはな」、横からは「だんだん(伊予弁でありがとう)」と見え方が異なる
伊方町観光交流拠点施設 佐田岬はなはな
住所 愛媛県西宇和郡伊方町三崎1700-11(三崎港フェリー乗り場横)
電話番号 0120-133-004
URL https://www.shirasu.jp/park/