2018年09月14日
四国電力株式会社

記者会見概要(東京・エネルギー記者会にて)

 

 平成30年9月14日、エネルギー記者会において、佐伯社長から、伊方発電所を巡る動向などについて説明しました。(詳しくは「伊方発電所を巡る動向について」をご覧ください。)

 まず最初に、先般の台風21号、ならびに6日未明に発生しました「平成30年北海道胆振東部地震」により被災された皆さまに、心よりお見舞いを申し上げます。

 9月4日に西日本を縦断した台風21号襲来に際しては、当社エリアでは、延べ約9万6千戸の停電が発生し、地域のお客さまに大変ご迷惑をおかけしました。全力を挙げて復旧にあたった結果、翌5日には全戸復旧することができました。その一方で、関西電力管内を中心に、強風による電柱倒壊などにより、広範囲にわたり甚大な被害を受けられ、復旧に長期間を要する事態となりました。

 また、最大震度7を記録した北海道での地震では、道内全域で停電が発生する未曽有の事態となり、送電再開と電源確保に向け、懸命な努力が続けられているところであり、同じくライフラインを預かる事業者として、深く敬意を表します。

 当社におきましては、関西電力ならびに北海道電力からのご要請を受け、両エリア合計で発電機車15台、要員延べ191名(関西:5台・延べ110名、北海道:10台・延べ81名)を応援派遣しているところであります。今後とも追加のご要請があれば、できる限りのご協力を行ってまいります。

 7月の西日本豪雨に続き、この度の台風および地震による被災の現実を目前にし、改めて自然現象に対して謙虚に向き合っていくことの大切さを痛感するとともに、遠くない将来に予想される南海トラフ地震など大規模災害発生を常に念頭に置き、引き続きしっかりとした身構えと備えをしていくことの重要性を再認識した次第であります。

【運転差止仮処分】
 伊方発電所3号機は、5年余りの停止期間を経て、一昨年8月に再稼働を果たし、四国エリアの安定的な電力供給を支える基幹電源として、再びその役割を担っておりました。昨年10月より、再稼働後初の定期検査を実施していたところ、12月13日、広島高裁により、全く想定外の運転差止めの仮処分命令を受け、現在も運転できない状況が続いております。
 広島高裁抗告審における決定理由は、「阿蘇における過去最大規模の噴火による火砕流が伊方発電所敷地に到達した可能性が十分小さいとは言えず、不適切な立地である」という、社会通念に照らして大いに疑問視せざるを得ない内容であり、当社としては到底承服できないものでありました。

 このため当社は、仮処分命令の取り消しを求めて同高裁に異議申立てを行い、その後の異議審審理において、
・伊方発電所3号機の運用期間中には、阿蘇において過去と同規模の巨大噴火は想定されないこと
・阿蘇の過去最大規模の噴火における火砕流は発電所の敷地には到達していないこと
・また、火山灰の堆積量等の評価も妥当であること
などについて、科学的見地から丁寧に主張・立証を尽くしてきたところであり、本年4月および7月の2回の審尋を経て、8月9日に審理は終結しております。

 異議審の決定日は未だ明らかとなっておりませんが、一方で、昨年末の広島高裁抗告審決定で示された「運転停止期限」である9月末が近づいてきております。

 当社としては、できる限り早期に仮処分取り消しのご判断がなされることを願っておりますが、抗告審決定の運転停止期限を踏まえ、運転再開に向けた具体的なスケジュールについては、今月中を目途に日程を固め、お示しをしたいと考えております。
 
 伊方3号機は、昨年10月に定期検査のため運転を停止して以降1年近くが経過していることから、運転再開にあたっては、安全性確保を最優先に、入念かつ綿密な準備を行っていく所存であります。

 なお、このほかの各裁判所における仮処分訴訟の状況について触れさせていただきますと、高松高裁、大分地裁および広島地裁では審理が既に終結しているほか、山口地裁岩国支部においても、今月28日の第8回審尋をもって結審する見込みであり、本年中に、全ての裁判所でのご判断が出されるのではないかと思っております。

 いずれの仮処分訴訟におきましても、当社は、伊方発電所が十分な安全性を有していることについて丁寧に主張・立証を行ってきており、各裁判所には、必ずや当社の主張を認めていただけるものと確信しております。

 原子力発電所の運転差止仮処分は、一つでも敗訴すればただちに発電所の運転ができなくなる大変厳しい裁判でありますが、伊方発電所3号機は、四国における安定的かつ低廉な電力供給に不可欠であるとともに、脱炭素化が世界規模での取り組みテーマとなっている今日、CO2排出削減の観点からも極めて重要な電源であることから、ひとつひとつ確実に勝訴を勝ちとり、「揺るぎない判例」となるよう実績を積み重ねていくことが重要と考えております。

【乾式貯蔵施設】
 当社は、伊方発電所で発生した使用済燃料を一時的に貯蔵するため、発電所敷地内に乾式貯蔵施設の設置を計画しております。

 乾式貯蔵施設については、一昨年12月の方針表明以降、具体的な設置場所や規模、キャスクの仕様等について検討を進めてまいりましたが、詳細計画がまとまったことから、本年5月25日、当該施設の設置に係る原子炉設置変更許可申請書を原子力規制委員会へ提出するとともに、愛媛県・伊方町に対し、安全協定に基づく事前協議の申し入れを行いました。

 現在、国による審査が行われているほか、地元でも計画の内容についてご確認いただいているところであります。

 伊方発電所では、1号機の廃止に伴い、本年6月より1号機に貯蔵している使用済燃料を3号機に輸送する作業に着手しており、来年度中の完了を見込んでおります。

 これにより、3号機の使用済燃料プールの貯蔵余裕が減少することから、再処理工場へ搬出するまでの間、一時的に貯蔵する施設として、冷却に水や電源を使用しない、安全性に優れた乾式貯蔵施設を新たに設置することとしたものであります。

 施設は、乾式貯蔵建屋と輸送・貯蔵兼用の乾式キャスクから構成し、貯蔵容量は、燃料集合体1,200体規模、乾式キャスクで45基分とする計画です。

 当社としましては、2023年度の運用開始を目指して、引き続き国の審査に適切に対応するとともに、愛媛県・伊方町に計画を丁寧にご説明するなど、地域の皆さまからのご理解を賜りながら、取り組みを着実に進めてまいる所存です。


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