ライト&ライフ3月号
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アーティストの移住を機に再始動をしたSCFアーティストによる演目「100年サーカス」は、「旅」をテーマにし、レトロ電車も舞台演出の一部となった。 運営には講座に参加してくれた人たちが手を貸してくれ、公演2日ともにチケットは完売し、約800人の来場があった。 「なかには、ことでんの整備士さんたちの姿もありました。ジャグリングに目を丸くしたり、クラウン(道化師)のコミカルな演技に笑ったりする様子を見て、SCFが動き始めたことを実感できました」。 「100年サーカス」は大きな話題となり、SCFに注目が集まった。その後も小さな公演を主催したが、公演時にスタッフが集まり終われば解散という任意団体では、組織としての成長は望めなかった。「明確なビジョンを持った、法人として運営していかなくては」と考えた田中さんは、2014年(平成26)、8名の理事を擁して一般社団法人を設立。SCFは新たなスタートを切った。法人化後は半年に1回程度公演を実施し、経済的に自立した組織運営を目指した。翌年には大規模公演「第1回創作サーカスフェスティバル」を立ち上げ、5年間継続するというチャレンジを行った。ところが、これがSCFの首を締めることとなる。理由は関係者の作業量が増えてしまったこと。本業を持つ理事たちは、回を重ねるごとに疲弊していった。責任者の田中さんも、スポンサー探しやアーティストとの折衝に忙殺され、息つく暇もない。しかも経営的にも苦しい状況が続いた。2019年(令和元)秋、第5回のフェスティバルを終えたとき、ライフステージの変化もあり「もう続けられない」と理事が全員いなくなっていた。「この時ばかりは、私も弱気に11121311・12_クラシックバレエでソリストをしていた野瀬山瑞希さん。現在は香川県へと移住し、SCFアソシエイト・アーティストとしてシルホイールなどの技を磨いている13_ミッレ・リュントさんと即興パフォーマンスをしているのは、ダンサーの本田雅治さん。神奈川県出身の本田さんも香川県へ移住してきた。今はダンスに加えてシルホイールにも挑戦中デンマーク出身で、ベルギーを拠点に活動をしているMille Lundt(ミッレ・リュント)さんは昨年、日本との芸術交流の強化を目的にSCFに派遣された。そんな彼女にSCFの印象を聞いた。SCFがある香川には独自の世界観を持つアーティストが集まっており、この地に滞在することで、彼らの技術だけではなく、内面に触れ刺激を受けることができました。こうした状況を創り出したのが、未知子さんです。自身が舞台に立つことはありませんが、彼女は紛れもなくコンテンポラリーアーティスト(現代芸術家)だと感じています。今回のラボはとても有意義でした。いつの日か、SCFのオファーを受けてこの地に帰ってくることを夢見ています   5海外アーティストから見たSCF

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