入野砂糖研究会の製糖作業の流れ❶搾汁サトウキビジュースを搾り出す。❷1番釜灰汁(あく)を取りながら、サトウキビジュースを煮詰める。頃合いを見計らって石灰を加え、さらに灰汁を取る。❸すまし桶1番釡のサトウキビジュースをすまし桶に移し、不純物を沈殿させる。❹2番釜すまし桶の上澄みを2番釡に移して、火力を強めて一気に水分を蒸発させる。❺上げ釜薪火でじっくりと煮詰める。煮詰まり具合を見極めて火を止める。 ※1日の製糖で❶~❺の作業を8回繰り返す。❻仕上げ木桶に汲み出し、陶器の器に移して手作業でしっかりと混ぜ込む。冷えたら黒糖の完成。09/「火の番」と「上げ釡」の2人体制で煮込む。「上げ釡」は煮詰まり具合を見ながら、「火の番」に火加減の指示を出す★10/製糖作業の最終段階。黒糖が均一に仕上がるよう手作業でしっかりと混ぜ込む★11/型に流した黒糖。これを砕いてパッケージに詰める★12/丸い部分がサトウキビの芽。これを補植して苗木にし、翌年には株出しをして栽培する黒糖(大粒)5~20mm程度の黒糖。煮込み料理に重宝する170g 1,080円ボカ(糖蜜)上げ釡でボカボカと音を立てて沸騰した時に取り出すことからその名で呼ばれる液状の黒糖200g 1,296円黒糖(小粒)1~5mm程度の黒糖。溶けやすいのでドリンクに加えたり、餅やパンにまぶしたりがおすすめ170g 1,080円を行わなければならない。搾汁を始めるのは21時。深夜0時に1番釜に火を点けて、作業が終わるのは翌日の正午。作業を担う2人の炊き手は、約15時間も寝ないばかりか、作業中は座ることすらでき0910ない。炊き手は1人が「火の番」、もう1人が釜を長い棒でかき混ぜながら、水分量の減り具合などを見極める「上げ釜」を担当。秋吉さんは、年末までに15日以上過酷な製糖作業をこなす。 研究会の面白いところは、製糖は共同で行うが、サトウキビの栽培と商品の販売はそれぞれが独立して行う点。パッケージもそれぞれが作り、地元の人たちはお気に入りの作り手の商品を選んでいる。秋吉さんは、今年から商品名を「入野さとふ」とし、パッケージも一新した。これは藩政時代の文献に記述されていることからネーミング。「旧仮名遣いの商品名が、入野砂糖の200年の歴史を伝える一助になれば」と考えたのだ。 製糖の経験を積むにつれて、農製糖からの学びを翌年の農作業へと生かす「入野砂糖」「どい黒糖」1112入野さとふの種類※まなべ商店で販売中(P5)eck※入野地区では 「黒砂糖」の名を使う2021.124
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