平成15年2月10日
四国電力株式会社
伊方発電所における通報連絡事象(平成15年1月分)および
通報連絡事象に係る報告書の提出(平成14年12月分他)について
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平成15年1月に、当社から愛媛県および伊方町に通報連絡した事象は以下の4件です。
これらの事象は、法律・通達に基づく報告事象に該当するものではなく、また、環境への放射能の影響もありませんでした。 |
事 象 |
発生月日 |
発表月日 |
1.伊方1号機 |
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湿分分離加熱器マンホールからの漏えいについて |
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1月4日 |
─ |
2.伊方3号機 |
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使用済燃料ピットエリアモニタの不具合について |
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1月6日 |
1月6日 |
3.伊方1・2号機 |
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純水装置真空脱気器ポンプ出口流量計からの漏えいについて |
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1月24日 |
─ |
4.伊方2号機 |
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定期検査中の加圧器逃がし弁の誤動作について |
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1月29日 |
1月30日 |
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平成14年12月において発生した通報連絡事象および1月29日に発生した伊方2号機定期検査中の加圧器逃がし弁の誤動作について、その後の調査結果を踏まえた原因と対策をとりまとめ、愛媛県および伊方町に報告書を提出いたしました。 |
事 象 |
発生月日 |
発表月日 |
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12月16日 |
1月10日 |
2.伊方3号機 |
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復水器ボール洗浄装置制御装置の不具合について |
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12月26日 |
1月10日 |
3.伊方2号機 |
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定期検査中の加圧器逃がし弁の誤動作について |
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1月29日 |
1月30日 |
(別紙1)伊方発電所における通報連絡事象の概要(平成15年1月分)
- 伊方1号機 湿分分離加熱器マンホールからの漏えいについて
- 伊方3号機 使用済燃料ピットエリアモニタの不具合について
- 伊方1・2号機 純水装置真空脱気器ポンプ出口流量計からの漏えいについて
(別紙2)伊方発電所における通報連絡事象の報告書概要(平成14年12月分他)
- 伊方1・2号機 海水電解装置の不具合について
- 伊方3号機 復水器ボール洗浄装置制御装置の不具合について
- 伊方2号機 定期検査中の加圧器逃がし弁の誤動作について
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以 上
伊方発電所における通報連絡事象の概要(平成15年1月分)
1.伊方1号機 湿分分離加熱器マンホールからの漏えいについて
1月4日4時10分頃、通常運転中の伊方1号機において、湿分分離加熱器Bのマンホール付近から微少な蒸気の漏えいがあることを運転員が発見した。
調査の結果、マンホールを締め付けているボルト付近から漏えいしていることが確認されたため、マンホールを締め付けているボルトを増し締めし、1月4日7時10分、蒸気の漏えいを停止した。
[湿分分離加熱] |
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高圧タービンで使用した蒸気を低圧タービンで効率的に使えるように、蒸気の湿分を取り除き、温度を上げる設備。(4基設置) |
2.伊方3号機 使用済燃料ピットエリアモニタの不具合について
1月6日4時32分、通常運転中の伊方3号機において、使用済燃料ピットエリアモニタの指示値上昇を示す信号が発信した。
調査の結果、使用済燃料ピットエリアの放射線レベルに異常はなく、当該エリアモニタの検出器の不具合であることが確認されたため、当該検出器を取り替え、1月6日9時10分、通常状態に復旧した。
[使用済燃料ピットエリアモニタ] |
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使用済燃料ピットエリアの放射線レベルを常時測定するために設置しているモニタ。
検出器、信号処理回路、記録計、表示器、警報回路等で構成されている。 |
3.伊方1・2号機 純水装置真空脱気器ポンプ出口流量計からの漏えいについて
1月24日14時頃、通常運転中の伊方1・2号機純水装置エリアにおいて、真空脱気器ポンプの出口配管に設置している流量計付近から漏えいしていることを保修員が発見した。
調査の結果、当該流量計のサイトグラス(アクリル製)に、き裂が生じて当該部から漏えいしていたことが判明した。このため、当該流量計を仮設の流量計に取り替え、1月29日13時45分、真空脱気装置が異常なく運転できることを確認した。
また、新品の流量計を手配の上、入荷次第、取り替えることとする。
[真空脱気器ポンプ] |
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真空脱気装置の構成機器の一つであり、真空脱気塔を通過した純水を1次系純水タンクに送水するポンプ。
真空脱気装置は、真空脱気により溶存酸素を除去する装置。
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伊方発電所における通報連絡事象の報告書概要(平成14年12月分他)
1.伊方1・2号機 海水電解装置の不具合について
○事 象
12月16日15時11分、伊方1・2号機の共用設備である海水電解装置の異常を示す信号が発信し、当該装置が自動停止した。
点検の結果、整流器冷却ファンの下部軸受けに不具合が発生し、当該ファンの負荷が増加して保護装置が作動したものと判明した。このため、当該ファンを取り替え、12月19日16時7分、通常状態に復旧した。
○原 因
調査の結果、当該軸受けの製造時の個体差および運転条件に起因し、当該冷却ファンの軸受けが通常よりも早く寿命に到達したものと推定される。
○対 策
整流器冷却ファン一式を新品に取り替えた後、海水電解装置を運転して異常のないことを確認した。
2.伊方3号機 復水器ボール洗浄装置制御装置の不具合について
○事 象
12月26日0時51分、通常運転中の伊方3号機において、復水器ボール洗浄装置による復水器の洗浄を実施していたところ、当該装置の異常を示す信号が発信し、洗浄途中で自動停止した。
点検の結果、復水器ボール洗浄装置制御盤内の制御信号出力カードに不良があるものと判明した。このため、当該カードを予備品に取り替え、13時22分、当該装置を運転して異常のないことを確認した。
○原 因
調査の結果、制御信号出力カードの構成部品(ICチップ)の故障により、当該カードからの出力信号が異常となったため、当該カードに制御されている機器が正常な動作をしなくなり、当該装置が自動停止したものと推定される。
○対 策
運転中の故障に対応するため、今後とも当該カードの予備品を常備しておく。
3.伊方2号機 定期検査中の加圧器逃がし弁の誤動作
○事 象
第16回定期検査中の伊方2号機において、プラント運転停止後の1次冷却材の脱ガス運転を行っていたところ、1月29日14時19分、1次冷却材ポンプ、加圧器逃がしタンク等の運転パラメータの異常を示す警報が発信するとともに、1次冷却系統の圧力が約28kg/cm2から約2kg/cm2まで低下した。
このため、運転中の1次冷却材ポンプB号機を手動で停止するとともに、原因調査を行った結果、同日実施していた加圧器圧力回路試験(以下、「当該作業」という。)において入力した模擬信号により、本来閉止状態にあるべき加圧器逃がし弁2台が一時的に開状態となり1次冷却材が加圧器逃がしタンクに流入し、1次冷却系統の圧力が低下したことが判明した。
その後、1次冷却系統の圧力を当初の圧力まで回復させて系統の健全性を確認した後、1次冷却材ポンプA号機を起動し、1月30日7時15分、正常状態に復旧した。なお、本事象による周辺環境への放射能の影響はなかった。
○調査結果
(1)1次冷却系統圧力低下原因の調査
1次冷却材の圧力が設定値まで上がると、加圧器逃がし弁(以下「逃がし弁」という。)が自動的に開になる状態(自動待機状態)において、当該作業を実施したことから、当該作業において入力した模擬信号により逃がし弁が一時的に開状態となり、1次冷却系統の圧力が低下した。
なお、これまでの定期検査において当該作業は、逃がし弁が自動待機状態でない時期に実施していたが、今回の定期検査においては、点検作業の平準化を図る観点から、従来よりも早い時期に実施するよう計画を変更した。
(2)逃がし弁が自動待機状態において当該作業が実施された原因の調査
保守業務を担当した保修員および運転業務を担当した定検班員等から聞き取り調査を行った結果、逃がし弁が自動待機状態において当該作業が実施された原因は、以下のように考えられる。
- 当初計画段階においては、保修員および定検班員は、従来どおりの時期に当該作業を実施する予定であったことから逃がし弁を動作させない措置に係る記載は不要と考えて隔離操作票を作成した。また、作業許可申請書および隔離操作票は、具体的な作業内容がわかりづらい記載であった。
(参考)隔離操作票: |
点検作業等を行う場合に、他の系統・機器に影響を及ぼさないため、また作業員の安全を確保するために必要な運転上の措置(隔離)を記載する帳票 |
- 保修員は、作業時期変更に際して、作業の制約となる「1月30日までは逃がし弁が自動待機状態である」ことを失念していたため、1月29日への当該作業の実施時期変更に問題がないと判断した。また保修員の管理者は、作業時期変更の確認をしなかった。
- 作業許可の段階で、作業内容と実施時期について保修員から定検班員への情報連絡が不十分であり、定検班員が当直長に「加圧器圧力計計器弁の閉止操作のみの作業」と説明したため、当直長はこれを条件に作業許可を行った。定検班員は、この条件を保修員に伝えなかった。
- その結果、逃がし弁が自動待機状態において当該作業が実施された。
(3)1次冷却系統圧力低下に伴う関連機器への影響について
事象発生時運転中であった1次冷却材ポンプB号機は、1次冷却系統圧力の低下に伴い、No.1シールの出入口差圧が低下したことから手動停止したが、軸封部等の点検を行った結果、No.1シールの回転リングと固定リングのシール面に接触跡が認められたものの、割れ等の損傷は認められなかった。
また、その他の点検項目についても異常は認められなかった。
(4)今回の定期検査における点検作業の調査
今回の定期検査における定期的な点検作業全般(2,874件)について確認を行い、当該作業1件を除き、問題のないことを確認した。
○対 策
(1) |
以下の対策を実施することとし、「定検時の隔離作業等実施マニュアル」に反映するとともに、今回の事象について「ワンポイントレッスン」等により所内関係者に周知した。 |
@ |
作業条件の十分な検討を行う観点から、定期的な点検作業でプラント状態が異なる時期への変更等、従来と異なる条件で作業する場合は、作業可能かどうか、保修課において、副長または主任を含めて確認する。また、必要に応じ、作業条件または隔離操作票を再検討する。
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A |
作業許可申請書や隔離操作票の記載事項の明確化を図る観点から、作業許可条件がある点検作業については、隔離操作票に明記する。また、作業許可申請書および隔離操作票は、作業内容がわかる記載にするとともに、作業時期がわかる点検工程表等を作業許可申請書に添付する。
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B |
保修員と定検班員の情報連絡の徹底を図る観点から、作業許可にあたっては、注意事項の有無について、保修員と定検班員で確認し合う。また、作業条件の変更については、認識の齟齬が生じないよう遅滞なく定検班に連絡する。 |
(2) |
1次冷却材ポンプB号機については、接触跡の認められたNo.1シール(回転リングおよび固定リング)を新品に取り替える。 |