伊方発電所における通報連絡事象の概要(平成17年3月分)
1.伊方2号機 補助蒸気ドレン配管からの漏えいについて
3月3日12時20分頃、通常運転中の伊方2号機の原子炉補助建家内において、補助蒸気ドレン配管から水が漏えいしていることを運転員が確認したため、当該配管を隔離し、漏えいは停止した。
当該配管を点検した結果、微小な貫通穴が1箇所確認されたため、当該部分の配管を取り替え復旧した。
[補助蒸気] |
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空調設備やアスファルト固化装置などの付属設備を加熱するため、2次系の蒸気を利用して発生させた蒸気。 |

2.伊方2号機 ディーゼル発電機用補助蒸気供給配管からの漏えいについて
3月15日9時30分頃、通常運転中の伊方2号機において、ディーゼル発電機を暖機するために使用している補助蒸気の伸縮配管から僅かな蒸気が漏えいしていることを保修員が確認したため、当該配管を隔離し、蒸気漏えいは停止した。
その後、当該配管を短管に取り替え復旧した。

3.伊方3号機 余熱除去ポンプの不具合について
3月15日23時40分頃、第8回定期検査中の伊方3号機において、余熱除去ポンプBの軸封水部から1次冷却水が漏えいしていることを作業員が確認した。このため、当該ポンプを停止して隔離した結果、1次冷却水の漏えいは停止した。
なお、1次冷却水の漏えい量は約0.3m3と推定されるが、漏えい水は全て補助建屋サンプタンクに回収され、外部への放射能の放出はなく、環境への影響はなかった。
その後、軸封水部の点検を実施した結果、1次冷却水が漏えいした原因は、軸封水部のシールリングが逆向きに取付られていたことから、シール機能が低下したためと確認された。
なお、1,2,3号機についてポンプの仕様を調査した結果、今回の余熱除去ポンプと同様の軸封水部を有しているポンプは当該3号機の余熱除去ポンプ(A、B)のみであり、他のポンプに今回と同様の事象が生じることはない。
3月18日、組立が正常であることを確認した新品の軸封水部に取り替え、試運転を行い、漏えいがないことを確認し、復旧した。
本事象の対策として、今回の軸封水部の取替作業から、作業要領書にシールリングの取付方向の図、手順および注意事項を記載するとともに、軸封水部の組立に品質管理者が立ち会い、正常に組立られていることを確認することとした。
また、再発防止対策として、 |
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軸封水部の工場製作時において、シールリングに取付方向を明示する |
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本件事象に関するヒューマンファクター教訓シートを作成するとともに、品質管理に関する重要ポイントについて、作業前ミーティング等で周知する |
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シールリングを有する特殊な軸封水部の点検内容をポンプ点検の教育に追加する |
こととした。 |
[余熱除去ポンプ] |
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原子炉停止中に炉心から発生する熱を除去するため、原子炉容器内に1次冷却水を供給するためのポンプ。伊方3号機には、A、Bの2台設置している。 |

4.伊方1,2号機 放水口水モニタの指示上昇について
3月17日9時00分、伊方1,2号機放水口水モニタの指示が上昇し、「10分平均注意」の信号が発信した。
当時、発電所周辺は継続的に雨が降っていたこと、また、同日9時35分、放水口内の海水を採取して分析した結果、人工核種は検出されなかったことから、降雨による自然変動と判断した。
[1,2号機放水口水モニタ] |
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1,2号機放水口内の海水の放射線量を測定しているモニタ。3号機にも同様の放水ピット水モニタがある。 |