令和7年3月28日、宮本社長が「国際事業の現状と今後の展開」について説明いたしました。
【はじめに】
本日は、当社の国際事業の現状と今後の展開についてご説明させていただきますが、議題に入る前に、まずは、このたびの愛媛県今治市での山林火災に伴う停電により、ご迷惑をおかけしているお客さまにお詫び申し上げますとともに、被災された方々に、お見舞い申し上げます。
当社および四国電力送配電では、本店・本社および愛媛支店・松山支社において特別非常体制を発令し、両社一丸となって火災対応にあたっております。幸いにも、昨晩の恵みの雨により、火災もおさまりつつありますが、私どもとしては、鎮火が確認されるまで、引き続き、緊張感をもって、電力設備の巡視等を進めてまいる所存であります。
なお、四国電力送配電では、今治市への電力供給を支える送電線、今治線が停止した場合、大規模な停電につながる可能性をお知らせしておりましたが、愛媛県や消防、自衛隊など関係者の皆さま方の懸命な消火活動により、これまでのところ、そのような状況には至っておりません。
この場をお借りして、関係者の皆さま方のご尽力に厚く御礼申し上げますとともに、万が一の事態に備え、合計86台もの発電機車と500人を超える人員を応援派遣いただいている一般送配電事業者の皆さまにも、心より感謝申し上げます。
【国際事業の現状と今後の展開について】
(詳しくは「国際事業の現状と今後の展開について」をご覧ください。)
まず初めに、改めて当社が国際事業に取り組む意義やねらいについて申し上げますと、当社が国内の電気事業で培った高度な技術や経験を活かし、安価で安定的、低炭素な電力をお届けすることで、実施国の経済発展と社会基盤の向上、脱炭素化の取り組みに貢献できると考えております。
また、私どもにとりましても、事業を通じて収益機会が拡大し、経営基盤の強化を図れることに加え、昨今国内での新規電源開発の機会が減少する中、海外の現場で様々な経験を積むことにより、電気事業の将来を担う逞しい若手の人材が育つといった効果も期待しております。
さらには、愛媛県松山市における当社初の大型蓄電池事業である「松山みかんエナジー事業」のように、国際事業の取り組みを起点として構築した海外事業者との関係が、四国内での新たな事業・サービスの提供に繋がることも期待できるなど、当社としては、国際事業への取り組みを通じて、四国地域のお客さまや株主の皆さまなど、様々なステークホルダーの皆さまに貢献できるものと考えております。
当社は、中東カタールにおける火力発電事業への参画を皮切りに、世界各国のエネルギー事情や電源開発ニーズ等について絶えず情報収集を行いながら、新規案件の獲得に努めることで、中央アジアや東南アジア、北米・南米といった広範な地域に事業エリアを拡大してまいりました。現在では、10か国において、火力発電事業9件、再エネ発電事業6件、合わせて15件の発電事業に参画しており、当社の持分容量は、合計で約175万kWとなっております。
海外での発電事業に取り組み始めた当初は、火力発電事業が中心でしたが、近年では、再エネ開発にも積極的に取り組んでおり、今年度には、インドネシアにおいて水力やバイオガス事業を行う再エネ発電事業者への出資参画や、ウズベキスタンにおける大型の太陽光および風力発電事業へ参画することといたしました。
国際事業における各目標に対する進捗状況ですが、目標のうち、持分容量については、2025年度150万kWという目標を一年前倒しで達成し、既に30年度200万kWの達成も視野に入ってきております。
また、経常利益についても、毎年30億~40億円程度の利益を獲得できているところであり、引き続き、30年度80億円というチャレンジングな目標に向け、更に積極的な取り組みを継続してまいりたいと考えております。
具体的には、これまで実績のある国や地域において、引き続き、優良案件の発掘に注力するとともに、開発初期段階から案件に参画することで収益性の向上を目指すほか、リスク分散の観点も踏まえ、新たな地域への投資も検討しております。
また、事業領域に関しましても、当社グループの知見を活かすことのできる、蓄電池事業や地域熱供給事業といった新たなエネルギーインフラ事業、さらには、データセンター事業などのデジタルインフラ事業への参画機会を模索してまいる所存であります。
【広島地裁および松山地裁における当社勝訴の判決】
ご承知のとおり、両判決では、伊方3号機の運転差止めを求める原告の請求が棄却されました。
伊方3号機は四国の生活や産業を支える、電力安定供給の要であり、両裁判所に「伊方3号機の安全性が確保されている」との当社の主張を認めていただいたことは、大変意義深いものと受け止めております。
当社としましては、引き続き、伊方発電所の安全対策に終わりはないとの認識の下、更なる安全性・信頼性の向上に不断の努力を重ねてまいる所存であります。