2018年11月29日
四国電力株式会社

平成30年11月 社長定例記者会見の概要

 

 平成30年11月29日、佐伯社長が今年最後となる定例記者会見で一年を振り返り、「伊方発電所3号機の運転再開」、「西日本豪雨などの自然災害と安定供給」および「次なる成長エンジン創出に向けた取り組み」について説明しました。

【伊方発電所3号機の運転再開について】
 今年は、伊方発電所3号機の運転再開に向け、全社を挙げて取り組みを進めた一年でした。

 昨年12月の広島高等裁判所における運転差止仮処分命令は、私どもにとって極めて不本意なものでしたが、異議審においては、争点の火山事象に対して安全性を十分に有していることなどについて、科学的見地から丁寧に主張・立証を尽くしてきた結果、9月25日に、仮処分命令を取り消すご判断をいただきました。その後、安全確保を最優先に再起動工程を進め、10月30日の送電開始を経て、昨日、国の最終検査に合格し、通常運転を再開したところです。
 伊方発電所3号機は、四国における安定的かつ低廉な電力供給を実現するために、なくてはならない基幹電源であるとともに、脱炭素化の観点からも、さらに原子燃料サイクルの推進に向けてのプルサーマル実施炉としても、極めて重要なプラントです。

 伊方発電所に関しては、誠に残念なことながら、1号機に続き、本年3月には2号機の廃炉という苦渋の決断に至りましたが、当社としましては、唯一の稼働プラントとなった3号機について、技術力の維持・継承を図りながら、引き続き安全確保に万全を期すとともに、情報公開を徹底することにより、地域の皆さまから信頼される発電所運営を実践してまいる所存です。

 伊方発電所3号機を巡る裁判においては、広島高裁異議審決定以降、大分、広島の両地裁ならびに高松高裁と4つの仮処分訴訟においていずれも勝訴することができました。今後、山口地裁岩国支部、福岡高裁での仮処分および各地での本案訴訟においても、一つひとつ確実に勝訴を積み重ねてまいりたいと考えております。

【西日本豪雨などの自然災害と安定供給について】
 今年は、集中豪雨や台風襲来といった災害に見舞われ、改めて自然の怖さを思い知らされる年でもありました。

 7月の西日本豪雨では、愛媛県や高知県を中心に多くの方がお亡くなりになり、また家屋の倒壊、浸水など甚大な被害が発生しました。その後も台風の襲来が相次ぎ、広範囲かつ長時間にわたる停電が発生するなど、お客さまに大変ご迷惑をおかけする事態となりました。
 
 加えて、9月に発生した北海道胆振東部地震では、いわゆる「ブラックアウト」と呼ばれる北海道での全域停電が発生し、世間の関心を集めるなど、「電力の安定供給」の重要性が耳目を集める年になったように思います。
 
 ライフラインを預かる事業者としては、昨今の自然現象に対し謙虚に向き合っていくことの大切さを痛感しているところです。四国地域では、近い将来において南海トラフ地震の発生が想定されており、そうしたことも念頭に、本年の災害対応の経験を教訓としつつ、ハード・ソフトの両面から、しっかりと身構えをしていく考えです。

 いよいよ電力システム改革の最終ステップである送配電部門の法的分離まで一年余りとなりました。私は、今年の自然災害の多発、そして電力の安定供給の重要性への関心の高まりは、こうした電気事業制度見直しの当否に対しての問い掛けでもあったような気がしています。
 来年は、こうした電力の安定供給のあるべき姿について、このところ急速に普及拡大が進む再生可能エネルギーの課題などとも併せて、現場第一線に立つ事業者の視点から、原点に立ち返って考えてみたいと思っています。

【次なる成長エンジン創出に向けた取り組みについて】
 今年は、電力小売り自由化がいよいよ浸透してきたと実感させられる年にもなりました。これまでの新電力との競争に加えて、旧一般電気事業者による販売攻勢も熾烈になってきており、他事業者への契約切り替えが日増しに増加する状況に大変な危機感を持っているところです。

 当社としましては、お客さまの生活実態に合わせてよりお得感を実感いただける料金プランの設定や、ポイント交換先の拡充など付加サービスの展開といった対抗策を講じ、お客さまからのご期待にお応えするべく、今後も知恵を絞るとともに、全力で販売活動に取り組んでまいる所存です。
 一方、このように電力販売収入が減少傾向にある中、中期経営計画に掲げる「次なる成長エンジンの創出・育成」が喫緊の課題となっており、スピード感ある取り組みを進めていくことが重要であると考えております。

 こうした認識のもと、今年は、新規事業へのチャレンジに関し、一定の成果を得られた年にもなったのではないかと思っています。改めて簡単にご紹介しますと、
 ・お客さまの暮らし、生活におけるあらゆるお困りごとにワンストップで対応する生活サポートサービス事業を行う「ベン リーよんでん栗林店」の開業
 ・住友グループや近隣の工業用需要家に天然ガス供給事業を行う「新居浜LNG株式会社」の東京ガスグループ等との 共同設立
 ・銀座千疋屋をはじめとするパートナーとのイチゴ生産事業を行う「あぐりぼん株式会社」の共同設立
などを実施いたしました。

 このほか、今年は、当社としては初めての取り組みとなるベンチャー企業への出資についても検討を進め、香川大学発のベンチャー企業、株式会社未来機械への出資などを実施いたしました。ベンチャー企業との協業は、今後の成長戦略の大きな鍵を握るものと認識しており、当社事業とのシナジーを見据えつつ、今後も有望な投資先の発掘に積極的に取り組んでいく考えです。


 私なりに本年を総括すると、新たな時代の扉を目前にして、「次代の飛躍に向けた布石創りへの歩みを進めた年」になったのではないかと受け止めています。
 来年の春には、平成から新元号に移ることになります。国内外では、デジタル化社会構築に向けた動きが猛烈なスピードで加速しています。そうした未知の世界の到来を前にして、私たち企業も大きく転換をしていくことが不可欠になります。この平成30年という年が、新時代に相応しい企業に生まれ変わる端緒の年であったと、後々に振り返れることになればと願っているところであります。


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