ライト&ライフ7月号
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ジェクトを具体化させた。 第3回がこれまでと違うのは、入賞作品を冊子にし、瓦町駅など主要な8駅で無料配布したこと。電車の待ち時間や車内で、「ことでん」を題材にした作品を読んでもらいたいと考えたのだ。寄せられた210作品から選ばれた11の入賞作品を掲載した冊子は、1万部が早々に無くなり、現在、さらに1万部の増刷分を駅にて配布中だ。 平成30年に発生した豪雨災害は、全国各地に爪痕を残した。香川県では、丸亀城の石垣が崩落したことに、県民の多くが胸を痛めた。家族とともに丸亀城を訪れた岡田さんは、その惨状に言葉を失った。「何か自分にできることはないか」と考えた彼は、「文学賞で石垣の修復を応援しよう」と決意。丸亀市役所にその話を持ちかけた。 広聴広報課の七しち座ざ武たけ史し課長(当時)は、「文学を通じて丸亀城の魅力や丸亀城石垣の現状の情報発信を行えるのは大変有難い話」と快諾。第5回のテーマは「丸亀城」となった。これをうけて丸亀市は、原稿募集チラシ1万部を作成し、企業や丸亀市内の各コミュニティセンター、公共施設に配布し、応募を呼びかけた。また、丸亀城石垣復旧PR館にも作品の応募箱を設けた。さらに梶正治丸亀市長や丸亀市文化観光大使である作家の広ひろ谷たに鏡きょう子こさんら、丸亀市ゆかりの方たちも審査員を務めてくれるたった一人でもいい読んだ人の救いとなる作品を右/日本100名城および現存十二天守のひとつに数えられている丸亀城左/丸亀城の石垣の美しさは特に有名第3回入賞者会社員・中川隼しゅんさん 「半空文学賞」は、手軽に応募できることが魅力。私は第3回に応募し、『石電話』で入賞しました。自分の思いを文章に託し、それを人に読んでもらい、意見を聞けることに喜びを感じています。書き手と審査員、読者の距離の近さもこの文学賞ならではだと思います。 農業一筋だった祖父が亡くなった。僕はその思い出をたどるうちに電車好きであったことを思い出し、牟礼の房前公園駅に静態(せいたい)保存されたことでんの旧型車両を訪ねる。80年間も走っていたその車両に乗り込み、祖父の人生に思いを馳せた後、プラットホームの片隅にある「石電話」に気づく。僕はその電話で、祖父へ最後のメッセージを送った。半空文学賞アーカイブ『石電話』の他、第3回入賞作品がご覧になれます。入賞作品『石電話』あらすじ平成30年の豪雨災害により南西部に位置する帯曲輪(おびぐるわ)石垣と三の丸坤櫓(ひつじさるやぐら)跡石垣の一部が崩落5

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