平成19年7月10日
四国電力株式会社
伊方発電所における通報連絡事象(平成19年6月分)および
通報連絡事象に係る報告書の提出(平成19年5月分)について
- 平成19年6月に、当社から愛媛県および伊方町に通報連絡した事象は以下の4件です。これらの事象は、いずれも法律に基づく報告事象に該当するものではなく、また、環境への放射能の影響もありませんでした。
事 象 |
発生月日 |
発表月日 |
1.伊方発電所1号機 |
高圧注入ライン流量記録計電源線の損傷について |
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6月 5日 |
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2.伊方発電所1号機 |
湿分分離加熱器A出口フランジ部からの蒸気漏えいについて |
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6月10日 |
6月10日 |
3.伊方発電所1号機 |
タービン建家非常用排水系統配管からの漏えいについて |
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6月17日 |
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4.伊方発電所2号機 |
除塵装置洗浄用海水配管からの海水の漏れについて |
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6月29日 |
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- 平成19年5月に発生した以下の通報連絡事象について、その後の調査結果を踏まえた原因と対策をとりまとめ、愛媛県および伊方町に報告書を提出いたしました。
事 象 |
発生月日 |
発表月日 |
1.伊方発電所1号機 |
タービン建家の非常用排水ポンプBの不具合について |
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5月16日 |
6月11日 |
2.伊方発電所1号機 |
管理区域内での原子炉補機冷却水の漏えいについて |
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5月16日 |
5月16日 |
3.伊方発電所2号機 |
アスファルト固化装置の自動停止について |
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5月17日 |
5月18日 |
4.伊方発電所1号機 |
第5高圧給水加熱器Aからの2次系水の漏えいについて |
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5月31日 |
6月11日 |
- 伊方発電所1号機 高圧注入ライン流量記録計電源線の損傷について
- 伊方発電所1号機 湿分分離加熱器A出口フランジ部からの蒸気漏えいについて
- 伊方発電所1号機 タービン建家非常用排水系統配管からの漏えいについて
- 伊方発電所2号機 除塵装置洗浄用海水配管からの海水の漏れについて
- 伊方発電所1号機 タービン建家の非常用排水ポンプBの不具合について
- 伊方発電所1号機 管理区域内での原子炉補機冷却水の漏えいについて
- 伊方発電所2号機 アスファルト固化装置の自動停止について
- 伊方発電所1号機 第5高圧給水加熱器Aからの2次系水の漏えいについて
以上
伊方発電所における通報連絡事象の概要(平成19年6月分)
6月5日19時11分、第24回定期検査中の伊方発電所1号機において、中央制御室にある制御盤の記録計等の一部が停止しました。
原因は、制御盤の中で作業をしていた運転員が、高圧注入ラインの流量記録計の配線に接触し、配線の被覆が損傷して短絡したため、上流側の計装用分電盤1Cにある原子炉盤用と、中央制御盤にある計装用の2台の電源スイッチが自動で切れた(トリップ)ものです。
このため、短絡した当該配線を隔離したうえで、電源スイッチを投入するとともに、当該配線の損傷部分を修理して、復旧しました。
本事象によるプラントの運転への影響および環境への放射能の影響はありません。
本件は、国の法律に基づく報告事象に該当する事象ではありません。

6月10日2時20分、第24回定期検査における起動中の伊方発電所1号機において、2次系の湿分分離加熱器Aの出口フランジ部から蒸気が漏えいしていることを、保修員が確認しました。このため、タービンを手動停止し、蒸気の漏えいは停止しました。
当該フランジ部の点検を行った結果、蒸気漏えい部近傍でフランジとガスケットとの間に微小な隙間(最大で約0.3mm)があることが確認されました。また、湿分分離加熱器B,C,Dの当該フランジ部についても点検を実施した結果、蒸気の漏えいや隙間は確認されませんでしたが、Dのフランジ面に接触が僅かに不十分であることから、隙間が発生する恐れがある箇所が確認されました。
このため、A,Dのフランジ面を手入れし、フランジ部の組み立てを行いました。
なお、当該フランジ部の組み立てにあたっては、従来のフランジ取付ボルトのトルク管理に加え、フランジ面間の隙間管理を行いました。
その後、タービンを起動し、6月15日11時30分、蒸気を通気した状態で当該フランジ部に漏えいがないことを確認し、復旧しました。
(参考)
- ○湿分分離加熱器
- 高圧タービンで使用した蒸気を低圧タービンでもう一度使えるように、蒸気の湿分を取り除き、温度を上げる設備。A、B、C、D4台設置している。

6月17日5時30分頃、第24回定期検査における調整運転中の伊方発電所1号機において、タービン建家地下1階付近にて漏水があることを運転員が発見しました。
漏水箇所付近を調査したところ、タービン建家内の空調ダクトの吹き出し口からの漏水が確認されました。また、タービン建家屋外の地面のアスファルトが、直径約1mの半円状に深さ約1m陥没しており、陥没箇所に埋設してあるタービン建家非常用排水ポンプ出口配管から水が漏れているのが確認されました。このため、タービン建家非常用排水ポンプを停止し、漏水は停止しました。また、漏水は、水質汚濁防止法上の排水基準を満足していました。
その後の調査において、当該配管に長さ約28cm、幅約7cmの貫通穴が確認されました。このため、当該配管の貫通穴から漏えいした水が地中にしみ出し、近接して埋設されているタービン建家空調ダクトのコンクリート打継ぎ部から、当該ダクト内に流入し、タービン建家地下1階の吹き出し口から漏水したものと推定されます。
なお、タービン建家内の漏水および空調ダクト内の溜まり水は約60m3と推定され、全て回収し、総合排水処理装置に移送しました。
その後、非常用排水配管を新品に取り替え、6月25日15時35分、異常のないことを確認し、通常状態に復旧しました。空調ダクトについては、清掃を行いました。
本事象によるプラントの運転への影響および環境への放射能の影響はありません。
本件は、国の法律に基づく報告事象に該当する事象ではありません。

6月29日10時08分頃、通常運転中の伊方発電所2号機において、復水器冷却用の取水口にある除塵装置の洗浄用海水配管から、海水が漏れていることを運転員が発見しました。このため、洗浄用海水ポンプを止め、海水の漏えいは止まりました。
なお、漏れた海水の量は約120リットルで、全て排水口に落ち、取水ピットに戻りました。
調査の結果、配管に貫通穴(約7mm×約5mmの楕円形)が確認されました。
その後、海水の漏えいを止めるための応急措置を行い、7月5日、当該配管を取り替えて復旧しました。
本事象によるプラントの運転への影響はなく、環境への放射能の影響もありません。
本件は国の法律に基づく報告事象に該当する事象ではありません。

伊方発電所における通報連絡事象の報告書概要(平成19年5月分)
- 事 象
5月16日14時30分頃、第24回定期検査中の伊方発電所1号機において、保修員がタービン建家内の排水を総合排水処理装置に移送するための非常用排水ポンプBの軸を手動でまわしたところ、軸の回転が通常より重いことを確認しました。その後の調査で、非常用排水ポンプBの水中軸受メタル部に摩耗および変形、軸に軽微な曲がりが確認されたことから、当該部を新品に取り替えて、6月5日9時20分、異常のないことを確認し、通常状態に復旧しました。
- 原 因
本事象発生時、機能検査の準備として、排水ピットの水位を低下させておくために、当該ポンプを手動起動させました。その際、排水ピットの水位がインペラーよりも低い水位であったため、ポンプが空転状態となり、水中軸受に潤滑水が供給されず、主軸と水中軸受メタル部の摩擦と摺動熱によりメタル部が摩耗、剥離、変形して、主軸の回転を拘束し、回転が重くなったものと推定されます。
平成17年11月に当該ポンプの取替を行った際、軸受の潤滑を外部注水方式から自己潤滑方式に変更したが、ポンプの手動起動可能水位が変更されていなかったため、潤滑水が供給されませんでした。
- 当該ポンプの主軸と軸受を取り替えて、復旧しました。
- 当該ポンプの手動起動可能水位を、インペラーが完全に没水する水位に変更し、当該ポンプの起動・運転に異常のないことを確認しました。
- 非常用排水ポンプAについても、当該ポンプと同様の対策を実施しました。
なお、2号機および3号機のタービン非常用排水ポンプについては、手動起動可能水位がインペラーよりも高い水位に設定されており、問題のないことを確認しました。

- 事 象
5月16日15時00分頃、第24回定期検査中の伊方発電所1号機において、格納容器4階通路の排水口(目皿)付近に水たまりがあることを保修員が確認しました。
このため、調査を実施したところ、当時、原子炉補機冷却水系統の弁点検の準備を行っていたこと、点検対象弁の付近に溜まっていた原子炉補機冷却水(放射能を含まない水)が配管の水抜き系統から漏えいし、ドレンホースを入れておいた小型余剰水受けから水があふれたこと、および同系統の弁が開いていたことが確認されました。その後、水抜き系統の弁を閉めて、漏えいは停止しました。漏えい量は、約15リットルと推定されました。漏えい水は全て回収し、廃棄物として処理しました。
- 原 因
弁点検作業の手順の検討者と配管系統の隔離操作者が異なっており、当該ドレン弁からドレン水が排水される可能性があるという情報が予め手順検討者から隔離操作者へ伝達されていなかったため、隔離操作者は当該ドレン弁およびドレンホースの状況を確認していませんでした。
このため、ドレン水の発生が予想されるドレンホースを小型余剰水受けに入れておく場合は、当該ドレン弁を閉としておくべきところ、開の状態であったために、小型余剰水受けに処理能力を超えるドレン水が流入し、漏えいが発生しました。
- 手順検討者と隔離操作者が異なる場合は、手順検討者は、作業手順、水抜き箇所等を十分に検討し、隔離操作者へ資料を用いて確実に操作内容を伝達するように関係者に周知しました。
- 小型余剰水受けへドレンホース等を入れる場合は、予期せぬドレン水等の流入を確実に回避するため、該当する弁を閉とすることを徹底する運用とし、関連マニュアルを改正しました。
- [原子炉補機冷却水系統]
- 1次系のポンプ、空調機器等の冷却のための水を供給する系統。

- 事 象
5月17日18時35分、通常運転中の伊方発電所2号機において、アスファルト固化装置の異常を示す警報が発信し、同装置が自動停止しました。現場確認の結果、アスファルト混和機の軸封部からアスファルトが出ないよう運転している軸封油循環ポンプBから異音がしていたため、同ポンプを手動停止し、予備機である軸封油循環ポンプAを起動しました。その後の調査で、軸封油循環ポンプBに異常はなく、同ポンプ入口のストレーナに粘着性の不純物が確認されました。
このため、当該ストレーナおよび軸封油系統の点検・清掃を行い、軸封油を交換したうえで、当該ポンプおよびアスファルト固化装置の試運転を行い、5月30日10時00分、異常のないことを確認し、通常状態に復旧しました。
- 原 因
軸封油タンクのベント管に防塵用フィルタを取り付けており、外部からの塵埃が混入する可能性は低いことから、軸封油タンク加熱器表面などで軸封油が熱劣化して発生した炭素と不溶性酸化物が、下流側の軸封油循環ポンプ入口ストレーナのこし網に過度に堆積し、軸封油の流れが妨げられたことにより、軸封油循環ポンプの出口圧力がアスファルト混和機自動停止圧力まで低下したものと推定されます。
- 軸封油循環ポンプB入口ストレーナの清掃、軸封油タンク加熱管表面に付着した汚れの除去ならびに、軸封油の入替えを行い、軸封油系統機器の健全性を確認してアスファルト固化装置を通常状態に復旧しました。
- 軸封油循環ポンプA入口ストレーナについても清掃を実施しました。
- 軸封油循環ポンプ入口ストレーナの清掃頻度について、これまで特に定めておりませんでしたが、6ヶ月に1回の頻度で実施することとします。

- 事 象
5月31日15時30分頃、第24回定期検査中の伊方発電所1号機において、第5高圧給水加熱器Aの水張りを実施していたところ、同加熱器のマンホール部から2次系水が漏れていることを運転員が確認しました。このため水張り作業を中断し、水漏れは停止しました。なお、漏えい量は、約400リットルと推定されました。
当該マンホールを開放して点検した結果、マンホールのシール部品がずれていることが確認されたため、手直しを行って組み立てた後、6月5日9時00分、異常のないことを確認し、通常状態に復旧しました。
- 原 因
当該マンホールを開放点検した結果、バックアップリング内径とマンホールカバー外径の隙間が設計寸法値より、わずかに狭くなっており、マンホールカバー外側とバックアップリング内側が引っかかり、マンホールカバー締め付け時に、バックアップリングにわずかな傾きが生じる可能性があることが判明しました。
このため、本事象は、マンホールカバー締め付け時にバックアップリングにわずかな傾きが生じて、バックアップリング内周部とマンホールカバー外周部スライド面の一部が引っかかり、シールガスケットが圧縮されなかったので、漏えいが発生したもの推定されます。
- 当該加熱器のバックアップリング内面を設計寸法範囲内でわずかに削り、マンホールカバー外面との適正な隙間を確保しました。また、嵌め合い部には、潤滑剤を塗布し摩擦力の軽減を図り、バックアップリングをマンホールカバーに挿入後、バックアップリングが動くことで引っかかりのないことを確認しました。マンホールカバーの締め付け時には、シールガスケットの圧縮量を測定し、確実に締め付けられていることを確認して水張りを行い、漏えいがないことを確認しました。
- 今後、当該マンホールの開放点検においては、1号機と同型式の2号機も含め、バックアップリング内径とマンホールカバー外径の寸法を測定し、嵌め合い部の動作確認を行い、マンホールカバーを締め付ける時は、シールガスケットの圧縮量を測定して適正であることを確認することとし、その旨を作業要領書に追記します。

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