ライト&ライフ9月号
5/16

05/工房で絵付けを行う山田さん。グラフィックデザイナーとしての経験を生かして、さまざまなモチーフに挑戦している06/山田さんが手がける美しい色合いの砥部焼は、女性を中心に新たなファンを生み出した07/山田さんの原点ともいえる砥部焼の雛人形。愛らしい姿が多くの人に愛されている08・09/「伊予灘ものがたり」の車内で使われている「とべりて」の器。車内の愛媛らしいおもてなしに一役買っている(献立は時期により変更)んな憧れを形にしたくて」と話す。ほんの数個つくった雛人形は完売。翌年以降は製造数を増やしたところ、飛ぶように売れ、やがて雛人形は定番となり、代表作となった。 これに自信を得た山田さんは、念願のカラフルな砥部焼に挑戦。独自の色付けや、有田焼の技法などを用いて、黄色やピンク、グリーンなど可愛くて華やかな砥部焼を生み出した。「私はよそからきた人間だから、新しいことにもこだわりなく挑戦できたのでしょうね」と振り返る。新たな砥部焼の世界をつくろうとする山田さんに惹かれるように、いつしか周りには女性作家たちが集まってきた。 窯元の多くは男性。彼らは会合などで顔を合わせる機会も多かったが、その妻たちが表に出る機会はほとんどなかった。「最初は女子会。みんなで仕事やプライベートの悩みを話して、『また頑張ろうね』って言い合う、そんな集まりだったんです」と山田さん。女子会メンバーの中には、「陶芸家として一本立ちしたい」という人を育成するために、砥部町と砥部焼協同組合が主催した「砥部焼陶芸塾」の卒塾生である郷ごう田だ裕ゆ佳か子こさん、松田知美さんもいた。異業050607種から転身した2人にとって、先輩から聞く技術面のアドバイスはとても心強いものであったという。 そんな中、メンバーから「今の砥部焼の魅力は、ちゃんと伝わっているのだろうか」という意見が出た。各窯元の取り組みは成果が出ていたが、産地としての砥部町、焼物としての砥部焼の魅力を発信するためには、個々の窯元では限界がある。「私たちが砥部焼全体の活性化に役立つ、応援団になろう」。そんな山田さんの呼びかけに賛同し、2013年(平成25)2月、「と・べ・やきのつくり・て・」の意味から「とべりて」が結成された。 女性だけの作家グループというのは、それまでの砥部焼の歴史でも初めて。また砥部焼全体で見ても、グループ展などの取り組みはあったが、「砥部焼応援団」のような位置付けで活動する団体は例がなかった。一方で、「とべりて」自身も何から手をつけていいのか分からない状況であった。そんな中、「地元に根ざしたイベントを開催したい」と考えていた銀行から、「行内のスペースを使い、展示即売会をしないか」というオファーが舞い込む。これがマスコミに取り上女子会をきっかけに誕生した「とべりて」 「伊予灘ものがたり」がさらなる飛躍をもたらす08092021.094

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る