- 平成25年8月に、当社から愛媛県ほか関係自治体に通報連絡した事象は以下の1件です。本事象は、法律に基づく報告事象に該当するものではなく、また、環境への放射能の影響もありませんでした。
事象 | 発生月日 | 発表月日 | 県の公表区分 |
---|---|---|---|
伊方発電所 圧縮減容固化設備高圧圧縮減容装置の油圧系統継手部からの油漏れについて(※) |
8月7日 |
8月7日 |
B |
- 過去に発生した以下の通報連絡事象について、その後の調査結果を踏まえた原因と対策をとりまとめ、愛媛県ほか関係自治体に報告書を提出いたしました。
事象 | 発生月日 | 発表月日 | 県の公表区分 |
---|---|---|---|
1.伊方発電所3号機 送電線碍子洗浄ポンプ電源ケーブルの損傷について |
5月7日 |
6月10日 |
C |
2.伊方発電所3号機 原子炉補機冷却水系統の耐圧試験後の水抜き時の漏えいについて |
6月23日 |
6月24日 |
B |
3.伊方発電所 圧縮減容固化設備高圧圧縮減容装置の油圧系統継手部からの油漏れについて(※) |
8月7日 |
8月7日 |
B |
県の公表区分 | A:即公表 |
B:48時間以内に公表 | |
C:翌月10日に公表 |
(※)今月、報告書提出を行うことから、「事象の概要」については、報告書概要にてご報告いたします。
以上
伊方発電所における通報連絡事象の報告書概要
1.伊方発電所3号機 送電線碍子洗浄ポンプ電源ケーブルの損傷について
○事象
5月7日、定期検査中の伊方発電所3号機において、屋外開閉所エリアでの資材運搬作業準備のためにクレーン車を移動中、ケーブルダクト上において、ケーブルダクトの蓋が破損し、ダクト内へ蓋が落下しました。
調査の結果、同日10時40分頃、落下した蓋により送電線の碍子を洗浄するためのポンプの電源ケーブル2本が損傷していることを確認しました。
その後、電源ケーブルの損傷箇所を取り替え、動作確認を行い、5月23日14時43分、当該ポンプを運転可能な状態に仮復旧しました。
落下した蓋については、7月4日に新品の蓋に取り替えました。損傷した電源ケーブルについては、遮断器から電動機の間を新品に取り替え、動作確認を実施後、7月16日10時49分、通常状態に復旧しました。
○原因
調査の結果、作業責任者および作業関係者は、屋外開閉所エリアでの作業経験がありませんでした。また、作業要領書や所内のマニュアルにおいて、当該エリアにおけるクレーン移動についての注意事項の記載がなく、現地に、ケーブルダクトの蓋の耐荷重に関する表示やクレーン車・大型車両の進入にあたっての注意表示もありませんでした。
これらのことから、クレーン車の荷重でケーブルダクト蓋が破損する認識は無く、当該蓋上に耐荷重対策を行わずに、クレーン車を進入させたため、当該蓋に過大な荷重がかかり、破損・落下し、それにより当該ケーブルが損傷したものと推定しました。
○対策
- 損傷したケーブルの取り替えを実施しました。
- 屋外開閉所の当該ケーブルダクトの蓋(耐荷重約2トン)を、耐荷重8トンの蓋に取り替えます。なお、取り替えまでの間は、屋外開閉所の入口に、注意表示を取り付けます。
- 発電所構内の道路部以外でクレーン車等の重量機器の通行が懸念される箇所のケーブルダクト等、約240箇所について、識別表示を実施します。
- 作業要領書等に以下の点を記載するとともに、所内マニュアルにも同様の記載を行い、周知します。
・重量機器は道路部以外のケーブルダクト等の上を原則、通行させない。
・止むを得ず通行させる場合、強度上問題のある場合には養生用鉄板を敷設する。
・担当外の場所で作業を実施する際は、担当箇所に注意事項等を確認する。
(印刷用) 伊方発電所3号機 碍子洗浄装置系統概略図 (PDF-12KB)
2.伊方発電所3号機 原子炉補機冷却水系統の耐圧試験後の水抜き時の漏えいについて
○事象
6月23日14時29分頃、定期検査中の伊方発電所3号機原子炉補助建屋1階(管理区域内)において、追加安全対策工事に伴う原子炉補機冷却水系統の耐圧試験後に水抜き作業を実施していたところ、当該水が回りこんで逃がし弁(使用済燃料ピット冷却器3B補機冷却水出口側)を取り外していた個所から漏れていることを確認しました。
その後、水抜き作業を中断した結果、同日14時42分、漏えいは停止しました。
○原因
調査の結果、取り外されていた逃がし弁の出口側は、耐圧試験対応として閉止板を取り付けていましたが、入口側(使用済燃料ピット冷却器3B補機冷却水出口側)は、異物混入防止のための養生しか実施していませんでした。水抜き作業を行った担当は、開口部はないと思い込み、操作手順書作成時、また現場確認時においても気付かず、開口部のある系統を使用して水抜き操作を行ったことにより、漏えいしたものと推定しました。
○対策
下記の内容について、マニュアルに追記するほか、ワンポイントレッスンを作成し、関係者に周知します。
- 原則、逃がし弁を取り外して閉止板を取り付ける場合は、全ての開口部に閉止板を取り付ける。
- 操作手順書作成段階において、水抜きに使用する系統の機器に開口部を生じる点検が実施されていないか確認し、漏水が生じる可能性のある開口部については、担当課に開口部の閉止依頼を行なう。
- 隔離範囲外の隣接する系統への水抜きを行なう場合は、水の到達する可能性のある範囲全体について、水抜き開始前に開口部の無いことを系統図と現場にて確認し、開口部がある場合は、担当課に開口部の閉止依頼を行なう。
(印刷用) 伊方発電所3号機 原子炉補機冷却水系統概略図 (PDF-24KB)
3.伊方発電所 圧縮減容固化設備高圧圧縮減容装置の油圧系統継手部からの油漏れについて
○事象
8月7日10時44分頃、伊方発電所雑固体処理建屋(管理区域内)において、高圧圧縮減容装置の点検後の試運転のため、放射性固体廃棄物が入った小型ドラム缶の圧縮作業工程中に、圧縮後の小型ドラム缶(廃棄体)が、テーブル上に残るべきところ、金枠・金型と一緒に上昇し、途中で落下しました。また、落下した廃棄体がテーブルストッパ駆動用油供給ホースに接触したことから、ホースの継手部から油が漏えいしました。
その後、ホースの継手部を増し締めし、油圧をかけて漏えい確認をした結果、当該ホースおよび継手部に漏えいはなく、同日15時58分に、正常に動作することを確認しました。
○原因
調査の結果、圧縮ドラム缶内に同一形状の収納物を一定方向に隙間なく詰め込んでいたことから、ドラム缶圧縮時に、金枠に沿うようにドラム缶に突起部が発生し、金枠と金型の隙間に入り込んだことから、金枠と金型が上昇する際に、圧縮後のドラム缶が金枠・金型とともに吊りあがったものと推定しました。
また、吊り上がった廃棄体が、自重によりその後落下し、駆動用油供給ホースと接触したことにより、当該ホース継手部シート面に若干のずれを生じたため、油が漏えいしたものと推定しました。
○対策
- 廃棄体が吊り上がらない対策として、高圧圧縮用ドラム缶への収納作業時には、同一形状の廃棄物を一定方向に隙間なく収納しないことを作業要領書に記載しました。
- 仮に廃棄体が吊り上った場合に備え、金枠吊り上げ時に、廃棄体が吊り上がっていないことを目視で確認するとともに、吊り上がった場合は直ちに装置を停止することを作業要領書に記載しました。
- 更に、廃棄体が吊り上がっていないことを別角度からも確認できるよう、高圧圧縮装置室内に監視カメラを設置するとともに、万一落下した廃棄体が転がった場合の対策として、周囲の機器等に損傷を及ぼすことのないよう防護柵を設置しました。
- 確認忘れを防ぐため、金枠・金型がある程度上昇した時点で、自動で金枠・金型を一旦停止させ、廃棄体が吊り上がっていないことを目視にて確認した後、金枠・金型の上昇を再開するよう、処理工程を変更します。
(印刷用) 伊方発電所 圧縮減容固化設備高圧圧縮減容装置概略図 (PDF-21KB)