平成21年09月10日
四国電力株式会社

伊方発電所における通報連絡事象(平成21年8月分)および
通報連絡事象に係る報告書(平成21年7月分)の提出について

  •   平成21年8月に、当社から愛媛県および伊方町に通報連絡した事象は以下の2件です。これらの事象は、法律に基づく報告事象に該当するものではなく、また、環境への放射能の影響もありませんでした。
事    象 発生月日 発表月日 公表区分
1.伊方発電所における作業員の負傷について
8月 3日 -
2.伊方発電所1号機   海水管からの海水漏れについて
8月16日 -
県の公表区分 A:即公表
  B:48時間以内に公表
  C:翌月10日に公表
  •   平成21年7月に発生した以下の通報連絡事象について、その後の調査結果を踏まえた原因と対策をとりまとめ、愛媛県および伊方町に報告書を提出いたしました。
事    象 発生月日 発表月日 公表区分
1.伊方発電所2号機   タービン動補助給水ポンプの一時的な起動不能状態の発生について
7月 1日 7月 1日 B
2.伊方発電所2号機   第5高圧給水加熱器ドレン水位制御器の不具合について
7月 8日 8月10日 C
3.伊方発電所   野外モニタリング設備モニタリングポストNo.4伝送装置の不具合について
7月22日 8月10日 C
4.伊方発電所3号機   海水淡水化装置洗浄撹拌ブロワの不具合について
7月24日 8月10日 C
5.伊方発電所1、2号機   海水電解装置電解槽廻り配管漏えいについて
7月28日 8月10日 C

(別紙1)伊方発電所における通報連絡事象の概要(平成21年8月分)

  1. 伊方発電所における作業員の負傷について
  2. 伊方発電所1号機  海水管からの海水漏れについて

(別紙2)伊方発電所における通報連絡事象の報告書概要(平成21年7月分)

  1. 伊方発電所2号機  タービン動補助給水ポンプの一時的な起動不能状態の発生について
  2. 伊方発電所2号機  第5高圧給水加熱器ドレン水位制御器の不具合について
  3. 伊方発電所  野外モニタリング設備モニタリングポストNo.4伝送装置の不具合について
  4. 伊方発電所3号機  海水淡水化装置洗浄撹拌ブロワの不具合について
  5. 伊方発電所1、2号機  海水電解装置電解槽廻り配管漏えいについて
以  上

別 紙1

伊方発電所における通報連絡事象の概要(平成21年8月分)

1.伊方発電所における作業員の負傷について

  8月3日10時00分頃、建設中の伊方発電所雑固体処理建屋において、ケーブルの端末処理作業を実施していた作業員1名が、使用していたカッターナイフで誤って自分の左太ももを負傷し、病院での処置が必要と判断したため、社有車により伊方町内の病院に搬送しました。
  医師による診察の結果、「下腿切創」(不休傷)と診断され、3針の縫合処置を受けました。
  なお、本事象に伴う当該作業員の被ばくおよび汚染はありませんでした。

2.伊方発電所1号機  海水管からの海水漏れについて

  8月16日8時48分頃、通常運転中の伊方発電所1号機において、湧水ピットの水位上昇傾向を運転員が確認し調査したところ、2次系補機冷却用の海水供給配管から海水が漏えいしていることを確認しました。
  調査の結果、当該配管に貫通穴を確認したため、当該箇所に補修処置を実施し、8月17日17時00分、漏えいのないことを確認しました。
  次回の定期検査時に当該配管の取替および詳細調査を実施します。

伊方発電所1号機 海水ポンプまわり概略系統図

PDFマーク(印刷用)伊方発電所1号機  海水ポンプまわり概略系統図  (PDF-13KB)


別紙2

伊方発電所における通報連絡事象の報告書概要(平成21年7月分)

1.伊方発電所2号機  タービン動補助給水ポンプの一時的な起動不能状態の発生について

○事 象

 7月1日12時23分、定期検査における調整運転中の伊方発電所2号機において、タービン動補助給水ポンプの保温手直し作業を実施していた保修員が、誤ってトリップ機構のレバーに触れて、同ポンプが起動不能状態になり、原子炉施設保安規定で定める運転上の制限を一時的に逸脱した状態になりました。
  なお、直ちにリセット操作を実施し、3秒後に復旧しました。

○原 因

 調査の結果、保修員が作業を行っていた場所が狭隘であったことおよび、当該ポンプのトリップ機構廻りに保護カバー等が取り付けられていなかったことから、作業員が保温手直し作業時に誤ってトリップ機構のリセットレバーハンドル部に接触したことにより、トリップレバーとリセットレバーのラッチ部が外れてトリップ状態となり、当該ポンプが起動不能状態になったものと推定されました。

○対 策

  • 当該ポンプのトリップ機構廻りに保護カバーおよび注意表示板を取り付けました。
  • 当該ポンプと同一設備である1、3号機のタービン動補助給水ポンプのトリップ機構廻りに保護カバーおよび注意表示板を取り付けました。
  • 当該事象の詳細および狭隘な場所における作業の留意点について、ワンポイントレッスンを作成し、関係者に周知します。

伊方発電所2号機  タービン動補助給水ポンプまわり概略系統図

伊方発電所3号機 機器用水系統概略PDFへ(印刷用) 伊方発電所2号機  タービン動補助給水ポンプまわり概略系統図  (PDF-31KB)

2.伊方発電所2号機  第5高圧給水加熱器ドレン水位制御器の不具合について

○事 象

 7月8日11時10分頃、定期検査における調整運転中の伊方発電所2号機のタービン建家2階(管理区域外)において、第5高圧給水加熱器Bの水位制御器(バックアップ側)の取付部より、放射能を含まない水が漏れている(1滴/分程度)ことを保修員が確認しました。このため、当該制御器の元弁を閉め、水漏れは停止しました。
  その後、当該水位制御器を分解点検した結果、水位変化を制御器へ伝達する機構の部品にわずかな貫通穴を確認したため、当該部品を予備品に取り替えて異常のないことを確認し、7月9日14時50分、通常状態に復旧しました。
  なお、第5高圧給水加熱器Bの水位は、当該水位制御器(バックアップ側)の点検中においても、常用側の水位制御器により通常水位に制御されていました。

○原 因

 調査の結果、過去の定期検査で取り替えた当該部品に貫通した線状の欠陥を確認しました。このような線状の欠陥は、当該部品製作時の切削加工や溶接時に発生することはなく、素材となる鋼材製造時に溶鉱炉で溶解した母材に偶発的に不純物が混入して生成されたものと考えられます。さらに、その後のプラント起動後の高温・高圧の蒸気による熱膨張で線状の欠陥部分が拡大・変形したことで、欠陥部分に僅かな隙間ができ、貫通し水漏れに至ったものと推定されました。

○対 策

  • 当該部品を浸透探傷試験で傷がないことを確認した予備品に取り替えるとともに、水位制御器の健全性を確認して復旧しました。
  • 今後、当該部品の工場出荷前の検査に浸透探傷検査を追加します。
  • 今後とも当該部品の予備品を常備します。

伊方発電所2号機  第5高圧給水加熱器まわり概略系統図

伊方発電所3号機 機器用水系統概略PDFへ(印刷用) 伊方発電所2号機  第5高圧給水加熱器まわり概略系統図  (PDF-26KB)

3.伊方発電所  野外モニタリング設備モニタリングポストNo.4伝送装置の不具合について

○事 象

 7月22日1時03分頃、定期検査における調整運転中の伊方発電所1、2号機の中央制御室において、伊方発電所屋外放射線測定用のモニタリングポストNo.4の異常を示す信号が発信しました。
  その後、同日2時03分頃、当該指示値は復帰しましたが、調査の結果、モニタリングポストNo.4の伝送装置の一部に異常があり、野外モニタ盤および環境モニタリング盤の高レンジ線量率の記録計と放射線管理用計算機システムの高レンジ線量率の指示値が正しく表示できていなかったことが判明しました。
  このため、モニタリングポストNo.4の伝送装置の当該部品を予備品に取り替えて異常のないことを確認し、同日16時45分、通常状態に復旧しました。

○原 因

 調査の結果、当該伝送装置の駆動用電源回路に使用している電解コンデンサからの液漏れが確認されたことから、この液漏れにより駆動用電源回路が短絡し、駆動用電圧を供給できなくなったことで伝送装置の機能が喪失し、指示値が正しく表示できなくなったものと推定されました。

○対 策

  • 当該伝送装置を予備品に取り替えました。また、今後とも伝送装置の予備品を常備します。
  • 当該回路と同様の駆動用電源回路について、駆動用電源部の電解コンデンサを取り替えることとし、電解コンデンサの液漏れが確認された場合は、回路の状況を確認し、液漏れの影響を受けている部品も必要に応じて取り替えます。また、電解コンデンサ取替後には性能試験を実施して健全性を確認するとともに、次回定期検査時に駆動用電源電圧の確認を再度実施します。
  • 野外モニタリング設備は、周辺環境への影響を常時監視し、自治体にもデータ伝送している設備であることを踏まえ、設置から長期間経過していることから、製造中止部品の増加の影響を回避し、経年劣化による故障の増加を予防するため、平成23年度中を目処に全面的な取替を計画します。

伊方発電所  モニタリングポストNo.4  概略系統図

伊方発電所3号機 機器用水系統概略PDFへ(印刷用) 伊方発電所  モニタリングポストNo.4  概略系統図  (PDF-14KB)

4.伊方発電所3号機  海水淡水化装置洗浄撹拌ブロワの不具合について

○事 象

 7月24日14時56分頃、通常運転中の伊方発電所3号機の海水淡水化装置において、同装置の起動に伴い洗浄撹拌ブロワBを運転したところ、モータとブロワを連結しているベルトが空回りしていることを運転員が発見したため、当該ブロワを停止しました。その後、当該ブロワが自動起動信号により起動しましたが、モータの過負荷状態を示す信号が発信し、当該ブロワは自動停止しました。
  調査の結果、当該ブロワ内部において羽根車とケーシングに錆を確認したため、羽根車およびケーシング等の錆を除去して清掃を行った後、運転状態に異常のないことを確認し、7月30日17時45分、通常状態に復旧しました。

○原 因

 詳細調査の結果、本年6月25日に洗浄撹拌ブロワBの出口逆止弁を分解点検したところ、洗浄撹拌ブロワA、B内に海水が流入していることを確認しており、流入した海水の排水および確認運転を実施して、当該ブロワの運転状況に異常がないことを確認していましたが、当該ブロワ内部が海水により発錆し易い環境になっていたと考えられます。さらに、洗浄撹拌ブロワBについては、約1ヶ月の間、予備機として停止していたことから発錆が進行し、羽根車とケーシングが錆により固着したために、モータとブロワを連結しているベルトが空回りしたものと推定されました。
  なお、当該ブロワを手動で停止した後に自動起動したのは、運転工程が進み、通常のシーケンス通りに自動起動したものであり、当該ブロワが自動停止したのは、ブロワ内部の固着によるモータの過負荷によるものと推定されました。

○対 策

  • 当該ブロワの分解点検を実施し、羽根車、ケーシング等の錆除去、清掃を実施して復旧しました。また、洗浄撹拌ブロワAについても分解点検を実施しました。
  • 今回の事象を踏まえて、ブロワに海水の流入が認められた機器の分解点検および洗浄、また、運転中の機器に異常が認められた場合の当該機器の損傷防止のための操作方法について、ワンポイントレッスンを作成し、関係者に周知します。

伊方発電所3号機  海水淡水化装置概略系統図

伊方発電所3号機 機器用水系統概略PDFへ(印刷用) 伊方発電所3号機  海水淡水化装置概略系統図  (PDF-25KB)

5.伊方発電所1、2号機  海水電解装置電解槽廻り配管漏えいについて

○事 象

 7月28日9時45分頃、定期検査における調整運転中の伊方発電所1、2号機の海水電解装置において、8槽ある電解槽のうちNo.4槽とNo.5槽を接続する配管から、海水が漏れていることを運転員が発見しました。このため、海水電解装置を停止し、海水の漏えいは停止しました。
  その後、当該配管を仮設配管に取り替えて、8月3日、海水電解装置の運転を開始した後、8月21日、仮設配管から本設配管に取り替えて漏えいのないことを確認し、同日15時50分、通常状態に復旧しました。

○原 因

 調査の結果、当該配管は曲管部のある約1.8mの配管であり、漏えいの発生した箇所は曲管で目視点検が困難であったことから、配管の腐食防止のために内面に施しているゴムが、電解液(次亜塩素酸ソーダ)により経年的に厚さが減少して破れ、その部分の配管が海水により腐食して微小な穴が貫通し、漏えいに至ったものと推定されました。

○対 策

  • 当該配管を内部点検が容易に実施できる形状の配管に取り替えるとともに、今回の事象を踏まえて、配管曲管部内面の目視点検をより慎重に実施するように周知しました。なお、当該配管は内面に軟質ゴムを使用していましたが、軟質ゴムより厚さの減少が遅い傾向にある硬質ゴムを使用した配管に取り替えました。
  • 1、2号機および3号機の電解槽廻りの配管について、1年に1回実施している海水電解装置の定期点検時にあわせて、配管内側のゴムの厚さ計測を実施することとし、その旨を作業要領書に記載します。

伊方発電所1、2号機  海水電解装置概略系統図

伊方発電所3号機 機器用水系統概略PDFへ(印刷用) 伊方発電所1、2号機  海水電解装置概略系統図  (PDF-17KB)

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以  上

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