- 平成22年1月に、当社から愛媛県および伊方町に通報連絡した事象は以下の4件です。これらの事象は、法律に基づく報告事象に該当するものではなく、また、環境への放射能の影響もありませんでした。
事 象 | 発生月日 | 発表月日 | 公表区分 | ||
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1月 3日 | - | C | ||
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1月 8日 | - | C | ||
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1月10日 | 1月10日 | B | ||
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1月13日 | - | C |
県の公表区分 | A:即公表 |
B:48時間以内に公表 | |
C:翌月10日に公表 |
- 過去に発生した以下の通報連絡事象について、その後の調査結果を踏まえた原因と対策をとりまとめ、愛媛県および伊方町に報告書を提出いたしました。
事 象 | 発生月日 | 発表月日 | 公表区分 | ||
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11月 17日 | 12月10日 | C | ||
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12月 9日 | 1月12日 | C | ||
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12月15日 | 12月16日 | B |
(別紙1)伊方発電所における通報連絡事象の概要(平成22年1月分)
- 伊方発電所3号機 海水淡水化装置の塩酸の漏えいについて
- 伊方発電所 荷揚岸壁クレーンからの潤滑油の漏えいについて
- 伊方発電所3号機 ほう酸濃縮液タンク室内での漏えいについて
- 伊方発電所3号機 低圧タービン内の装置固定用ボルトの廻り止め割りピンの欠損について
- 伊方発電所2号機 アスファルト供給配管からの漏えいについて
- 伊方発電所3号機 セメント固化装置廃棄物処理室チラーユニットの不具合について
- 伊方発電所 圧縮減容固化設備 高圧圧縮減容装置 油圧系統接続部からの油漏れについて
伊方発電所における通報連絡事象の概要(平成22年1月分)
1.伊方発電所3号機 海水淡水化装置の塩酸の漏えいについて
1月3日4時27分、通常運転中の伊方発電所3号機において、海水淡水化装置の塩酸の漏えいを示す信号が発信したため運転員が現地を確認したところ、海水淡水化装置Bの塩酸注入系統の弁から建屋内の床面に少量の塩酸が漏えい(1m×1m程度)していることを確認しました。
その後、運転中であった当該装置を停止し、同日4時35分、塩酸の漏えいは停止しました。
調査の結果、当該弁内部のゴム製ダイヤフラムが変形していたことから、弁本体とダイヤフラムの間にわずかな隙間ができ、4本ある取付ボルトのうち1本の貫通穴を通じて塩酸が漏えいしたものと推定されました。
このため、ダイヤフラムとボルトを取り替えた後、塩酸注入ポンプを運転し、1月14日15時40分、漏えいのないことを確認し、通常状態に復旧しました。
今後、引き続き、詳細調査を行います。
(印刷用)伊方発電所3号機 海水淡水化装置系統概略図 (PDF-26KB)
2.伊方発電所 荷揚岸壁クレーンからの潤滑油の漏えいについて
1月8日16時00分頃、伊方発電所の荷揚岸壁に設置しているクレーンの基礎部近傍にある電源箱の下部に少量の油漏れがあることを保修員が確認しました。漏れた油は直径約1mの範囲で地面にたまっており、海には流出していないことを確認しました。
その後、漏えいした油を拭き取るとともに、油の漏えい防止の応急措置を同日18時40分に完了しました。
今後、油の漏えいがないことを定期的に確認するとともに、当該部の詳細点検を行います。
3.伊方発電所3号機 ほう酸濃縮液タンク室内での漏えいについて
1月10日1時40分頃、第12回定期検査中の伊方発電所3号機の原子炉補助建屋4階のほう酸濃縮液タンク室内において、ほう酸濃縮液ポンプ付近で微量の放射性物質(放射能量:約560ベクレル)を含む少量の液体(約1リットル)が漏えいしていることを確認しました。
このため、同日3時5分に停止中の当該ポンプを隔離して漏えいは停止し、漏えいした液体は全量を紙ウエスで回収しました。
調査の結果、当該ポンプに接続しているドレン配管のフランジ部の合わせ面にわずかな隙間があり、この隙間からの漏えいであることを確認しました。
このため、当該フランジ部のガスケットを取り替えて隙間がないことを確認した後、当該ポンプの確認運転を行い、1月28日13時40分、漏えいがないことを確認し、通常状態に復旧しました。
今後、引き続き、詳細を調査します。
(印刷用)伊方発電所3号機 ほう酸濃縮液ポンプまわり系統概略図 (PDF-17KB)
4.伊方発電所3号機 低圧タービン内の装置固定用ボルトの廻り止め割りピンの欠損について
1月13日13時10分頃、第12回定期検査中の伊方発電所3号機において、タービン建屋2階で実施していた低圧タービンの開放点検で、入口蒸気の流れを分配する部品を固定するボルトの廻り止め割りピンが欠損していることを確認しました。
当該割りピンは低圧タービン1基あたり2本あり、第1低圧タービンは2本、第2低圧タービンは1本が欠損していました。
その後、欠損した割りピンは、第1低圧タービンの2本はほぼすべて回収、第2低圧タービンの1本は約7割を回収しました。なお、回収できなかった部位については、タービンの羽根等により細分化されていると考えられますが、タービンの下流機器への影響はないことを確認しました。また、第1、第2低圧タービンの羽根等の外観目視点検および割りピンと接触跡の浸透探傷検査を実施し、異常がないことを確認しました。
当該部の廻り止めについては、摩耗や折損を防止するために、割りピンから溶接止めピンに変更しました。
今後、設備の起動にあわせて運転状態を確認することとします。
(印刷用)伊方発電所3号機 2次系系統概略図 (PDF-13KB)
(印刷用)低圧タービン蒸気転向装置 概略図 (PDF-31KB)
伊方発電所における通報連絡事象の報告書概要
1.伊方発電所2号機 アスファルト供給配管からの漏えいについて
○事象
11月17日9時24分頃、通常運転中の伊方発電所2号機のアスファルト固化装置屋外建屋において、アスファルト固化装置のアスファルト供給ポンプ出口配管付近にアスファルトの漏えいがあることを運転員が確認しました。
このため、当該配管を点検した結果、配管フランジ部の合わせ面からの漏えいであることを確認したことから、当該フランジ部を分解し、新品のガスケットに取り替えて、12月9日13時05分、漏えいのないことを確認し、通常状態に復旧しました。
○原因
調査の結果、当該フランジ部のガスケットには接合材にゴムが含まれており、加熱により硬化が促進され易いものであったことから、配管内のアスファルトを温めるために使用している補助蒸気の熱影響により当該ガスケットの柔軟性がなくなり、微小なき裂が徐々に進展し、当該ガスケットが破断してアスファルトが漏えいしたものと推定されました。
○対策
- 当該フランジ部のガスケットを熱硬化しない性能のガスケットに取り替えました。
- 当該フランジ部以外において、にじみ痕が確認されたフランジ部および、当該フランジ部と同仕様のガスケットを使用しているフランジ部について、熱硬化しない性能のガスケットに取り替えました。
- アスファルト系統以外のフランジ部において、当該フランジ部と同仕様のガスケットを使用している箇所については、至近の定期点検時に合わせて、熱硬化しない性能のガスケットに取り替えます。
- ガスケットの仕様変更を検討する際には、熱影響による硬化に十分留意するようワンポイントレッスンを作成し、関係者に周知します。
(印刷用) 伊方発電所2号機 アスファルト固化装置系統概略図 (PDF-20KB)
2.伊方発電所3号機 セメント固化装置廃棄物処理室チラーユニットの不具合について
○事象
12月8日23時14分、通常運転中の伊方発電所3号機において、原子炉補助建屋3階のセメント固化装置廃棄物処理室のチラーユニットが停止した信号が発信したため、12月9日1時34分、チラーユニットの冷却水系統に異常があることを確認しました。
その後、チラーユニット用冷却水の出口弁内部に付着物があることを確認したことから、当該出口弁内部の手入れおよび、凝縮器内部の洗浄を行い、冷却水を適正な流量に調整した後、チラーユニットを運転して異常のないことを確認し、12月18日10時30分、通常状態に復旧しました。
○原因
調査の結果、原子炉補機冷却水系統に溶け込んでいるスケールがチラーユニット用冷却水の出口弁のシート部に長期に渡り徐々に付着し、チラーユニットの冷却水流量が低下したことから、空調用冷水を冷却する冷媒ガスが十分に凝縮されなくなり、冷媒ガスを凝縮している凝縮器内の冷媒ガス圧力が安全装置の作動圧力まで上昇して、当該チラーユニットが停止したものと推定されました。
○対策
- チラーユニット用冷却水の出口弁および凝縮器(冷却コイル)に付着したスケールを取り除き、冷却水流量を通常運転流量に調整しました。
- 冷媒ガス吐出圧力計に通常運転範囲を示すマーキングを取り付け、パトロール時に圧力を監視します。
- 冷媒ガス圧力が通常運転圧力(1.0MPa~2.4MPa)を外れた場合は、チラーユニット用冷却水の出口弁の開・閉操作を行い、冷媒ガス圧力を調整し、冷媒ガス圧力を調整できない場合は、同弁の点検および凝縮器の洗浄を実施します。
(印刷用) 伊方発電所3号機 セメント固化装置廃棄物処理室空調系統概略図 (PDF-15KB)
3.伊方発電所 圧縮減容固化設備 高圧圧縮減容装置 油圧系統接続部からの油漏れについて
○事象
12月15日13時30分頃、伊方発電所雑固体処理建屋1階において、高圧圧縮減容装置付近から少量の油が漏れていることを保修員が確認しました。その後、約2リットルの油が高圧圧縮減容装置運転時にシリンダ上部の油圧系統接続部(ブロック継手)から漏れたものであることを確認しました。
その後、当該ブロック継手を取り付けているボルトにわずかな緩みがあり、合わせ面のOリングの一部が本来の位置からはみ出して損傷しており、Oリングの損傷箇所から油が漏れ出ていたことを確認しました。
このため、Oリングを取り替えて、当該装置を運転し、12月21日13時45分、漏えいのないことを確認し、通常状態に復旧しました。
○原因
調査の結果、当該ブロック継手を取り付けているボルトの締め付け不足により、合わせ面にわずかな隙間ができていたため、装置運転時のシリンダ油圧(約30MPa)によりOリングの一部が装着溝から押し出されて損傷し、油漏れに至ったものと推定されました。
○対策
- 当該ブロック継手のOリングを新品に取り替えるとともに、当該ブロック継手の復旧に際しては、合わせ面の隙間がなくなるまで取り付けボルトを締め付け、油漏れのないことを確認しました。
- 高圧圧縮減容装置において、Oリングが入ったブロック継手(配管フランジを含む)を取り付ける場合は、合わせ面の隙間がないことを隙間ゲージ等で確認するよう、作業要領書に記載します。
(印刷用) 伊方発電所 高圧圧縮減容装置概要図 (PDF-22KB)