うれしいシステム利用者にもお店にもで安兵衛」も出店し、この頃から国内各地だけではなく、訪日外国人の姿も目立つようになった。 さらに観光客を呼び込んだのは、2010年(平成22)1月から放送されたNHKの大河ドラマ『龍馬伝』。このドラマは、日本全国に高知ブームを巻き起こす。同年の高知県全体の観光客数や観光総消費額は、前年比で30%以上増え、「ひろめ市場」もその恩恵にあずかった。人が来れば話題も生まれる。テレビや雑誌などの取材も激増し、その後も来場者数は増え続けた。賑わいに惹かれるように地元の方の客足も戻り、コロナ禍前には年間約300万人が来場する施設となっていた。「ひろめ市場」の一部の飲食店は、店内に客席を備えているが、多くの店は料理や飲み物を販売するのみ。客はあちらこちらにあるテーブル席で食事をする。メリットは好きなものを好きな店で買い、持ち寄って食べられること。例えば、高知名物である鰹のたたきを扱っている店は20店以上もあるが、どこを選ぶかもこの市場の楽しみの一つだ。しかし、食べ終わった後の食器を購入店に返しに行くとなると、これは思いの外手間となる。そこで活躍しているのが「食器センター」だ。約40人のスタッフが交代制で場内を巡回し、空いた食器を素早く下げる。集めた食器は専用の洗い場で洗浄し、各店舗へと返却される。店は、返ってきた食器の数に応じて支払いをする仕組みだ。この仕組みは開設時にすでに確立しており、客だけではなく、店側からも「ありがたい」という声が上がっている。「うちの店は約4坪で、厨房に入れるのは2、3人。洗い物に人員を割くのは難しい」と「ひろめの鰻処まん(野村水産)」店主の野村侑ゆ加かさんは話す。洗い物を「食器センター」に任せることで、0503040603_高知銘菓の芋けんぴなどを扱う店。高く積み上げた芋けんぴタワーが目を惹き、記念撮影をする人も多いそう04_帯屋町2丁目商店街側の入り口はイベントなどが行われる「よさこい広場」。商店街への人の流れを生み出す仕掛け05_パンフレットの配布や案内を行っている総合案内所0706_迫力満点の藁焼きの様子が見られる「明神丸」07_市場内では、古くからある横丁を巡っているような気分が味わえる2023.09 4
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