ライト&ライフ7月号
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 岡田さんは自他ともに認める本好き。その読書歴は漫画から始まり、小説や歴史書、エッセイなどを愛読するようになった。手にするのは、新刊ではなく古本。「中学生時代、少ない小遣いのために、安価な古本を探し、読み漁っていました」と話す。大人になってからは、本を喫茶店で読むのが楽しみとなる。常連となった店では、店主らと本談義を交わしたが、そんなふれあいも彼にとってかけがえのないものとなっていった。「半空」は、そんな経験をもとに、本を楽しむ空間を共有したいとオープンした店。店内に並ぶ1︐000冊もの本は、岡田さん自身のコレクションがほとんどだ。 ある日、カウンターの片隅で文章を綴る来店客がいることに気付いた岡田さん。「いったい何を書いているのだろう」と気になったが、それを覗きこむ訳にはいかない。本好きの来店客の書いた文章を読んでみたい…。それが「半空文学賞」の原点だ。 第1回の「半空文学賞」は、「珈琲」をテーマに平成27年9月から来店客に声をかけて募集を開始。翌年1月には、68作品が集まった。岡田さんは募集に際して、随筆や詩、小説などジャンルは問わない代わりにいくつかのルールを設けた。作品は、文字数を気にせず書けるようにA4用紙の片面に収まるものとし、直接お店に持ち込むか、郵送したものに限った。メールによる応募が可能なら、より門戸を広げることはできる。だが、「インターネット環境がない人にも気軽に応募してもらいたいと考えました」と話す。集まった作品は全てファイリングし、来店客が自由に閲覧できるようにした。そして店内に設けた投票用紙で、気に入った作品を推してもらった。来店客が審査員となり、入賞作品を決めたのだ。 「面白かった」「今度は自分も応募したい」という声に押されて、第2回は「音楽」をテーマに、平成28年11月から募集を開始。5カ本好きたちが集まるカウンターが原点来店者を審査員に歩み始めた文学賞23133

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