伊方発電所における通報連絡事象の概要(平成15年12月分)
1.伊方3号機 放水ピット上蓋吊り上げ作業中の作業員のケガについて
12月3日14時20分頃、第7回定期検査中の伊方3号機において、放水ピット上蓋を取り替えるため、クレーンで上蓋(約2.1m×約3.7mの鋼板)を吊り上げていたところ、2枚目の上蓋の吊り上げ中にワイヤー3本のうち2本の吊り上げ用アイボルトが上蓋から外れ、上蓋が作業員の背部に接触し、作業員が放水ピットの手摺りで胸を打った。 |
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2枚目の上蓋は、4箇所あるアイボルト取り付け用の穴のうち1箇所については、養生用ボルトが錆びついて取り外せなかったため、アイボルトが取り付けられなかった。 |
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このため、当社健康管理室で診察した結果、作業員は歩ける状態であり、大きな外傷は認められなかったが、念のため市立八幡浜総合病院に搬送し、診察した結果、右胸部打撲、10日間の通院加療(不休傷)と診断された。 |

2.伊方3号機 主給水ポンプウォーミング配管のサポートの外れについて
12月8日18時10分頃、第7回定期検査中の伊方3号機において、主給水ポンプのウォーミング配管5箇所で配管サポートが外れていることを保修員が発見した。
調査の結果、点検のため水を抜いていた主給水ポンプの配管(出口配管、ウォーミング配管)に水張りした際、空気抜きが十分でなく、主給水ポンプの配管に空気が残留した状態で電動主給水ポンプを起動し水圧がかかったことから、残留していた空気が圧縮・反発して圧力変動が発生し、その圧力変動による力でウォーミング配管が一時的に動いて配管サポートが外れたものと推定された。
このため、ウォーミング配管の健全性を確認し、配管サポートから外れたウォーミング配管5箇所を元の状態に復旧するとともに、再度、配管内の空気抜きを十分に行った後、電動主給水ポンプを起動して異常の無いことを確認した。
[主給水ポンプ] |
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蒸気発生器に給水するためのポンプで3台設置しており、伊方3号機では通常運転中はタービン駆動の2台を運転、電動の1台は予備としている。
ウォーミング配管は、主給水ポンプを起動する前に、ポンプに急激な温度変化を与えないよう、予め暖めるために温水を供給する配管。 |

3.伊方3号機 原子炉容器フランジ部の漏えい検知配管の温度上昇について
12月14日16時11分頃、第7回定期検査におけるプラント起動試験中の伊方3号機において、原子炉容器フランジ部からの一次冷却材の漏えいを検知する配管の温度上昇を示す信号が発信した。このため、当該配管の弁(RC−006)を閉じたところ、当該配管の温度は低下した。
原因調査のため、当該配管の弁(RC−006)を開いたところ、一時的に当該配管の温度が信号発信時と同程度まで上昇したが、その後、徐々に低下し漏えい検知配管からの水の排出は停止した。
また、当該配管のドレン弁(RC−005)を開き当該配管内の水を抜き取り、成分を分析した結果、一次冷却材に含まれる濃度のリチウムは検出されなかった。
このことから漏えい検知配管の温度上昇は、一次冷却材の漏えいではなく、原子炉容器フランジ部二重Oリング(パッキン)の間および配管内のたまり水が原子炉容器の温度上昇とともに加熱され、蒸気になって漏えい検知配管内を流れたことによるものと判断されたので、プラント起動試験を継続した。
[原子炉容器フランジ部漏えい検知配管] |
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原子炉容器フランジ部(上蓋と胴体との接合部)には、原子炉容器内部の一次冷却材をシールするため、2本のOリングを装備している。このフランジ部から一次冷却材漏えいを検知するための配管を設置し、漏えいによる配管の温度上昇を監視している。 |

伊方発電所における通報連絡事象の報告書概要(平成15年11月分他)
1.伊方3号機 非常用ディーゼル発電設備起動試験における不具合について
○事 象
10月17日13時38分頃、第7回定期検査中の伊方3号機において、非常用ディーゼル発電設備Aの月1回の定期試験(起動試験)を行っていたところ、異常を示す信号が発信し、当該設備が起動できなかった。
このため、起動用の空気供給系統および燃料供給系統等の点検を行い異常のないことが確認できたため、再度起動試験を行い当該設備が正常に起動できることを確認し、復旧した。
その後、11月10日から当該設備の定期点検を行い、この一環で試運転を行ったところ、10月17日と同様な事象が発生した。
○原 因 |
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調査の結果、 |
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当該設備に供給する燃料の量を調整して運転状態を制御するガバナ本体内にアルミ製の金属片を確認 |
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アルミ製の金属片は、当該設備の起動時にガバナ本体に作動油を供給するブースタの構成部品がむしれたバリと推定 |
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された。
このことから原因は、ブースタの分解点検時に混入したアルミ製の金属片がガバナ本体内に流れ込み、作動油の流れを阻害したことから、ガバナ本体が正常に動作せず、当該設備の起動に必要な燃料が供給できなかったものと推定される。 |
○対 策
- ガバナ本体およびブースタを予備品と取替え、当該設備が正常に起動することを確認した。
- ガバナ本体およびブースタの取外し・取付け時には、取付け座やねじ部にバリ等がないことを確認するとともに、組み立て時の異物混入にも細心の注意を払うこととし、その旨を作業要領書に記載した。
- ワンポイントレッスンを作成し、関係者に対して組み立て時の異物管理を徹底するよう周知した。
2.伊方3号機 原子炉容器内部構造物吊上金具(工具)の変形について
○事 象
11月15日、第7回定期検査中の伊方3号機の原子炉格納容器内において、原子炉容器内部構造物の吊上作業の準備として、専用の吊上金具を使用してリハーサルを行っていたところ、金具の動きが円滑でなかったことから点検を実施した。その結果、同日13時45分頃、当該金具の補助部品である補助リングおよびそれを支持する補助リング操作棒に変形があることを確認した。
○原 因
調査の結果、当該金具を監視カメラで案内棒上に位置決めした際に僅かなずれが生じていたため、当該金具を吊下ろした際に案内棒と補助リングの補助案内孔が干渉し、当該金具の補助リングおよび補助リング操作棒に変形を生じさせたものと推定した。
○対 策
- 監視カメラ画像の視認性を高めるため、モニタを大型化し映像を拡大して表示することで、位置決め精度を向上させた。
- 水中監視カメラの増設および当該金具の吊り下げ状況を確認する監視員の増員等、作業監視体制を強化した。
- 上記の対策を作業要領書に追記するとともに、上記対策により補助リングなしでも作業上問題ないことから変形した補助リング等を取外して再度リハーサルを行った後、11月17日に原子炉内部構造物の吊上作業を実施した。

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