伊方発電所における通報連絡事象の概要(平成15年5月分)
1.伊方1号機 原子炉補機冷却海水系統配管フランジからの漏えいについて
5月1日17時30分頃、第21回定期検査中の伊方1号機において、原子炉補機冷却海水系B系統の配管フランジの点検工事を行っていたところ、作業員が誤って運転中のA系統の配管フランジのボルトを緩めたため、当該フランジより海水が漏えいした。このため、点検中であったB系統を復旧し、当該フランジのパッキンを取り替え、5月2日10時10分、漏えいのないことを確認した。
調査の結果、 |
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点検対象の配管フランジに明確な表示がなかった |
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作業員は運転中のA系統の配管フランジで作業要領の説明を受け、点検対象の配管フランジはB系統と聞いていたが、一端現場を離れて戻った際、点検対象をA系統と誤って認識した
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ことから、誤って運転中のA系統の配管フランジを点検したものと推定される。 |
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[原子炉補機冷却海水系統] |
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原子炉補機(ポンプ等の機器)や空調設備などの冷却器の冷却水として使用する海水を供給するための系統。
当該系統にはA・B2系統があり、事象発生時は、点検のためにB系統を隔離し、A系統のみで運転していた。 |

2.伊方2号機 低圧タービングランド蒸気圧力計の検出配管継ぎ手部からの漏えいについて
5月6日14時40分頃、通常運転中の伊方2号機において、低圧タービンのグランド蒸気圧力計の検出配管継ぎ手部から微量の蒸気漏れがあることを保修員が発見した。このため、当該継ぎ手部を補修材により補修し、5月9日、漏えいのないことを確認した。
[グランド蒸気] |
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タービン軸から空気がタービン側に流入するのを防止するため、タービン軸封部をシールしている蒸気。 |

3.伊方2号機 発電機出力の変動について
5月8日4時48分、送電系統への落雷に伴う系統ショックにより、伊方2号機の発電機出力に有意な変動が発生した。
発電機出力の変動はいずれも瞬時に収束し、プラントの運転に影響はなかった。
4.伊方2号機 発電機出力の変動について
5月15日17時30分、送電系統への落雷に伴う系統ショックにより、伊方2号機の発電機出力に有意な変動が発生した。
発電機出力の変動はいずれも瞬時に収束し、プラントの運転に影響はなかった。
5.伊方3号機 総合排水処理装置排泥ポンプ出口配管からの漏えいについて
5月15日9時30分頃、通常運転中の伊方3号機において、総合排水処理装置の排泥ポンプA出口配管付近より漏えい跡があることを作業員が発見した。
点検の結果、排泥ポンプA出口配管のフランジ溶接部近傍に貫通穴が2箇所認められたため、当該配管の取り替えを行い、 5月23日、漏えいのないことを確認した。
[総合排水処理装置] |
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非管理区域(タービン建屋、総合事務所など)の一般排水や海水淡水化装置の排水を浄化処理する装置。
排泥ポンプは、同装置の凝集沈殿槽内に沈殿した汚泥を濃縮槽に送るためのポンプ。
なお、排泥ポンプにて濃縮槽に送られた汚泥は、更に濃縮した後、脱水して脱水ケーキ(固形物)となる。 |

6.伊方1号機 ほう酸注入タンク出口弁の不具合について
5月16日18時5分頃、第21回定期検査中の伊方1号機において、原子炉補助建家内にある「ほう酸注入タンク出口弁」の液体浸透探傷検査を実施したところ、当該弁の弁体のシート部に傷が認められたことから、弁体を新品に取り替えた。
[ほう酸注入タンク] |
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非常用炉心冷却装置(ECCS)を構成する機器の一つで、核反応の抑制材であるほう酸水を蓄えているタンク。
事故時において、高圧注入ポンプにより原子炉容器内に同タンクのほう酸水を注入し、原子炉の核反応を抑制する。 |

7.伊方2号機 発電機出力の変動について
5月18日15時57分頃、通常運転中の伊方2号機において、発電機出力に有意な変動が発生した。
原因は、伊方1・2号機の送電線に連系されている大洲変電所の変圧器の点検作業に伴う送電系統の切り替え作業によるものであった。
なお、発電機出力の変動はいずれも瞬時に収束し、プラントの運転に影響はなかった。
8.伊方3号機 総合排水処理装置逆洗ポンプ出口配管からの漏えいについて
5月22日14時20分頃、通常運転中の伊方3号機において、総合排水処理装置の逆洗ポンプ出口配管付近より漏えいしていることを作業員が発見した。
点検の結果、当該配管のフランジ溶接部に貫通穴が2箇所認められたため、接着材により補修し、仮復旧した。その後、当該配管を取り替え、5月28日、漏えいのないことを確認した。
[逆洗ポンプ] |
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排水をろ過処理する際に、ろ過器内に溜まった固形物を除去するために、処理水を逆向きに流し、洗い出すためのポンプ |

9.伊方発電所における地震検知について
5月31日3時58分頃、愛媛県南予地方で地震が発生し、伊方発電所においても5ガルを観測したが、1,2,3号機とも異常はなく、プラントの運転に影響はなかった。
(参考)伊方発電所の観測ガル数 |
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1号機:5ガル(定期検査中)
2号機:5ガル(通常運転中)
3号機:検知せず(通常運転中) |
伊方発電所における通報連絡事象の報告書概要(平成15年4月分)
1.伊方3号機 セメント固化装置混練機の自動停止について
○事 象
4月3日11時46分頃、通常運転中の伊方3号機において、補助建屋内にあるセメント固化装置の異常を示す信号が発信し、同装置の混練機が自動停止した。
点検の結果、混練機の回転数を制御するための電源設備(インバータ)に異常のあることが判明したため、当該インバータをメーカ工場にて修理し、5月8日復旧した。
○原 因
インバータ内部の制御基板上の電解コンデンサが液漏れを生じ、制御回路が短絡状態となったため、インバータの出力電流(電動機への供給電流)が異常に大きくなり、過負荷保護装置が作動したものと推定される。
○対 策
- 当該インバータについて、不良の認められたものを含む電解コンデンサ全数の取替を行った。
- 当該インバータの点検時においては、異常を早期に検知するため、負荷電流が流れた状態で電流を測定することとした。

2.伊方2号機 スチームコンバータ加熱蒸気圧力調節計の不具合について
○事 象
4月8日14時35分頃、第16回定期検査中の伊方2号機において、補助蒸気を発生するためのスチームコンバータから蒸気が発生していないことを中央制御室の運転員が発見した。
点検の結果、スチームコンバータの加熱蒸気を制御する1次圧力調節計が不良となったため、1次圧力制御弁が全閉となった。このため、スチームコンバータに加熱蒸気を供給できず、補助蒸気を発生できなかったことが判明した。その後、当該調節計を予備品と取り替え、4月9日復旧した。
○原 因
調査の結果、当該調節計の圧力検出部に変形が認められたことから、原因は当該調節計が正常な圧力を検出できず、誤った制御信号を出力したため、1次圧力制御弁が全閉状態になったものと推定される。
圧力検出部の変形した要因としては、回転軸のわずかな傾きや磨耗痕により、圧力検出部の回転が一時的に拘束され、圧力検出部に無理な力が加わり変形したことが考えられる。
○対 策
運転中の故障に対応するため、今後とも調節計の予備品を常備しておく。

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