ろまわ 3 「大国際美術館」に展示されている古代から現代の西洋美術の名作は、陶板(板状の陶器)に焼き付けて原寸で再現した陶板名画。レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』、ムンクの『叫び』、ミレーの『落ち穂拾い』など、知名度の高い作品も多く、名画全集のなかに迷い込んだような気分に浸れる。学芸部の山や側が千ち紘ひさんは、「陶板名画だからこそ生まれた3つのメリットが、多くの来館者を惹き付けています」と話す。その1つが、退色劣化を免れられない原画に対して、陶板名画は2,000年以上もそのままの姿で残せること。陶板名画は展示環境に制約がない。照明で明るく照らしたり、日射にさらされたりしても傷むことがないのだ。そのメリットを最大は屋外にある円形の壁面にパノラマのように展示されている。原画はフランスのオランジュリー美術館の室内に飾られているが、生前のモネは『この作品は自然光のもとで見てほしい』と願っていた。「日差しがあたると、描かれた池の水面がきらめくようにも見えます。これこそがモネが理想とした世界なのだと確信しました」と山側さん。例年、夏には作品を取り囲む池に本物の睡蓮が咲き誇り、アートの花と本物の花の競演を堪能できる。展示された作品の原画は世界26カ国、190以上の美術館の収蔵品。原画に会いにいくためには、莫大なコストや時間、労力が必要だが、それらが一堂に会していることが陶板名画であることの2つ目のメリットだ。『過去に海外で鑑賞した作品をまた観ることができ、思い出に浸りました』という喜びの声を聞くこともあるという。また、コロナ禍で渡航が困難な時期には、この美術館で海外旅行気分を味わう人も見受けられた。3つ目のメリットは、実際には観られない芸術世界を体感できること。16世紀から17世紀初めにか陶板名画だからこそ生まれたメリット実際には観られない「幻」の世界を体感030407060503_人気の高い『モナ・リザ』。作品だけではなく、額縁も可能な限り原画のものを再現。額縁のない作品は時代考証をして制作しているので、そちらもチェックしたい04_美術館のロゴをあしらったフォトスポットを背に立つ山側さんは徳島市出身。大学時代にここでアルバイトをしたことをきっかけに、西洋美術に興味をもった06_モネの最晩年の作品である『大睡蓮』は、4点の絵画で構成される装飾画。パノラマのように作品がつながり、鑑賞者は絵の世界に入り込んだような気分になれる★07_『大睡蓮』を取り囲む池で咲き誇る睡蓮の花。ここではモネが想像で描いたとされる青い睡蓮も開花する★05_14世紀初頭に描かれたフレスコ画で埋め尽くされた「聖ニコラオス・オルファノス聖堂」。現地と異なり、遮蔽物がないので細部に至るまで観察することができる巨限匠に・活モかネしのて『い大だるい睡すのい蓮れがん、』印だ。象こ派れの
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