2023年12月04日
四国電力株式会社

社長定例記者会見の概要

 

 令和5年12月4日、長井社長が今年最後となる定例記者会見で一年を振り返り、「電気事業の経営正常化と地盤固め」、「気候変動問題への取り組み」、「伊方発電所の重要性と安全・安定運転への取り組み」および「お客さま情報の目的外閲覧事案」について説明しました。

【電気事業の経営正常化と地盤固め】
 昨年2月のロシアのウクライナ侵攻に端を発した国際情勢の混乱が続く中でスタートした2023年ですが、ご存知のとおり、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に引き下げられ、数年ぶりに人の流れや社会の動きがようやく平常を取り戻しました。
 エネルギーを取り巻く情勢は依然不透明な状況の中、当社にとって今年は、赤字決算が続く電気事業の経営を正常化し、事業基盤の回復、地盤固めを目指すとともに、より先の将来も見据えた中長期的な課題に着実に取り組んだ年でもありました。
 
 「電気事業の地盤固め」について具体的に申しますと、発電事業については、供給力の要である伊方3号機が、一年を通して大きなトラブルがなく、順調に安全・安定運転を継続していることに加え、今年6月には西条発電所新1号機が戦列に加わりました。
 また、橘湾火力をはじめとする他の主力電源についても、近年の厳しい経営環境下でやむなく繰り延べてきた修繕工事を着実に実施し、供給信頼度の維持・向上を図っております。
 
 また、小売事業については、ご承知のとおり、世界的な燃料価格の高騰が続き、そのままでは電力の安定供給に支障をきたしかねない厳しい状況であったことから、やむを得ず、昨年に自由料金の燃調上限を廃止し、今年6月には、規制料金の値上げを実施させていただきました。
 これらにより、昨年から経営を圧迫してきた燃料費のいわゆる「逆ザヤ」の状態が解消し、ようやく平常の事業運営を取り戻した一方で、昨年度までに累積した巨額赤字による経営へのダメージは未だ残ったままであり、今後、早急に、毀損した財務基盤の回復を図っていかなくてはなりません。

 私としては、燃料費の上昇や供給力不足、また自然災害も含め、振れ幅の大きい国内外の様々なリスクに晒されている事業環境下にあって、引き続き、当社の最大の使命である安定供給の責任を将来にわたり今後も果たし続けていくためには、財務体質を強靭なものにしなくてはならないとの決意を強くしているところであります。


【気候変動問題への取り組み】
 世界のエネルギー情勢が大きく様変わりする中にあっても、気候変動問題の解決に向けた世界の潮流が変わることはなく、我が国においては、エネルギーの安定供給を大前提に、脱炭素化社会を実現していく「GX(グリーン・トランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」が閣議決定され、今年5月には、「GX推進法」および「GX脱炭素電源法」が成立しました。
 こうした状況の下で、当社は、GXの実現に向けて、電源の低炭素化・脱炭素化への対応を加速させており、今年、いくつかの新たな取り組みについて、皆さまにお知らせしてまいりました。

 例えば、火力発電の低炭素化・脱炭素化に向けては、先にも触れたとおり、経年化の進んだ西条発電所1号機を最新鋭の高効率機にリプレースし、6月に営業運転を開始しました。同機では、従来に比べて、発電電力量あたりのCO2排出量を13%程度削減するとともに、硫黄酸化物や窒素酸化物の排出量も低減させるなど、環境負荷の低減を図っております。さらに今後は、木質バイオマスの混焼に加えて、新たに下水汚泥固形燃料化物の混焼も行うことで、循環型社会の構築にも貢献してまいります。
 また、アンモニアや水素といった脱炭素燃料の導入に関しても、他の事業者との協業を積極的に行っており、愛媛県今治市にある波方ターミナルにおいて、2030年までに年間約100万トンのアンモニアを取り扱うことを想定した検討を、関係する企業・自治体とともに行っているほか、愛媛県および三浦工業様とは、四国初の水素サプライチェーンモデルの構築プロジェクトに取り組んでおります。
 この他にも、愛媛県松山市において、四国初となる大型蓄電池事業の実施に向けた事業会社を共同設立するなど、今年は、将来の大きな目標に向けて、着実に歩みを進めることができたものと考えております。

 「2050年カーボンニュートラル」は、その実現に多くの困難を伴う非常に高いハードルではありますが、当社といたしましては、今後とも、この挑戦を通じて、四国地域における持続可能な社会の実現に貢献してまいる所存です。


【伊方発電所の重要性と安全・安定運転への取り組み】
 私自身、今年を振り返り、足元での経営正常化や中長期的課題への対応に手応えを感じる一方、緊迫する国際情勢が我が国のエネルギー供給に与える影響に常に思いを巡らし、改めて、エネルギー政策の大前提である「S+3E」、とりわけ安定供給の重要性を痛感しながら、経営の舵取りを行った一年でありました。

 この安定供給と脱炭素の両立は、決して容易ではありませんが、エネルギー供給を支える責任ある事業者である私どもに課せられた使命であると捉えており、この中で重要な役割を担うのは、やはり原子力発電であると考えております。

 当社といたしましては、伊方3号機の安全・安定運転の実績を積み重ねることが、電力の安定供給と脱炭素を両立するうえで何よりも重要であると考えており、そのためにハード・ソフトの両面から伊方発電所のさらなる安全性向上に不断の努力を重ねてまいる所存であります。
 改めて申すまでもなく、伊方発電所の運営には、地域の皆さまのご理解が不可欠です。当社は今後も、日頃から発電所に関する情報を丁寧に分かりやすく発信するとともに、「えひめ方式」による情報公開を徹底することで、発電所の運営に対する透明性をさらに高めてまいります。

 また、今年、4年ぶりに対面で実施した「訪問対話活動」で、地域の皆さまから、引き続き安全最優先を求める声や、電気料金の引き下げに対するご要望、当社に信頼を寄せていただいている温かい声など、たくさんのご意見を頂戴しました。
 私たちは、そうした地域の皆さまからいただいたご意見をしっかりと受け止め、これからも地域の皆さまからご信頼いただける伊方発電所を目指してまいります。


【お客さま情報の目的外閲覧事案】
 本事案については、私自身、経営トップとして大変重く受け止め、判明直後から、従業員との直接対話を通じて、行為規制についての正しい理解や、コンプライアンスに係る意識改革の必要性等を強く訴える取り組みを続けております。これまでに全ての支店を3回巡り、回を重ねるごとに従業員の理解や認識が深まっているとの手応えを感じております。
 当社および四国電力送配電の双方で講じている再発防止対策においては、コンプライアンス意識の徹底とともに、行為規制に関する内部統制体制を強化し、信頼回復に取り組んでいるところであり、私としては、これらの再発防止に向けた取り組みが決して形式的なものにならないよう、しっかりと魂を入れて、定着させていくことが重要であると考えております。

 今後も、私自身が先頭に立ち、こうした事態を二度と起こさないとの強い決意で、再発防止策の着実な実施、コンプライアンスの徹底に取り組んでまいります。


【最後に】
 来年2024年の干支は「甲辰(きのえたつ)」であります。十干(じっかん)の最初の文字にあたる「甲(きのえ)」は、成長や物事の始まりを意味し、また、十二支の中で唯一架空の動物である「辰」は、力強さや幸運の象徴とも言われております。
 これらが組み合わさる「甲辰」の年が、当社にとって、また四国地域にとって、将来に向けての芽吹きと成長を感じ、力みなぎる年となるよう、役員・従業員一同、一層邁進してまいりたいと考えております。



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