伊方発電所における通報連絡事象の概要(平成15年7月分)
1.伊方1号機 一次冷却系統漏えい検査中における不具合について
7月3日12時50分頃、第21回定期検査中の伊方1号機において、一次冷却系統漏えい検査を行っていたところ、加圧器逃がしタンクへ一次冷却材の僅かな流入が認められた。
点検調査の結果、
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温度上昇の状況から、加圧器安全弁Bもしくは加圧器安全弁を取り付けるための配管に設置しているドレン弁からの漏えいと考えられること |
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加圧器安全弁Bを分解点検した結果、健全であったこと |
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ドレン弁を分解点検した結果、弁体・弁座シートに軽微な肌荒れがあったこと |
から、漏えい検査に伴う昇温昇圧により、当該ドレン弁のシート部に微小な隙間が生じ、加圧器逃がしタンクへの一次冷却材の流入に至ったものと推定された。
このため、加圧器安全弁Bおよびドレン弁の点検手入れを行い、再度行った一次冷却系統漏えい検査において、異常のないことを確認した。なお、ドレン弁の閉止操作にあたっては、専用の工具を用いて行った。 |
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[一次冷却系統漏えい検査] |
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一次冷却系統に運転中の圧力以上の圧力をかけて、系統からの漏えいがないことを確認する検査。
ドレン弁は、定期検査での機器の分解点検等の際に、配管から水を抜くために設置している弁。 |

2.伊方1号機 一次冷却材ポンプ封水注入系統流量計元弁の不具合について
7月9日18時30分頃、第21回定期検査中の伊方1号機において、機器等の点検を終了し、一次冷却系統の高温・高圧停止状態でのパトロールを行っていた保修員が、一次冷却材ポンプ封水注入系統の流量計元弁から、3分間に一滴程度の僅かな漏えいがあることを発見した。このため、一次冷却系統の圧力、温度を低下させて当該弁の分解点検を行った。
その結果、弁を構成する部品に欠損・割れ等の異常は認められなかったことから、弁の開閉操作等に伴い弁内部の部品の締め付け状態が徐々に変化し、漏えいが生じたものと推定した。
このため、当該弁の内部部品の取り替えおよび手入れを行い、一次冷却系統の圧力、温度を再度上昇させて、当該弁から漏えいがないことを確認した。
[一次冷却材ポンプ封水注入系統] |
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一次冷却材ポンプ(一次冷却材を蒸気発生器から原子炉内に循環させるためのポンプ)の回転軸から一次冷却材が漏れ出すのを防止するため、一次冷却材よりも圧力の高い水(封水)をポンプ軸受部に供給する系統。
流量計元弁とは、一次冷却材ポンプ封水注入系統の流量計を設置している配管に取り付けている手動弁で、流量計の点検時以外は常時「開」としている。 |

3.伊方3号機 取水ピット水位計の不具合について
7月10日20時20分頃、通常運転中の伊方3号機において、取水ピット水位計の異常を示す信号が発信した。
点検の結果、2系統ある取水ピット水位計のうち、片方の水位計の検出器(下流側)が動作不良であった。現在、当該検出器を製造メーカにて修理中である。
なお、残る1系統の水位計により除塵装置の洗浄運転を自動で行うことができるため、除塵装置の運転に影響はない。
[取水ピット水位計] |
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タービンの冷却用海水の取水ピットには、クラゲや海塵を除去するため、除塵装置を設置している。本水位計により除塵装置の前後海面の水位差を測定し、自動的に除塵装置の洗浄運転を行っている。 |

4.伊方1・2号機 発電機出力の変動について
7月29日21時49分、送電系統への落雷に伴う系統ショックにより、伊方1・2号機の発電機出力に有意な変動が発生した。
発電機出力の変動はいずれも瞬時に収束し、プラントの運転に影響はなかった。
参考:落雷場所および発電機出力の変動幅 |
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(※1)1号機は定格熱出力にて調整運転中。(8月6日に定期検査終了) |
伊方発電所における通報連絡事象の報告書概要(平成15年6月分)
1.伊方3号機 総合排水処理装置脱水機漏電ブレーカーの不具合について
○事 象
6月7日0時31分頃、通常運転中の伊方3号機において、総合排水処理装置の異常を示す信号が発信した。
点検の結果、脱水機操作盤内の漏電ブレーカーの故障であることが判明したため、当該ブレーカーを新品に取り替え、復旧した。
○原 因
脱水機の電源設備である漏電ブレーカー内の漏電を検出する回路が故障し、誤動作したものと推定される。
○対 策
総合排水処理装置に使用している漏電ブレーカー全数について外観点検および機能確認を行い、異常がないことを確認した。
2.伊方3号機 2次系補助設備制御盤の不具合について
○事 象
通常運転中の伊方3号機において、2次系補助設備制御盤の異常を示す信号が発信したことから、同制御盤を確認していたところ、6月20日9時45分、2台ある操作卓のうち1台で、2次系補助設備の状態監視、機器の操作ができないことが判明した。
点検の結果、当該操作卓の制御カードの1枚が不良であることが確認されたため、制御カードを取り替え、復旧した。
なお、2次系補助設備の操作卓は同機能のものが2台あることから、2次系補助設備の運転に影響はなかった。
○原 因
当該操作卓において、2次系補助設備の制御装置と通信を行う制御カードが故障したことから、自己診断機能により当該操作卓が停止状態となり、状態監視、機器の操作ができなくなったものと推定される。
○対 策
運転中の故障に対応するため、今後とも制御カードの予備品を常備しておく。

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