伊方発電所における通報連絡事象の概要(平成15年10月分)
1.伊方2号機 湿分分離加熱器マンホールからの漏えいについて
10月4日16時40分頃、通常運転中の伊方2号機のタービン建家1階において、床に溜まり水(10cm角程度)があることを運転員が発見したため、溜まり水の上方にある湿分分離加熱器Cのマンホールを確認したところ、マンホール蓋を締め付けているボルト(20本)のうち2本から水滴が滴下(10秒間に1滴程度)していることを確認した。
このため、当該ボルトの増し締めおよびエポキシ樹脂による補修を行い、漏えいが停止したことを確認した。
[湿分分離加熱器] |
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高圧タービンで使用した蒸気を低圧タービンで効率的に使えるように、蒸気の湿分を取り除き、温度を上げる設備。(4基設置) |

2.伊方3号機 放水ピット試料採取ポンプの不具合について
10月8日23時45分、第7回定期検査中の伊方3号機において、放水ピット水モニタの故障を示す信号が発信した。このため、現地を確認したところ、放水ピットの試料採取ポンプBが自動停止し、放水ピット水モニタ等への海水の供給が停止していることを確認した。
調査の結果、当該ポンプ用の漏電ブレーカーが故障していることが判明したため、漏電ブレーカーを取り替え、復旧した。
[放水ピット試料採取ポンプ] |
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放水ピット水モニタ等に測定用の海水を供給しているポンプで、2台設置している。 |

3.伊方3号機 非常用ディーゼル発電機の不具合について
10月17日13時38分頃、第7回定期検査中の伊方3号機において、非常用ディーゼル発電機Aの月1回の定期試験(起動試験)を行っていたところ、異常を示す信号が発信し、当該機が起動できなかった。
このため、起動用の電気系統、空気供給系統およびディーゼル発電機本体の点検を行った結果、異常のないことが確認できたため、再度起動試験を行い、当該機が正常に起動できることを確認し、復旧した。
[非常用ディーゼル発電機] |
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発電所の運転中に、外部電源(送電線等)からプラントに電気が供給できなくなった場合に、安全にプラントを停止するのに必要な機器等に電気を供給するための設備で、2基設置している。 |

4.伊方1号機 廃液貯蔵タンクドレン配管のほう酸析出物の付着について
10月21日11時頃、通常運転中の伊方1号機において、廃液貯蔵タンクAのドレン配管に、ほう酸と思われる析出物が付着しているのをパトロール中の保修員が発見した。
当該配管を点検した結果、漏えいは既に停止しており、肉眼で確認できる欠陥はなかったことから、当該配管に微小な貫通が発生し、ほう酸を含む廃液が漏えいしたものと推定した。このため、当該箇所をエポキシ樹脂により補修を行った。
なお、詳細な原因調査は、来年1月から実施を予定している1次系タンクの定期点検に合わせて行う。
[廃液貯蔵タンク] |
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管理区域内の機器点検時の廃液(ドレン水や洗浄水等)を受け入れるタンクで、1号機に2基設置している。なお、貯蔵された廃液は、廃液蒸発装置で濃縮した後、アスファルトと混和してドラム缶詰めし、低レベル放射性廃棄物として処理する。 |

5.伊方1・2号機 脱塩水タンク水位計の不具合について
通常運転中の伊方1・2号機において、脱塩水タンク水位の異常を示す信号が発信したことから、脱塩水タンクの水位計を点検したところ、10月25日16時10分頃、水位を測定するためのステンレス製の測定テープが切断していることが判明した。
このため、当該水位計で行っていた機能を、別の水位計から発信している信号で行えるよう信号回路の変更を行い、通常状態に復旧した。
[脱塩水タンク] |
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海水淡水化装置で製造した水等を貯蔵するタンク。貯蔵した水は、純水装置にて更に精製し、別のタンクに貯蔵して発電用水として使用する。1・2号機共用で1基設置。 |

6.伊方3号機 一次冷却材ポンプのモータ用冷却水の漏えいについて
10月31日10時40分頃、第7回定期検査中の伊方3号機において、一次冷却材ポンプA、Bのモータ冷却水系統の水張り作業を行っていたところ、原子炉格納容器3階で水漏れがあることを作業員が発見した。
現地を確認した結果、一次冷却材ポンプCの点検のために取外していた同モータへの冷却水供給配管の接続部から、水張り中の純水が漏えいしていることを確認した。このため、水張り作業を中断し、漏えいを停止した。
調査を行ったところ、漏えい箇所につながる閉止中の弁の不具合によるものと推定されたため、当該弁の分解点検を実施した。この結果、異常は確認できなかったことから、原因は、当該弁のシート部に微小な異物が挟まり、隙間が生じて漏えいに至ったものと推定された。このため、当該弁の点検・手入れを行い、復旧した。
[一次冷却材ポンプモータ冷却水系統] |
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一次冷却材ポンプのモータを冷却するための冷水(純水)を循環させる系統。 |

伊方発電所における通報連絡事象の報告書概要(平成15年9月分他)
1.伊方2号機 補助蒸気配管からの漏えいについて
○事 象
8月22日14時10分頃、通常運転中の伊方2号機において、補助蒸気を供給するための配管から漏えいがあることを運転員が確認した。このため、当該配管を隔離し、点検を実施した。
その結果、当該配管の曲管部からの漏えいと判明したため、漏えい箇所の配管を取り替えた。
○原 因 |
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配管を調査した結果、 |
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・ |
当該配管の内面全体にエロージョンが発生し、貫通部周辺が特に減肉していたこと |
・ |
当該配管のルートがドレン水を発生しやすい状況にあり、事象発生時にドレン水が貫通穴から噴出していたことから、発生したドレン水が逆流している状況にあったこと |
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から、スケールを含むドレン水の逆流によりエロージョンが発生し、長年にわたって徐々に減肉が進展した結果、貫通したものと推定される。 |
○対 策
- 当該配管の曲管部を耐エロージョン性に優れたステンレス配管に取り替えた。
- 当該配管ついては今後も使用予定がないため、補助蒸気母管からの分岐部に隔離弁を設置し当該配管を閉止運用とした。
2.伊方発電所 雑固体焼却設備袋詰装置油圧ユニットからのオイル漏れについて
○事 象
9月3日9時45分頃、伊方発電所雑固体焼却設備内において、低レベル放射性廃棄物を焼却炉に投入し易いように袋詰めする装置から油圧オイルが漏れているのを、運転員が発見した。このため、同装置を直ちに停止し、オイル漏れは停止した。
調査の結果、油圧ポンプ出口配管と圧力調整弁の接続部に僅かな隙間があり、パッキン(Oリング)が損傷していることが確認された。
このため、当該パッキンを新品に取り替え、当該接続部に隙間のないよう組み立てた上で、漏えいのないことを確認して復旧した。
○原 因 |
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平成15年8月28日に実施した当該接続部のOリング取り替え作業でフランジを締め付けた際、 |
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・ |
当該接続部がある配管にはフランジが3箇所あり、全てのフランジを正確に合わせることが難しい構造であったこと |
・ |
当該接続部には締め付け状態を容易に確認することができない部分があり、そこに隙間が僅かに残った状態となっていたが、フランジを締め付けたボルトが回らなくなったことから、十分締め付けられたと考えていたこと |
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から、当該接続部のフランジが片締めとなった。
このため、当該接続部に僅かな隙間が残った状態となり、袋詰装置運転時の内部圧力により、Oリングが僅かな隙間から押し出されて損傷し、油圧オイルが漏えいしたものと推定される。 |
○対 策
- 当該接続部のフランジ締め付け時、フランジを合わせ易くするため、当該接続部の配管の一部を高圧ホースに変更した。
- Oリングを使用している配管フランジの締め付け時は、隙見ゲージ等を使用して隙間のないことを確認することとし、作業要領書にその旨を記載した。

3.伊方3号機 余熱除去系統配管のひびについて
○事 象
9月19日から第7回定期検査中の伊方3号機において、ステンレス配管の塩化物応力腐食割れの調査・点検を順次行っていたところ、余熱除去系統のステンレス配管で塩化ビニールテープと見られる付着物を3箇所で発見した。このため、当該箇所の液体浸透探傷検査を実施した結果、9月24日、3箇所のうち2箇所にひびがあることを確認した。
その後の調査において、新たに塩化ビニールテープと見られる付着物を1箇所で発見したため、液体浸透探傷検査を実施した結果、異常のないことを確認した。
○原 因 |
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調査の結果、 |
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・ |
ひびの拡大観察で粒内割れが認められたこと |
・ |
付着物は、塩化ビニールテープが熱分解したものと推定されること |
・ |
原子炉起動/停止操作時に高温水が流れること |
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から、建設時の当該配管の耐圧・漏えい検査終了後、配管養生に使用した塩化ビニールテープを、保温施工時に取り外すのを忘れ、これが高温水により熱分解し、塩化物応力腐食割れが発生したものと推定される。 |
○対 策 |
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(1) |
ひびが確認された2箇所について、今回の定期検査で配管を取り替える。 |
(2) |
今回の事象は、平成12年10月に発生した「1号機充てん配管耐圧検査中の漏えい」事象における塩化物応力腐食割れの水平展開として、 |
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『漏えいが発生すると原子炉の運転に支障を及ぼす系統および放射能を含む系統で、100〜250℃となるステンレス配管および短時間(累計300時間以内)250℃以上になるステンレス配管』 |
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を調査した結果、発見したものである。今回の調査で、この水平展開は1、2、3号機の全てで終了した。 |
(3) |
なお、平成15年6月に発生した「1号機安全注入系統テストライン配管のひび」事象における塩化物応力腐食割れの水平展開として調査を実施している |
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・ |
通常は常温であるが高温配管に接続され、高温流体が流入する可能性のある範囲 |
・ |
常温で高温流体が流入する可能性がないため、塩化ビニールテープによる塩化物応力腐食割れの可能性はないが、漏えいが発生すると原子炉の運転に支障を及ぼす系統および放射能を含む系統で未点検の範囲 |
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について、3号機は、今回の定期検査および今後2回の定期検査で計画的な点検を行うこととしている。
また、1号機は今後2回の定期検査で(第21回定検にて1回目を実施済み)、2号機は今後3回の定期検査で計画的に点検を行うこととしている。 |
(4) |
現在、ステンレス鋼製品には塩化ビニールテープは使用していない。 |

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