ライト&ライフ7月号
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月の募集期間に97作品が集まった。また第2回は、この取り組みを応援する個人が、コーヒーカップやTシャツなど協賛品を提供。気に入った作品に個人賞を授与した。作品だけではなくスポンサーもカウンターから生まれる…。そんな風に小さな文学賞は歩んでいった。 そして、岡田さんの考え方に賛同する8人の常連客が文学賞実行委員会のメンバーとなり、運営や作品の審査を手伝ってくれることになったのも心強かった。委員のひとり、一いち柳やなぎ友とも子こさんは、第2回に賞品提供、第3回に作品応募、第4回から実行委員となった。「書き手の年齢もさまざまなら、作品もバラエティ豊か。幅広い方々に文学賞が知られていることに素直に驚きました」と話す。これからも大人の部活動のようなノリで、楽しみながら文学賞に関わっていきたいと考えている一柳さんだ。  「半空文学賞」が広く知られるようになったのは、平成29年11月から「ことでん」をテーマに募集を開始した第3回「半空文学賞 ことでんストーリープロジェクト」。「ことでん」こと高松琴平電気鉄道は、香川県内に3つの路線を持つ鉄道会社。市民や観光客の足として親しまれている。その電車にまつわる話を募集するきっかけも、やはりカウンターだった。 ある日、「ことでん」を利用した岡田さんは、乗客の多くが携帯電話を手にしていることに気付く。「電車に揺られながら気軽に読める物語があれば素敵だな」と考えた岡田さんは、「ことでん」にその思いをメールした。すると、すぐに真鍋康正社長が店にやって来た。実は社長自身も「半空」の常連客だったが、それまでは岡田さんと深く会話を交わす機会はなかった。そこで社長が聞かせてくれたのは、フランスの田舎町の面白い話。私鉄の駅に小説の無料自動販売機があり、1を押すと1分、3を押すと3分、5を押すと5分で読める小説がレシートみたいに印字されるというのだ。「その香川版ができれば」とカウンターで意気投合した二人は、すぐにプロ上/電車に揺られる時間に気軽に読書を…というきっかけを生んだ第3回「半空文学賞」。作品集を配布している駅を案内するポスターも制作した 下/ことでん琴平線の仏生山(ぶっしょうざん)駅に置かれたラック。作品集の補充も岡田さんたちが行っている鉄道会社の協力を得て駅や車内を読書空間に1/看板の横の階段を上がった先にある「半空」 2/「店内に並んでいる本のなかには、お客さまが置いていかれたものもあります」と話す岡田さん 3/「短編が多いので気軽に親しむことができる」と話す常連さん 4/歴代の応募作品はファイリングされてカウンターに置かれている。誰もが自由に閲覧することが可能だ 5/第2回「半空文学賞」では、協賛品も常連さんから募った。協賛品は現金以外ならなんでもOK。お気に入りの本などさまざまな品が寄せられた542020.074地域とともに歩み始めた

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