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プロムナード
徳島県阿南市にあり、石炭を燃料に電気をつくっている「橘湾発電所」。運転開始から来年で20年を迎える同発電所の歴史に注目しながら、21世紀の四国の電力供給について振り返ってみます。

石炭は、比較的燃料費が安く、供給安定性にも優れているという長所があります。

当社では、1980年代から、原子力(伊方発電所)が発電の主力を担ってきました。しかしながら、将来にわたってお客さまに低廉な電力を安定的に供給していくためには、石炭火力においても主力を担える発電所が必要と考え、2000年、石炭を燃料とする火力発電所「橘湾発電所」の運転を開始しました。

新しい世紀の始まりとほぼ時を同じくして、歩みを始めた橘湾発電所。そして「地域のお客さまと共に」を合言葉に、順調に運転を重ねてきました。

試運転に向けた火入れ式の様子(1999年10月)

発受電電力量
構成比の推移


右図は、1年間に、四国内の電気をどの発電方法で供給したのかについてまとめたグラフ。

下図は、1年間に、四国内の電気をどの発電方法で供給したのかについてまとめたグラフ。

2011年に東日本大震災により福島第一原子力発電所の事故が発生。伊方発電所も停止を余儀なくされ、夏や冬のピーク時には、電力が不足しかねない状況に陥りました。そこで、橘湾発電所を含む火力発電がフル稼働して伊方発電所の停止による供給力を補い、何とかピンチを切り抜けたのです。

大量の電気を発電するだけあって、設備のほとんどが通常目にしないほどの大きさ。石炭をすりつぶす装置は、高さ11mもある

その後、太陽光を中心とした再生可能エネルギー(以降「再エネ」という。)の普及が加速しました。ただし、再エネでの発電量は天候によって時々刻々と変化するなど、不安定。従来は、その変化分をLNG(液化天然ガス)や石油火力発電所で調整していましたが、再エネの増加により、橘湾発電所のような石炭火力発電所も加わって、火力全体で電力の調整にあたっています。

再エネの不安定性をカバーすることで需要と供給のバランスを保ち、安定供給を実現しています。

再エネの発電導入量が増加している現在も、電力供給の中心を担う橘湾発電所
定期点検時に、蒸気タービン翼にヒビ割れ・浸食が無いか確認中の写真
運転中の蒸気タービンと発電機
「橘湾発電所は、現在定期点検中。設備の安全確認と同じくらい優先して、作業員の安全にも気を配っている」と高橋所長

橘湾発電所の環境への影響については、「国内最高水準の環境保全対策を行っている自負があり、さらなる向上を目指していく」と高橋所長。「これからも効率よく、低廉な電気を、お客さまに安定して供給するため、できる限りの努力を惜しまない」との力強い言葉に電力の安定供給への決意を新たにしました。

脚光を浴びる発電方法が時代の変化とともに変わってもなお、四国の電力供給を守り続ける石炭火力発電。当社では、今後も一つのエネルギーだけに頼らず、さまざまなエネルギーをバランスよく組み合わせて、電力の安定供給に努めてまいります。