伊方発電所における通報連絡事象の概要(平成15年9月分)
1.伊方発電所 雑固体焼却設備内のオイル漏れについて
9月3日9時45分頃、伊方発電所雑固体焼却設備内において、低レベル放射性廃棄物を焼却炉に投入し易いように袋詰めする装置から油圧オイルが漏れているのを、運転員が発見した。このため、同装置を直ちに停止し、オイル漏れは停止した。
調査の結果、油圧ポンプ出口配管と圧力調整弁の接続部にわずかな隙間があり、パッキン(Oリング)が損傷していることが確認された。また、パッキンに正規のものよりも硬度の低いものが使用されていた。
このため、当該パッキンを正規のものに取り替え、当該接続部に隙間のないよう組み立てた上で、漏えいのないことを確認して復旧した。
[雑固体焼却設備] |
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荷揚岸壁付近に設置している付属設備で、管理区域内の作業で発生した紙ウェス、シート等の可燃性の低レベル放射性廃棄物を焼却し、減容する設備。 |

2.伊方3号機 余熱除去系統配管のひびについて
9月19日より第7回定期検査を実施している伊方3号機において、ステンレス配管の塩化物応力腐食割れの調査・点検を順次行っていたところ、余熱除去系統のステンレス配管で塩化ビニールテープと見られる付着物を3箇所で発見した。このため、当該箇所の液体浸透探傷検査を実施した結果、9月24日、2箇所にひび(欠陥指示)があることを確認し、1箇所に異常のないことを確認した。
現在、ひびの発生原因やひびの状況等の詳細調査を行っている。
[余熱除去系統] |
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原子炉を停止した後に炉心から発生する熱を除去し、炉心を冷却するための系統で、2系統設置されている。 |

伊方発電所における通報連絡事象の報告書概要(平成15年8月分)
1.伊方3号機 炉内出力分布測定における制限値超過について
○事 象
8月6日18時25分、通常運転中の伊方3号機において、定期的に実施している炉内出力分布測定を実施したところ、燃料1体の最上部で出力評価値(測定された中性子の数から一定の計算諸元を用いて出力を評価)が制限値を約1%超えていることが確認された。
このため、伊方発電所原子炉施設保安規定に基づき、原子炉出力を2%降下した。
○原 因
運転中の炉心最上部周辺には炉心から放出された中性子が炉心の周りにある水により反射されて集まっており、その中性子群が影響したものと考えられる。このような炉心最上部周辺に中性子が集まる傾向は一般的に燃料の燃焼が進み運転期間末期に近づくにつれて顕著に見られるものであり、燃料の健全性に問題はなかった。調査の結果、原因は、このような運転期間末期の状態において、運転期間初期の諸元に基づき評価していたことから、評価値が制限値を上回ったものと推定される。
○対 策
- 炉心上部の出力評価の方法について再検討し、運転期間初期の諸元に基づき評価していたこれまでの方法から、燃料の燃焼の進み具合に応じた諸元に置き換えて、出力降下前の評価値について再評価を行った結果、制限値を下回っていることを確認した。
- 今後の炉心上部の出力評価にあたっては、燃料の燃焼の進み具合に応じた諸元に基づき評価することとし、作業要領書にその旨の要領を追加した。
また、1、2号機についても同様の対策を実施した。
2.伊方3号機 タービン動主給水ポンプ油清浄器ガス抽出機の不具合について
○事 象
8月15日8時41分、通常運転中の伊方3号機において、二次系のタービン動主給水ポンプ油清浄器ガス抽出機の異常を示す信号が発信し、当該ガス抽出機が自動停止した。
点検の結果、当該ガス抽出機の電動機のベアリングが損傷していたため、ベアリングを取り替え、復旧した。
なお、当該ガス抽出機の停止によるタービン動主給水ポンプへの影響はなかった。
○原 因
当該ガス抽出機の電動機のファン側ベアリングが焼き付いたため、電動機の負荷が上昇し、保護装置が作動して当該ガス抽出機が自動停止したものと推定される。
ベアリングが焼き付いた原因としては、ベアリング製造時の個体差に起因した要因により、通常よりも早く、ベアリングの寿命に到達したものと推定される。
○対 策
当該ガス抽出機の電動機のベアリングを新品に取り替えた後、試運転を行い、運転状態に異常がないことを確認した。

3.伊方3号機 主変圧器保護リレー装置の不具合について
○事 象
8月20日10時02分、通常運転中の伊方3号機において、主変圧器保護リレー装置の異常を示す信号が発信した。
点検の結果、主変圧器保護リレー装置本体に異常はなく、主変圧器保護リレー装置を自動診断する装置内の回路の接続部で一時的な不良が発生し、当該診断装置が正常に動作しなかったものと考えられた。このため、当該診断装置の清掃を行い、再度、当該診断装置の動作確認を行い問題ないことを確認した。
なお、主変圧器は多重に保護されているため、本事象によるプラントの運転に影響はなかった。
○原 因
自動診断装置内の回路の接続部に導電性の微小な異物が付着したことにより、一時的な接続部の不良が発生し、自動診断装置が正常に動作しなかったものと推定される。
○対 策
- 保護リレー装置点検、自動診断装置および収納箱の清掃を行った後、自動診断装置の動作確認を行い、保護リレー装置全体の動作の健全性を確認した。
- 主変圧器保護リレー装置の点検内容に、自動診断装置を引き出しての配線部分の清掃、目視確認および接続状態の確認を追加することとし、その旨、作業要領書に反映した。

4.伊方発電所 モニタリングポスト用埋設ケーブルの損傷について
○事 象
8月21日13時17分、伊方1・2号機および3号機の中央制御室にある野外モニタ盤等に、モニタリングポストの異常を示す信号が発信し、No.4モニタリングポストの指示値が表示不能となった。
No.4モニタリングポストを確認した結果、本体に異常はなく、当該ポストの現地での指示値も正常であった。このため、当該ポストから中央制御室等に信号を送る回路を調査した結果、発電所構内で行われていた掘削工事において、当該ポスト用の埋設ケーブルを損傷させていたことが判明した。
その後、損傷した埋設ケーブルの復旧作業を行い、中央制御室等で正常な指示が表示されることを確認した。
○原 因 |
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当社工事担当者は、掘削工事の元請作業責任者に工事内容を説明した際、工事エリア付近に埋設物があるため掘削作業を注意して行うよう説明していたが、設計図面に名称や種類が記載されていなかったため、埋設物に対する注意喚起が十分でなかった。 |
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元請作業責任者は、協力会社作業責任者および作業員に対し、設計図面で埋設物があることを説明していたが、現場での説明はしていなかった。 |
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協力会社作業責任者は、作業要領書読合せの際、元請作業責任者から埋設物について説明を受けたが、同現場で配管移設工事が既に実施されていたことを知っており、当該埋設ケーブルも撤去されているものと思い込んだ。 |
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埋設ケーブルの位置を示す埋設表示鋲は設置されていたが、掘削時に埋設位置を明確に示す白線等の表示がされていなかった。 |
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ことから、掘削作業中に誤って当該ポスト用埋設ケーブルを掘削重機(バックホウ)にて損傷させたものである。 |
○対 策 |
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(1) |
損傷した埋設ケーブルのうち、切断した信号ケーブルについては、切断区間を取り替え、損傷した電源ケーブルについては、損傷箇所を含む区間を取り替えた。 |
(2) |
工事エリア周辺に埋設物がある場合について下記の留意事項を明記したワンポイントレッスンを作成し、所内に徹底周知した。 |
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当社工事担当者は、埋設物に対する注意喚起を促すため、設計図面に埋設物の名称や種類を明記する。 |
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当社工事担当者、元請作業責任者および協力会社作業責任者等の工事関係者により、現地にある埋設物の位置を確認するとともに掘削作業前に埋設物の場所および掘削予定場所を白線等で確実に表示する。 |
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元請作業責任者は、協力会社作業責任者および作業員に対し、作業前ミーティングで埋設物がある場合の注意事項を確実に周知する。 |
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