伊方発電所における通報連絡事象の概要(平成16年6月分)
1.伊方1,2号機 ガス絶縁開閉装置(GIS)の不具合について
第17回定期検査中の伊方2号機で、屋内開閉所のガス絶縁開閉装置(GIS)の設置工事において、試充電を行っていたところ、電源として使用していた伊方南幹線2号線の保護リレーが作動した。
このため、GISの調査を行ったところ、6月3日10時00分頃、GIS内部の絶縁ガスの分析結果に異常が認められた。
その後の調査の結果、GISの現地組立作業時に、導体先端とシールド先端が接触し、その際に金属異物が発生したため、試充電時にこの金属異物により短絡(ショート)が生じ、保護リレーを作動させたものと推定される。
このため、当該部を取り替えるとともに、GIS設置工事で同様な接続作業を行った14箇所について点検を行い、異常のないことを確認した。
[試充電] |
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電気設備を組み立て後、設備の健全性を確認するため、初めて通電すること。 |


伊方発電所における通報連絡事象の報告書概要(平成16年5月分他)
1.伊方2号機 低圧タービングランド蒸気圧力計の検出配管継ぎ手部からの漏えいについて
○事 象
平成15年5月6日14時40分頃、通常運転中の伊方2号機において、低圧タービンのグランド蒸気圧力計の検出配管継ぎ手部から微量の蒸気漏れがあることを保修員が発見した。このため、当該継ぎ手部を第17回定期検査で取外す際に調査することとし、それまでの間の処置として補修材による補修を行った。
○原 因
調査の結果、グランド蒸気圧力計は、定期検査時のタービン本体分解・組立作業で毎回取外しているが、取外し・取付けを繰り返したことから当該継ぎ手部のシート面に傷が発生し、漏えいが発生するまで進展したものと推定される。
なお、当該継ぎ手部のシート面は、点検対象になっておらず、傷の状況を把握していなかった。
○対 策
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当該継ぎ手部を新品に取り替えた。 |
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4個ある2号機低圧タービングランド蒸気圧力計の他の3個の検出配管継ぎ手部についても、念のため新品に取り替えた。 |
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同様な継ぎ手のあるタービン本体およびポンプについて、継ぎ手部の取付け前にシート面に傷のないことを確認して必要に応じて手入れを行うこととし、その旨を作業要領書に記載した。 |

2.伊方2号機 湿分分離加熱器マンホールからの漏えいについて
○事 象
平成15年10月4日16時40分頃、通常運転中の伊方2号機のタービン建家1階において、床に溜まり水(10cm角程度)があることを運転員が発見したため、溜まり水の上方にある湿分分離加熱器Cのマンホールを確認したところ、マンホール蓋を締め付けているボルト(20本)のうち2本から水滴が滴下(10秒間に1滴程度)していることを確認した。
このため、当該マンホールを第17回定期検査で分解する際に調査することとし、それまでの間の処置として、当該マンホールのボルトの増し締めおよびエポキシ樹脂による補修を行い、漏えいが停止したことを確認した。
○原 因
調査の結果、 |
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当該マンホールは2号機第16回定期検査において、点検後の締め付け時およびプラント起動後(50%、100%負荷時)の増し締め時にトルク管理による適正な締め付けが実施されていたこと |
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今回の調査時(プラント停止中)には当該マンホールの座および蓋のシート面に有意な歪みが認められなかったこと |
から、プラント運転による圧力、温度の変動により、マンホールシート面の一部がわずかに歪み、その部分においてパッキン圧縮量が低下したため、蒸気が漏えいしたものと推定される。 |
○対 策
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当該マンホールの座および蓋のシート面について手入れ等を行い復旧した。 |
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当該マンホールと同形状のマンホールについては、湿分分離加熱器内の圧力や温度が変化する操作を行う際に漏えいの有無について確認を行うこととし、必要に応じて増し締め等の適切な処置を行うこととする。 |

3.伊方1,2号機 洗浄排水蒸発装置移送配管からの漏えいについて
○事 象
5月1日14時30分頃、伊方1,2号機共用の洗浄排水蒸発装置からドラミングバッチタンク2Aへの移送配管の一部で、水がわずかににじみ出ていることを保修員が発見した。このため、当該箇所をエポキシ樹脂にて補修し、5月7日、当該箇所の配管を取り替えた。
また、その後の調査で、同移送配管の他の2箇所で漏えい跡を確認したため、配管を取り替えた。
○原 因
調査の結果、 |
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移送配管はこれまで使用実績がなく、洗浄排水蒸発装置からの濃縮液が長期間滞留していたこと |
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濃縮液には、作業服を洗濯した時に出る汗(塩分)や保温材の粉等の不純物が含まれており、移送配管にはこれらの不純物が堆積していたこと |
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移送配管は弁点検時に水抜き・水張りしており、その際に配管内に空気が入り、滞留している濃縮液に酸素が溶存した状態であったこと |
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当該箇所の破面調査の結果、羽毛状破面およびひび割れの先端に微量の塩素が確認され、塩化物応力腐食割れと推定されること |
が、判明した。
これらのことから、当該箇所のひびは、不純物、酸素および塩素を含む液体が配管に滞留していたため腐食が発生し、さらにその部分に塩素が浸入して塩化物応力腐食割れが発生して配管が貫通したものと推定される。
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○対 策
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移送配管は使用する予定がないため、今後、撤去する。なお、撤去までの間は移送配管を水抜きして隔離する。 |
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今回の移送配管と類似する配管(不純物、酸素および塩素を内包する配管で流れがない配管)について、外観点検や超音波探傷検査を行い、漏えいのないことや有意な指示がないことを確認した。 |
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また、類似配管については、今回と同様な事象を防止する観点から、不使用時は純水で水張りすること等の対策を行うこととする。 |

4.伊方2号機 余熱除去系統配管のひびについて
○事 象
5月20日9時30分頃、第17回定期検査中の伊方2号機において、余熱除去系統の配管取替工事で、再使用する目的で切り取った弁の出入口付近の配管の健全性を確認するため、液体浸透探傷検査を実施したところ、1箇所で欠陥指示(微小な傷)が確認された。なお、当該配管からの漏えいは認められなかった。
○原 因
その後、外観詳細調査の結果、当該部において最大約6oの線状のひびや点状のひびが多数確認されたため、当該箇所の配管を切断して詳細調査を行った結果、 |
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ひびは配管外表面から発生し、深さは最大2.7o(配管厚さ8.3o)のところまで進展していた |
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金属組織の観察において、塩化物応力腐食割れの特徴である枝分かれした粒内割れが認められた |
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破面分析により、ひび割れ部に塩素が確認された |
ことなどから、ひびは塩化ビニールテープによる塩化物応力腐食割れと推定される。 |
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これまでの塩化物応力腐食割れの調査において、当該部では塩化ビニールテープ等の付着物は確認されていなかったことから、建設時に配管識別のために貼り付けたテープを、平成8年に行った当該部近傍の配管溶接部の供用期間中検査の際に除去したものと推定される。 |
○対 策
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当該部の配管を取り替えるとともに、当該部と同様、塩化ビニールテープによる塩化物応力腐食割れが生じる可能性がある配管で、かつ過去にテープを除去した可能性がある箇所について、今回の定期検査で点検・調査を行い、異常のないことを確認した。
なお、昨年6月に発生した1号機安全注入系テストラインのひびの水平展開として、現在、念のために調査を行っている、塩化物応力腐食割れの可能性はないが漏えいが発生すると原子炉の安全に支障を及ぼす系統および放射能を含む系統の配管についても、本事象と同様の観点から、計画的に調査・点検または取替を行うこととした。なお、今回の定期検査での調査・点検結果に異常はなかった。
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1,3号機についても、2号機と同様の範囲を調査・点検することとする。 |
○ 本件に関しては、上記事象の中間報告書を5月31日、愛媛県、伊方町に提出しており、今回最終報告するものです。
5.伊方3号機 発電機水素ガス温度制御弁の不調について
○事 象
5月27日14時42分頃、通常運転中の伊方3号機において、発電機の冷却用水素ガスの温度が低下していることを運転員が確認した。
現場を確認したところ、冷却用水素ガスの温度を制御する弁の駆動用空気配管が破損し、当該弁が全開となっていることが判明した。このため、当該配管を取り替え復旧した。
○原 因
調査の結果、プラントの運転により生じる制御弁本体および制御用空気母管からの振動が当該配管の継ぎ手部に伝播したため、繰り返し応力による疲労により継ぎ手部が破損に至ったものと推定される。
○対 策
今回と同様な状況にある4台(当該弁含む)について漏えいのないことを確認した。これらについては、毎月の空気の漏えい確認等を行うとともに、次回定期検査時にサポートの設置等、継ぎ手部の振動対策を行うこととする。
また、1,2号機については今後計画的に調査を行い、3号機と同様な対策を行うこととする。

6.伊方3号機 アンモニア注入ポンプの自動停止について
○事 象
5月31日18時43分、通常運転中の伊方3号機において、運転中のアンモニア注入ポンプの異常を示す信号が発信し、当該ポンプが自動停止した。このため、予備のポンプに切替えた。
点検の結果、当該ポンプのモータ回転数を制御する電源設備(インバータ)に異常のあることが判明した。
○原 因
インバータが故障し電流が増加したため、インバータの保護装置が過負荷を検出し、当該ポンプを自動停止させたものと推定される。
○対 策
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当該ポンプのインバータを新品に取り替えた後、当該ポンプが正常に運転できることを確認した。 |
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今回の事象を踏まえ、適切なインバータ取り替え周期を検討の上、設定する。 |

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