2019年11月26日
四国電力株式会社

2019年11月 社長定例記者会見の概要

 

 令和元年11月26日、長井社長が今年最後となる定例記者会見で一年を振り返り、「自然災害の激甚化と安定供給」、「原子力事業を営む上での地域との関係」および「電気事業の収益基盤強化と次なる成長エンジンの創出・育成」について説明しました。

【自然災害の激甚化と安定供給】
 昨年の西日本豪雨の記憶も新しい中、今年も、東日本を中心に相次ぐ台風の襲来で甚大な被害が発生するなど、自然の猛威を目の当たりにする年となりました。
 
 とりわけ、9月に関東地方へ上陸した台風15号の影響により発生した大規模停電は、特に千葉県において長期化し、世間の関心を集めるところとなりましたが、私も、報道を通じて現地の悲痛な声に接し、電線の先にはお客さまの生活があることを改めて痛感するとともに、ライフラインを預かる事業者として、自然災害に対して謙虚に向き合っていくことの大切さを再認識したところであります。
 当社も、10月の台風19号による被害発生時を含め、二度に亘って応援のための要員・車両を千葉県に派遣し、高圧発電機車による応急送電や、倒木除去・配電線復旧工事等に従事いたしました。こうした応援派遣や、四国における過去の災害対応の経験を教訓としつつ、ハード・ソフトの両面から備えをしていくことはもちろん、自然災害による被害を設備対策のみで防ぎ切るのは困難であるとの現実を踏まえ、日頃の訓練や、自治体・関係機関等との連携の充実などを通じ、大規模停電が発生するような場合にも、被災後、いかに迅速に復旧させるかが重要であると考えております。
 当社といたしましては、東京電力が進める一連の停電対応に関する検証や、国における電力レジリエンスの更なる強化に向けた議論の結果も踏まえ、被害状況の正確な把握やお客さま目線に立った迅速な情報発信、他の電力会社からの応援部隊が有効に機能できる受け入れ体制の充実といった課題について、これまで以上に一つひとつ着実に取り組んでまいります。
 
 申し上げるまでもなく、私ども電気事業者の最大の使命は、お客さまに安定的に電力をお届けすることであります。この使命は、目前に迫った送配電部門の分社化後も変わるものではありません。
 このため、自然災害等により大規模な停電が発生した場合には、これまでと同じように、事業持株会社である「四国電力」と、「四国電力送配電」とが一体になり、四電グループ・工事会社をはじめとする全ての関係者が総力を挙げて復旧活動に取り組み、電力の安定供給を担う責任ある事業者としての役割を着実に果たしてまいる所存であります。


【原子力事業を営む上での地域との関係】
 関西電力の金品受け取り問題を受けて、当社では、聞き取り確認などにより、同様の事例がないことを既に確認しておりますが、引き続き、公益事業を担う強い自覚と高い倫理観を持ち、一層気を引き締めて事業に取り組むことはもとより、今回の問題を「他山の石」として、電力業界で設置した「企業倫理等委員会」での議論も踏まえながら、コンプライアンスの更なる徹底に向け、今後、当社の社内規定を見直すといった対応をしてまいりたいと考えております。
 
 また、今回の問題は、原子力事業を営む上での地域との関係について改めて思いを致すきっかけになりました。
 当社が目指すのは、「地域とともに生き、歩み、栄える」企業でありますが、基幹電源である原子力発電には慎重な声も多い中、伊方発電所の立地地域と良好な関係を構築するには、何よりも当社への信頼を得ることが肝要であると考えております。
 例えば、いわゆる「えひめ方式」により、伊方発電所で発生した正常状態以外のすべての事象を迅速に愛媛県・伊方町へ通報した上での公表や、昭和63年以降、戸別訪問により地域の皆さまのお話を伺う「訪問対話活動」を1年も欠かすことなく継続するなど、地道な取り組みを続けているところです。
 当社といたしましては、安全・安定運転の継続と徹底した情報公開を両輪とする発電所運営を今後も愚直に実践し、私どもの行動をご覧いただくことにより、引き続き地域からの信頼を得られるよう努めてまいります。

 一方、こうした中、伊方発電所における目下の課題である3号機の特重施設については、着工時期の前倒しや昼夜・休日作業の実施などに取り組んでおりますが、工事の詳細計画に関する国の審査が現在も継続しており、現状では、再来年3月の設置期限から1年程度完成が遅れる可能性があることに変わりはありません。
 このため、当社といたしましては、引き続き、丁寧かつスピード感を持って審査に対応するとともに、安全を最優先に可能な限り工期短縮が図れるよう、最大限の努力を継続してまいる所存でありますが、設置期限という時間的制約はあるものの、安全性追求に終わりはなく、継続的な取り組みが重要との観点から、しっかりとしたものを作り上げたいと考えております。


【電気事業の収益基盤強化と次なる成長エンジンの創出・育成】
 電力小売全面自由化から3年が経過し、お客さま獲得競争が熾烈さを増した今年は、お客さまの生活スタイルや電気のご使用形態に応じたおトクな料金プランの充実はもとより、他事業者との協業・提携によるサービス拡充を加速させた1年でもありました。
 
 例えば、新たな切り口での営業手法として、他事業者による当社電気の代理販売にも注力し、本年4月以降、地域で堅固な顧客基盤を有する3事業者との提携により、各事業者の販売チャネルを通じた個別アプローチを開始したほか、当社グループの四電エナジーサービスとともに、電気給湯器リースとのセット割引も導入いたしました。
 家庭用分野の市場では、複数サービスをまとめたバンドルサービスを提供することで当社を選択していただけるよう、私どもも、自前主義的な発想から脱却し、他事業者との協業により、暮らしに欠かせない電気という商材を織り込んだ新たなサービスを拡充することで、お客さまに評価いただき、選ばれ続ける企業を目指してまいりたいと考えております。

 一方、こうした販売活動を行う大前提となるのが、低廉で安定的な電力供給体制を構築することであり、原子力の安全・安定運転はもちろん、設備全般の効率化、労働生産性の向上についても徹底的に追求してまいる所存です。

 また、これら電気事業の収益基盤強化と並行して取り組む「次なる成長エンジンの創出・育成」についても、たゆまぬ前進を続けた1年になったのではないかと受け止めております。
 海外発電事業については、本年、アジア地域を含めて 新たに4件のプロジェクトに参画し、持分容量は71万kWに達しました。
 他方、地域に根差した取り組みに目を向けますと、生活サポートサービス事業の2号店となる「ベンリーよんでん高知駅北店」を開業させたほか、イチゴの生産事業を行う「あぐりぼん株式会社」のハウスが竣工し、先週より出荷を始めたところです。現在の収量は僅かですが、今後、栽培を軌道に乗せて徐々に出荷量を増やしていきたいと考えております。

 以上、今年一年を簡単に振り返ってまいりましたが、私といたしましては、6月に社長の“たすき”を引き継ぎ、改めてその責任の重さを日々ひしひしと感じながら仕事に取り組んできた5か月でありました。
 これまでも申し上げてまいりましたとおり、既に蒔かれた種や成果の出始めた芽から、一日も早く大きな花を咲かせることに全力を挙げているところであります。
 厳しい競争の下でも、当社ならびに当社グループが持続的な成長を遂げることを通じて、少しでも私の大好きな四国地域のお役に立つことができるよう、来年も先頭に立って歩みを進めていきたいと考えております。


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