は四万十ヒノキの弁当箱に料理を盛り付けている。「ヒノキの香りが強すぎると料理を邪魔してしまうので、特殊な加工により、ほのかにヒノキが香る加工ができる業者探しに苦労しました」と前川さん。 運行開始後も料理人との打ち合わせを重ねて、折々に季節の食材を使うなどの工夫もされている。「千年」を手がけたデザインプロジェ 車両のデザインは、「伊予灘」やクト担当室長の松岡哲也さんが担当した。先発の「ものがたり列車」は、沿線住民をはじめとする地元の人から愛されることで、その人気が定着したという経緯がある。「高知県民に親しみを持っていただくにはどうすればいいのか。まず、坂本龍馬や志士たちについて、社内の高知県出身者にイメージを聞くことから始めました」と松岡さんは振り返る。最終的には、龍馬らの進取の気風を近未来的なデザインに投影し、個性ある車両へと仕上げた。JR四国の観光列車の大きな魅力となっているのが、「伊予灘」や「千年」で定着した沿線住民のお手振り。「これは地域で自然発生するものなので、実際にどのくらいお手振りしていただけるのかは未知数でした」と前川さん。とお手振りが行われており、地元の団体や学生らが停車駅や通過駅で工夫を凝らした出迎えをしてくれている。下り列車が11分停車する安和駅では、「集落活動センターあわ」のメンバーが、お菓子や雑貨などの手作り品の販売をしながら乗客を出迎えている。「安和駅は海に近接したロケーションの良い駅。この地が乗客の印象に残ることが私たちの願わずかな停車時間を活用し、乗客との会話を弾ませている。列車が出発する際には、ホームでよさこい踊りを披露。地元の人たちの明るい笑顔が、乗客の思い出になっている。それだけではなく、「畑仕事をしている方が手を振ってくれている姿に感動したという乗客の声も耳にして、ありがたいと思っています」と松岡さん。 「夜明け」はコロナ禍に翻弄されながらも、昨年末までに、運行日数300日で1万6,500人の乗車を達成した。そこには、沿線住民の力も大きく影響しているのだ。沿線の人々とともに磨き上げていく魅力右/2号車SORAFUNEの天井は星が散りばめられた宇宙を再現。対して1号車KUROFUNEは青空を思わせる左上/停車駅では乗客に出発を知らせる合図として、アテンダントがドラを打ち鳴らす左下/高知県の雄大な景色のなかを駆け抜ける列車。沿線から見る車両の姿も美しく映える右上/安和駅の「お手振り」は、今や「集落活動センターあわ」の活動における柱のひとつになっている左上/軽快な足取りと鳴子さばきでよさこいを踊るメンバーたち左下/上り列車が19分間停車する須崎駅では「19分劇場」と題して太鼓の演奏やフラダンスを披露2022.07 4のい津」野と同方まさセ美みンさタんー。先こ発ろのが「観夜光明列け車」をが凌りょ走が駕うりす始るめほるどとの、地域の新たな魅力に出会う 観光列車の旅
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