平成18年12月8日
四国電力株式会社
旧規格電柱の折損事故とその対策について
(電柱の点検等の実施に係る国からの指示について)
本日、当社は、経済産業省原子力安全・保安院より、耐食性の低い鉄筋を使用した電柱の点検と必要な建替を早急に行うための実施計画を作成し、報告するよう指示をいただきました。
今後、この指示に基づき速やかに点検および建替の実施計画を作成し、報告いたします。
当社では、大日コンクリート工業(株)(本社名古屋市)製の昭和44年〜平成5年製のコンクリート製の電柱(以下、旧規格電柱という)において過去に4件の折損事故が発生しましたが、その都度、解体検査などの原因分析により得られた技術的知見を踏まえ、安全対策の向上を図ってまいりました。
以下、旧規格電柱の折損事故と安全対策に関するこれまでの経緯等について、ご説明いたします。
1.旧規格電柱の折損事故(自然災害・物損によるものを除く)
これまでに4件発生しています。
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平成5年7月 |
平成12年12月 |
平成14年1月 |
平成17年7月 |
場 所 |
高松市太田下町 |
高松市一宮町 |
鳴門市大麻町 |
鳴門市大津町 |
損壊状況 |
地上0.6mで
折損後、倒壊 |
地際部で折損 |
地上8.6mで折損 |
地上5.2mで
折損後、倒壊(※2) |
柱 長 |
9m |
12m |
14m |
12m |
設計荷重 |
350kgf |
350kgf |
500kgf |
500kgf |
製 造 年 |
昭和51年 |
昭和50年 |
昭和47年 |
昭和53年 |
メーカー |
大日コンクリート工業 |
同左 |
同左 |
同左 |
設 置 年 |
不明(※1) |
S50年 |
S47年 |
S53年 |
至近点検状況 |
同上 |
H11年10月 |
H13年12月 |
H13年1月 |
(※1)点検記録は保存期限が5年のため、折損以前の記録が残っていない。
(※2)該当柱の倒壊により隣接柱1本が引っ張られ折損。
(注)kgf:キログラム重。1kgの質量を持つ物体が地球表面で受ける重力の大きさ。
2.当社の対応経緯
(1)平成5年度〜平成13年度
- 平成5年7月、高松市太田下町でコンクリート柱が折損・倒壊し、解体検査したところ、原因は鉄筋の腐食であることが判明しました。これを受けて、平成6年2月以降に設置するコンクリート柱は、腐食に強い鉄筋を入れたものに変更しました。
(ニッケルを配合した鉄筋に変更)
- 当時はコンクリート柱折損の技術的知見があまりなかったことから、当面の対策として、平成5年8月に点検・建替基準を定め、定期点検の中で発見の都度建替を実施することとしました。
(建替の基準は、表面のひび割れ、コンクリートの膨張・欠けなど)
- その後、腐食に至るメカニズムや、発生要因を明確にするため、撤去コンクリート柱の解体検査などによる原因分析を進めた結果、平成9年度に、「昭和53年以前に製造した350kgfのコンクリート柱は、鉄筋の腐食が進みやすく、折損リスクが高い」との知見を得ました。
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上記電柱は、鉄筋の緊張力が高いため腐食が進みやすく、また、設計荷重が小さいことから鉄筋の本数が少ないため折損リスクが高い、との知見。 |
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- これを受けて、平成10年度からは、昭和53年以前に製造した350kgfのコンクリート柱を重点的に点検することとし、通常の定期点検に加え、これらの電柱を対象として臨時点検を実施し、建替が必要なコンクリート柱の建替を実施することとしました。(平成10年度〜13年度で約7千本を建替)
(2)平成14年度〜現在
- 平成12年12月に高松市一宮町で350kgfのコンクリート柱が、また、平成14年1月に鳴門市大麻町で500kgfのコンクリート柱が折損したことを受けて、さらに解体検査を進める一方、当社の土木建築部門や関係会社の(株)四国総合研究所において、折損に至るメカニズムの解析等を行い、さらなる技術的知見の収集を図りました。
- この結果、「昭和44年〜平成5年製のコンクリート柱は、鉄筋の腐食が進みやすく、折損リスクが高い」との新たな知見を得ました。
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上記電柱は、鉄筋に緊張力をかけており、また、鉄筋の材質を変更する前のものであるため、腐食が進みやすく折損リスクが高い、との知見。なお、昭和43年以前は、鉄筋に緊張力をかけていなかった。 |
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- このため、平成14年度からは、重点的に点検する範囲を昭和44年〜平成5年製のコンクリート柱(旧規格電柱)に拡大しました。また、コンクリート柱の構造や装柱形態による折損リスクを踏まえて、点検・建替基準を強化するとともに、通常の定期点検(5年周期)に加え、順次、旧規格電柱の臨時点検を実施しています。
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(点検・建替基準強化のポイント)
- 建替の基準として、ひび割れの兆候である「たわみ」を追加
- ひび割れの兆候がみられるコンクリート柱については、要管理柱として定期点検周期を5年から3年に短縮
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- また、平成16年11月には、鉄筋破断の診断装置を開発・導入し、外観点検に併用することで点検精度の向上を図りました。(現在の配備数100台)
- この結果、本年11月末までに、旧規格電柱約47万本のうち、臨時点検・定期点検あわせて約43万本の点検を実施済みであり、このうち、約4.5万本を建替しました。
- なお、残る約4万本は、不平衡張力のかかりにくい真っ直ぐな線路にある電柱や、十字の交差柱であり、折損の可能性は極めて低いと考えています。
3.今後の計画
- 未点検の約4万本は、18年度末までに点検を終了する予定でしたが、このたびのご指示を受け、終了時期を可能な限り前倒しいたします。
- また、これまでの点検により建替を要すると判断した電柱については、適切に建替してまいります。
(参考)当社の電柱の内訳(平成17年度末)
コンクリート柱 |
: |
約68万本(うち旧規格電柱約43万本) |
鉄柱 |
: |
約9万本 |
木柱 |
: |
約6万本 |
計 |
: |
約83万本 |
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