平成19年8月10日
四国電力株式会社
伊方発電所における通報連絡事象(平成19年7月分)および
通報連絡事象に係る報告書の提出(平成19年6月分他)について
- 平成19年7月に、当社から愛媛県および伊方町に通報連絡した事象は以下の7件です。これらの事象は、いずれも法律に基づく報告事象に該当するものではなく、また、環境への放射能の影響もありませんでした。
事 象 |
発生月日 |
発表月日 |
1.伊方発電所3号機 |
1次系補機の制御回路の異常について |
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7月 6日 |
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7月11日 |
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7月13日 |
7月13日 |
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7月20日 |
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5.伊方発電所1、2号機 |
放水口水モニタの指示上昇について |
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7月20日 |
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6.伊方発電所1、2号機 |
発電機出力の変動について |
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7月20日 |
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7.伊方発電所2号機 |
湿分分離加熱器加熱蒸気制御弁不調について |
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7月24日 |
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- 過去に発生した以下の通報連絡事象について、その後の調査結果を踏まえた原因と対策をとりまとめ、愛媛県および伊方町に報告書を提出いたしました。
事 象 |
発生月日 |
発表月日 |
1.伊方発電所3号機 |
補助蒸気ドレン配管からの漏えいについて |
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5月21日 |
5月21日 |
2.伊方発電所1号機 |
高圧注入ライン流量記録計電源線の損傷について |
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6月 5日 |
7月10日 |
3.伊方発電所1号機 |
湿分分離加熱器A出口フランジ部からの蒸気漏えいについて |
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6月10日 |
6月10日 |
4.伊方発電所1号機 |
タービン建家非常用排水系統配管からの漏えいについて |
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6月17日 |
7月10日 |
5.伊方発電所2号機 |
除塵装置洗浄用海水配管からの海水の漏れについて |
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6月29日 |
7月10日 |
- 伊方発電所3号機 1次系補機の制御回路の異常について
- 伊方発電所1号機 発電機出力の低下について
- 伊方発電所における作業員の負傷について
- 伊方発電所1号機 発電機出力の変動について
- 伊方発電所1、2号機 放水口水モニタの指示上昇について
- 伊方発電所1、2号機 発電機出力の変動について
- 伊方発電所2号機 湿分分離加熱器加熱蒸気制御弁不調について
- 伊方発電所3号機 補助蒸気ドレン配管からの漏えいについて
- 伊方発電所1号機 高圧注入ライン流量記録計電源線の損傷について
- 伊方発電所1号機 湿分分離加熱器A出口フランジ部からの蒸気漏えいについて
- 伊方発電所1号機 タービン建家非常用排水系統配管からの漏えいについて
- 伊方発電所2号機 除塵装置洗浄用海水配管からの海水の漏れについて
以 上
伊方発電所における通報連絡事象の概要(平成19年7月分)
7月6日10時12分、通常運転中の伊方発電所3号機の中央制御室において、1次系の電磁弁等(1次系補機)を制御する盤の異常を示す警報が発信したため、当該盤を確認したところ、カード過電流の表示灯が点灯していることを確認しました。誤警報の可能性があるため原因を慎重に調査していましたが、当該盤に異常があることが確認されたため、14時00分、当該盤の詳細調査を開始しました。
詳細調査の結果、制御回路カードの過電流検出部の不調が確認されたため、不調カードを予備品に取り替えました。
また、詳細調査の過程で、カード挿入状態にもかかわらず「カード引抜き信号」が発信していましたが、カード挿入状態確認回路部の不調であることが判明したため、該当する不調カードの取替も行いました。当該盤は、7月9日15時15分、異常のないことを確認し、通常状態に復旧しました。
伊方発電所3号機 原子炉補機シーケンス盤概略系統図


7月11日2時頃、通常運転中の伊方発電所1号機において、1時間積算の電気出力が定格電気出力(566MWh)未満であることを確認しました。
本事象は、海水温度の上昇にともないプラントの熱効率が低下することにより、電気出力が低下したものであり、プラントの安全・安定運転に影響を及ぼすものではありません。
7月13日10時20分頃、通常運転中の伊方発電所2号機の管理区域内で、廃液蒸発装置の電気品の点検作業中に、関係会社の作業員が、別の作業員との間で口論となり、殴打されて左頭部を負傷し、出血しました。
このため、止血のうえ、救急車で市立八幡浜総合病院へ搬送しました。
医師による検査・診断の結果、「頭部外傷、頭部挫傷」と診断され、縫合処置を行いました。
なお、当該作業員の被ばくおよび汚染はありません。
7月20日19時54分頃、送電系統への落雷に伴う系統ショックにより、伊方発電所1号機の発電機出力に有意な変動が発生しました。
発電機出力の変動は瞬時に収束し、プラントの運転に影響はありませんでした。
参考:落雷場所および発電機出力の変動幅 |
落雷場所 |
発電機出力の変動幅 |
大洲八幡浜線
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大洲変電所 ~ 八幡浜変電所
[大洲市] [八幡浜市] |
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1号機
525MW ~ 564MW ~ 590MW
(-6.9%) (変動前後) (+4.6%) |
7月20日20時00分、伊方発電所1,2号機放水口水モニタの有意な指示上昇を示す「10分平均注意」の信号が発信しました。
当時、発電所周辺は継続的に雨が降っていたこと、同日20時35分、放水口内の海水を採取して分析した結果、人工核種は検出されなかったことから、降雨による自然変動と判断しました。
- [伊方発電所1,2号機放水口水モニタ]
- 伊方発電所1,2号機放水口内の海水の放射線量を測定しているモニタ。3号機にも同様の放水ピット水モニタがある。
7月20日20時24分頃、送電系統への落雷に伴う系統ショックにより、伊方発電所1、2号機の発電機出力に有意な変動が発生しました。
発電機出力の変動は瞬時に収束し、プラントの運転に影響はありませんでした。
参考:落雷場所および発電機出力の変動幅 |
落雷場所 |
発電機出力の変動幅 |
大洲南幹線
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大洲変電所 ~ 川内変電所
[大洲市] [東温市] |
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1号機
535MW ~ 565MW ~ 582MW
(-5.3%) (変動前後) (+3.0%) |
2号機
538MW ~ 569MW ~ 590MW
(-5.5%) (変動前後) (+3.7%) |
7月24日14時02分、通常運転中の伊方発電所2号機において、中央制御室で低圧タービンの蒸気系統の異常を示す信号が発信しました。
調査の結果、湿分分離加熱器B,Dの低圧タービン駆動用蒸気を加熱するために通常開いている弁が閉となり、タービン効率が低下して電気出力が570MWから559MWへ低下したことが確認されました。
その後、点検の結果、閉じた弁の制御回路にある信号変換器の不具合が確認されたことから、当該信号変換器を新品に取り替え、7月25日11時00分、異常のないことを確認し、通常状態に復旧しました。

伊方発電所における通報連絡事象の報告書概要(平成19年6月分他)
- 事 象
5月21日0時45分頃、通常運転中の伊方発電所3号機において、原子炉補助建屋内で補助蒸気ドレン配管から水が漏えいし、当該配管の保温を外したところ、貫通穴(約3mm×約1mm)が1箇所あることを運転員が確認しました。当該配管を隔離した結果、水の漏えいは停止しました。
その後、当該部の配管を切り取り、従来の炭素鋼より耐食性に優れたステンレス鋼の配管に取り替えて、5月30日10時30分、異常のないことを確認し、通常状態に復旧しました。
- 原 因
漏えいの原因は、平成8年に実施したドレントラップ取替時の溶接施工において、溶接施工性がやや悪く、配管内面の溶接金属部が部分的に凹状態となっていたため、ドレントラップの動作に伴い、ドレンが偏流して配管内面に浸食が発生し、徐々に減肉が進行して、貫通に至ったものと推定されます。
- 当該配管を切断し、耐食性に優れたステンレス配管に取り替えました。
- 補助蒸気系統のドレン配管のうち、ドレントラップ下流の気液二相流の影響が顕著である範囲の炭素鋼製小口径配管(2インチ以下)の突き合わせ溶接部を、次回定期検査にてステンレス配管に取り替えます。なお、伊方発電所1、2号機については、該当する溶接部はありません。
- 伊方発電所3号機の補助蒸気系統のドレン配管について、今回の取替範囲を含め、
全体を今後計画的にステンレス配管に取り替えます。また、既設の炭素鋼配管お
よびステンレス配管を切断した際、内面の減肉状態を確認し、その結果を保全計
画に反映します。

- 事 象
6月5日19時11分、第24回定期検査中の伊方発電所1号機において、中央制御室にある制御盤の中で作業をしていた運転員が、高圧注入ラインの流量記録計の電源線に接触し、配線の被覆が損傷して短絡したため、計装用分電盤1Cにある原子炉盤用電源スイッチと、中央制御室にある計装用電源スイッチが自動で切れ、制御盤の記録計等の一部が停止しました。
このため、短絡した電源線を隔離したうえで、電源スイッチを投入するとともに、当該配線の損傷部分を修理して、6月6日11時00分、異常のないことを確認し、通常状態に復旧しました。
- 原 因
制御盤の中で作業をしていた運転員は、制御盤内作業時の注意事項について知識は有していたが、作業前にセルフチェックができておらず、また作業場所に慣れていたため、制御盤内が狭隘であることについて注意力が低下していました。また、高圧注入ライン流量記録計の本体および電源線部分が制御盤内の通路にはみ出しており、電源線部分のケーブルが固定されておらず、剥き出し状態であったことから、本事象の発生に至ったものと推定されます。
- 制御盤内作業は狭隘部での作業であるため、計器への接触やぶつかりに注意するとともに、死角方向への移動については、急激な動きによるぶつかりに注意することを関係者に周知しました。
- 当該記録計電源ケーブルおよび記録計外箱エッジ部の養生、配線の整備を行い、万一ぶつかった時においても損傷を防ぐように処置しました。
- 伊方発電所1,2号機の中央制御盤内の通路にはみ出し、体がぶつかる可能性のある計器について、次回定期検査で、電源線および記録計外箱エッジ部の養生、配線の整備を行います。なお、伊方発電所3号機については、記録計と配線の整備、養生は実施済です。

- 事 象
6月10日2時20分頃、第24回定期検査において起動中の伊方発電所1号機で、2次系の湿分分離加熱器Aの出口フランジ部から蒸気が漏えいしていることを、保修員が確認しました。このため、タービンを停止し、蒸気の漏えいは停止しました。
当該フランジ部の点検を行った結果、蒸気漏えい部近傍でフランジとガスケットとの間に微小な隙間(最大で約0.3mm)が確認されました。また、湿分分離加熱器Dのフランジ面にも蒸気漏えいはないものの、ガスケットとの接触が僅かに不十分で、隙間が発生するおそれがある箇所が確認されました。
このため、A,Dのフランジ面の手入れを行ったうえで、フランジ取付ボルトのトルク管理に加え、フランジ面の隙間管理を行い、フランジ部の組立を行いました。
その後、タービンを起動して、6月15日11時30分、蒸気を通気した状態で当該フランジ部に漏えいがないことを確認し、復旧しました。
- 原 因
調査の結果、フランジの溶接作業において、検査で溶接部内部に気孔が確認されたために実施した通常の手直し溶接により、フランジシート面が変形したが、溶接に伴う収縮による変形が、フランジシート面まで及ぶことを想定していなかったため、フランジシート面に変形がないことを十分には確認せずに規定のトルクで締め付けていたことが確認されました。
このため、フランジシート面とガスケットとの間に隙間が生じ、そこから蒸気が漏えいしたものと推定されます。
- 湿分分離加熱器A,Dのフランジについて、シート面を修正加工して、フランジシート面の全面に当たりがあることを確認し、ガスケットを新品に取り替えて復旧しました。
- 当該フランジの締め付け作業時には、規定トルクでの締め付けに加えて面間の測定を実施し、適正なガスケットの圧縮量であることを確認するとともに、フランジシート面とガスケットの隙間管理を行うこととし、その旨作業要領書に記載します。
- フランジ取り替え作業時は、フランジ組立前に、当たり確認又は隙間測定を実施し、フランジシート面に変形がないことを確認するよう社内マニュアルに追加します。

- 事 象
6月17日5時30分頃、第24回定期検査において調整運転中の伊方発電所1号機で、タービン建家地下1階付近に漏水があることを運転員が発見しました。
漏水箇所付近を調査したところ、タービン建家内の空調ダクトの吹き出し口からの漏水が確認されました。また、タービン建家屋外の地面のアスファルトが、直径1mの半円状に約1m陥没しており、陥没箇所に埋設してあるタービン建家非常用排水ポンプ出口配管から水が漏れているのが確認されました。このため、タービン建家非常用排水ポンプを停止し、漏水は停止しました。また、漏水は、水質汚濁防止法上の排水基準を満足していました。
その後の調査において、当該配管に、長さ約28cm、幅約7cmの貫通穴が確認されました。なお、タービン建家内の漏水および空調ダクト内の溜まり水は約60m3と推定され、全て回収し、総合排水処理装置に移送しました。
その後、当該部の配管を新品に取り替え、6月25日15時35分、異常のないことを確認し、通常状態に復旧しました。空調ダクトについては、清掃を行いました。
- 原 因
非常用排水ポンプ出口配管は、ステンレス鋼管とダクタイル鋳鉄管の差し込み接続部において、異種金属接触による腐食が経年的に発生進展し、貫通に至ったものと推定されます。さらに、当該配管から漏えいした排水が地中にしみ出し、近接して埋設されている空調ダクトのコンクリート打継ぎ部の不良箇所から流入し、空調ダクトの吹き出し口からタービン建家内に漏水したものと推定されます。
- 当該箇所の配管を差し込み溶接部を含み、内面エポキシ樹脂粉体塗装を施したダクタイル鋳鉄管に取替を実施しました。なお、念のため当該箇所の内面ライニングを計画的に実施します。
- 1号機タービン建家常用排水ポンプ出口配管のうち、当該配管と同様な施工方法の箇所に、念のため内面ライニングを計画的に実施し、内面ライニング施工後の健全性を耐圧漏えい試験により確認します。
- 空調ダクトコンクリート打継ぎ部の不良箇所およびコーナーの床、側壁等については、止水材を充填し補修を実施しました。
- 当該空調ダクトのコンクリート打継ぎ部については、定期的(2回/年)に点検を実施します。
- 配管の差し込み接続部について、炭素鋼とステンレス鋼が直接接触すると腐食の進行が早くなる旨を関係箇所へ周知します。

- 事 象
6月29日10時08分頃、通常運転中の伊方発電所2号機において、復水器冷却用の取水口にある除塵装置の洗浄用海水配管から、海水が漏れていることを運転員が発見しました。このため、洗浄用海水ポンプを停止し、海水の漏えいは止まりました。
なお、漏れた海水の量は約120リットルで、全て排水口に落ち、取水ピットに戻りました。
調査の結果、配管に貫通穴(約7mm×約5mmの楕円形)が確認されました。
その後、当該配管を取り替えて、7月5日10時00分、異常のないことを確認し、通常状態に復旧しました。
- 当該配管を防食性に優れた内面ポリエチレン粉体ライニング鋼管に取り替えました。
- 当該部と同仕様の箇所についても内面ポリエチレン粉体ライニング鋼管に取り替えました。
- 1,2号機の洗浄用海水ポンプ吐出から除塵装置までの他の配管のうち、建設時から取替を実施していない配管についても念のため、計画的に内面ポリエチレン粉体ライニング配管に取替を計画します。なお、炭素鋼配管で海水が溜まりやすい構造の配管については、腐食の進行が早くなる旨を関係者に周知します。

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