2020年11月24日
四国電力株式会社

2020年11月 社長定例記者会見の概要

 

 令和2年11月24日、長井社長が今年最後となる定例記者会見で「2020年度連結業績予想と期末配当予想の公表」および「伊方発電所3号機 第15回定期検査の計画変更」について説明した後、一年を振り返りました。

【2020年度連結業績予想および期末配当予想】
(詳しくは「2020年度連結業績予想と期末配当予想の公表について」をご覧ください。)
 当社は、これまで、伊方発電所3号機の運転再開時期を見通すことが難しいことなどから、2020年度業績予想について、未定としておりました。
 こうした中、当社が広島高等裁判所で係争中である同機の運転差止仮処分命令に係る異議審について、先月の進行協議により、来年3月に決定がなされる予定となったことから、同機の年度内の停止を前提として、業績予想を公表することといたしました。

 [電力販売]
 小売販売電力量は、新型コロナウイルス感染症などの影響により、前年度に比べ、1.7%減の220億2千万kWh、卸販売電力量は、前年度に比べ、42.5%減の42億7千万kWhと想定しております。
 この結果、総販売電力量は、前年度に比べ、11.8%減の262億9千万kWhとなる見通しです。

 [連結業績]
 売上高は、卸販売収入や燃料費調整額の減等により、前年度に比べ、481億円減収の6,850億円と予想しております。
 利益については、伊方発電所3号機の稼働減や総販売電力量の減少等により需給関連収支が悪化することなどから、前年度に比べ、営業利益は192億円減益の120億円、経常利益は179億円減益の100億円、親会社株主に帰属する当期純利益は、110億円減益の70億円と予想しております。

 [配当]
 当社は、株主還元方針として、「安定的な配当の実施を基本とし、業績水準や財務状況、中長期的な事業環境などを総合的に勘案して判断していく」こととしております。
 こうした方針の下、2020年度は前年度を大幅に下回る水準となるものの、1株あたり純利益が34円を確保できる見通しにあることから、期末配当は前年度と同額の1株あたり15円とし、中間配当とあわせた2020年度の配当金合計は、1株あたり30円といたします。


【伊方3号機 第15回定検の計画変更】
(詳しくは「伊方発電所3号機 第15回定期検査の計画変更について」をご覧ください。)
 伊方発電所3号機は、昨年12月26日から運転を停止し、第15回定期検査を実施しておりますが、広島高等裁判所における異議審の決定時期や、特定重大事故等対処施設(特重施設)の設置期限を踏まえると運転停止が長期化する見込みであります。
 このため、停止期間中の各設備の劣化防止や機能維持のために必要な保管対策および追加点検を実施することといたしました。
 また、次回の定期検査で予定していた、安全性向上に資する工事について、今回の定期検査の計画に含めることといたしました。
 当社といたしましては、必要な保管対策、点検および工事の実施について、引き続き安全確保を最優先に取り組んでまいります。


【一年の振り返り】
 早いもので本年も、残すところ1ヶ月ほどとなりました。
 少し気の早いことではありますが、今年を振り返って大きく3点お話させていただきたいと思います。

 <伊方発電所を巡る動向>
 まず初めに、伊方発電所を巡る動きを振り返りますと、1月17日に、広島高等裁判所におきまして3号機の運転差止仮処分命令が下されました。これは、発電所の安全対策に最大限の努力を重ねている私どもにとって極めて不本意なものであり、当社としては、1日も早く取り消していただけるよう、この命令が原子力規制委員会による科学的、専門技術知見に基づく判断を尊重しておらず不合理なものであること、また当社がこれまで行ってきた主張について、より一層丁寧な主張・立証に努めているところであります。
 
 同じ1月には、3号機の定期検査中に連続してトラブルが発生し、地域の皆さまをはじめ、多くの方々に多大なご心配をおかけいたしました。
 当社は一連の事象を重く受け止め、定期検査の作業を中断し、徹底した原因究明と再発防止策の策定に総力を挙げて取り組みました。
 再発防止策の徹底に加え、8月に愛媛県知事および伊方町長からいただいたご要請を踏まえ、現在、慎重かつ着実に検査を実施するとともに、全社を挙げて安全性向上に努めております。

 一方で、今年は、伊方発電所の将来にわたる安全で安定した運営に必要な計画について前進がありました。
 3号機の特重施設について、5つに分割申請していた工事計画が全て認可され、工期について当初の予定から5ヶ月程度短縮できる見通しを得ました。
 また、2号機の廃止措置計画の認可や、乾式貯蔵施設設置に係る許可をいただくことができ、これらについては、引き続き、地元のご了解をいただけるよう、丁寧な説明に努めているところであります。

 伊方発電所3号機は、四国における安定的かつ低廉な電力供給を行うため、また脱炭素社会の実現を目指すうえで、なくてはならない基幹電源であり、当社としては、まずは早期の運転再開を目指し、今後も地域の皆さまのご理解をいただきながら、乾式貯蔵施設の運用開始や原子燃料サイクルの確立など、更なる安全・安定運転に向けて不断の努力を重ねてまいります。

 <脱炭素社会の実現に向けた方針>
 次に、業界全体に目を向けますと、8月から、非効率な石炭火力のフェードアウトに向けた具体的な議論が進められており、また、10月の菅首相の所信表明演説において、「2050年に温室効果ガス排出量を実質ゼロにする」との目標が打ち出されるなど、脱炭素社会の実現に向けて、大きく舵が切られた年でありました。
 かねてより当社は、地球温暖化問題への対応は極めて重要な課題と認識し、事業運営に取り組んでまいりましたが、この目標は、これまでの取り組みの延長では到底達成できない、大変チャレンジングなものと受け止めております。当社としては、実現に向けて、電源の低炭素化や電化の促進など、現状の取り組みを更に加速するとともに、新たな技術開発にも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 具体的には、原子力の安定稼働や既存水力の最大限の活用に加え、風力・太陽光等の再生可能エネルギーの導入拡大に努めているところであります。
 特に、再生可能エネルギーに関しては、先月の会見でも申し上げたとおり、2030年度に50万kWという開発目標を確実に達成するため、その取り組みを加速する役割を担う専任組織として、今月より、再生可能エネルギー部内に新たに「開発推進室」を設置し、体制を強化したところであります。
 また、石炭を含む火力発電については、再生可能エネルギーの導入拡大を進めていく中で、電力供給の安定化を支える調整力としての役割が増していくものと考えており、当面は、国の方針を踏まえて非効率なものをフェードアウトしながら、高効率化を進めたうえで活用したいと考えておりますが、中長期的には、水素やアンモニア等の利用などにより、供給側の低炭素化・脱炭素化を目指してまいりたいと考えております。
 加えて、需要側の取り組みとして、蓄電池やEV(電気自動車)の普及などによる電化の更なる推進や、VPP(仮想発電所)など、これらを有効に活用できる技術の開発を加速し、2050年の脱炭素社会の実現に近づけるよう、最大限努力してまいる所存であります。

 <新型コロナの感染拡大>
 さらに、今年は、世界中で猛威を振るった新型コロナウイルスの感染拡大を抜きにして語ることはできません。足元では第3波ともいえる全国的な感染の広がりが懸念されるところですが、これまでも感染拡大を防ぐため、各種イベントの延期や中止、移動・会食の自粛などにより、四国でも経済や産業、インバウンドなどに甚大な影響がありました。
 当社グループにおいても、電力需要の減少による収入面への影響に加え、事業運営の面でも少なからぬ影響がありました。具体的には、ライフラインを担う事業者として、とりわけ発電所や系統運用に係る当直員の感染防止対策に細心の注意を払うとともに、万一に備えたバックアップ体制を整えるなど、安定供給に支障をきたすことのないよう、万全の対策を講じてまいりました。
 1日も早い終息を願うばかりですが、コロナ禍を機に人々の生活様式や消費行動が変化し、AI・IoTの進展やデジタル化の加速とも相まって、今後、社会経済活動のあらゆる面で構造変化が起きると見ております。そうした「ポストコロナ」「ウィズコロナ」の時代にあっても、当社は、時代の変化に的確に対応し、魅力的なサービスを提供することで、お客さまに選ばれ続けるよう、更なる変革・成長を図ってまいりたいとの思いを強くしております。
 
 以上、今年一年を簡単に振り返ってまいりましたが、本年は、4月から送配電部門が四国電力送配電株式会社として分社・発足するという、当社を含む電力業界にとって歴史的な変化の年でもありました。
 送配電ネットワークの利用に係る中立性・公平性を確保しながら、当社グループとして、今後もお客さまに低廉で安定した電気をお届けするという不変の使命を果たし続け、ともに四国の活性化・発展に貢献してまいりたいと考えております。


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