ライト&ライフ6・7月号
5/16

夫婦それぞれの感性と技術で開いていく可能性真珠と珊瑚の物語uwajin  i 4ンもできるようになっていた橋本さんは、「宇和海真珠の魅力を際立たせる新しいアクセサリーを生み出そう」とひたすら作業に取り組んだ。ひとりでコツコツと作っているので、製作数は限られている。お客さまはほぼ口コミだった。 転機は独立から10年後に訪れた。松野町でガラス工芸家として活動していたえりかさんとの結婚だ。情報発信や商品開発などに大きな味方を得て、暁工房の名は少しずつ知られるようになった。 橋本さんのライフワークともいえるのが、形が個性的なバロック真珠を使ったアクセサリーの製作。真珠が育つには、母貝に核入れをしてから8〜20カ月かかるが、7割近くはきれいな円形にならない。成長段階でゆがみ(ポルトガル語でバロック)が生じたバロック真珠は、廃棄されていた。「形は不均一ですが、だからこそ面白さがあるんです」と橋本さん。バロック真珠を眺めていると、思いもよらぬアイデアが浮かんでくる。持ち前の彫金技術を駆使すれば、独特な形を生かすフレームを作れる。ブタやハチなどに見立てたアクセサリーは、まさに唯一無二。「アコヤ貝の苦労にも報いることができる」とほほ笑む。妻は2ブ0ラ1ン4ド年「(m平ミiu成ウ26」を)立、橋ち本上げ夫、アコヤ真珠のピンキーリングを開発した。ブランド名は「made やハートなどのモチーフを取り入れた小指用の指輪は、清楚で年齢を問わず好まれるデザインに仕上げている。「フリーサイズなので贈り物にもぴったりなんです」という、えりかさんの言葉通りに翌年、この商品は「日本ギフト大賞2015愛媛賞」を受賞した。また、えりかさんが考案した、シルクの組紐と組み合わせたピンブローチも「miu」の人気商品に。昨年行われた東南アジア首脳会議にma」の頭文字。クローバーおいて、各国首脳のパートナーの胸に着けられた。「外務省から連絡をいただいて、びっくりしました」とえりかさんは顔をほころばせる。 夫婦二人三脚で開いていく宇和海真珠の可能性。「誰もがさり気なく身に着けられる、普段づかいの真珠アクセサリーをどんどん増やしていきたい」と瞳を輝かせる橋本夫妻だ。0607050805_真珠本来の潜在的な美しさを引き出すため色調をごくわずかに整えた調色真珠(右上)、無調色のバロック真珠(右下)とセミバロック真珠(左上)。真珠養殖の副産物でケシと呼ばれる無核真珠(左下)も、橋本さんは素材として使っている06_真珠を生かすために彫金技術と同じくらい必要なのがデザイン力。デザイナーとしての経験も大いに役立っている07_薬指にはめているのが、真珠の粉をガラスにちりばめた、えりかさんのオリジナル作品。小指で輝くのは「miu」の看板商品であるピンキーリング2024.06-07■暁工房愛媛県宇和島市保手5丁目3-3営業時間/9:00〜18:00(不在時あり、問い合わせ要)定休日/日曜日駐車場/問い合わせ要https://www.akatsukikoubou.com※オンラインショップで購入可08_京都を代表する工芸品である組紐と真珠をコラボ。「全国各地で開催されている展示販売イベントに参加していますが、そこで得た情報や出会いが新たな発想につながっています」とえりかさん0895-22-3688

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る