平成22年03月10日
四国電力株式会社

伊方発電所における通報連絡事象(平成22年2月分)および
通報連絡事象に係る報告書の提出について

  •   平成22年2月に、当社から愛媛県および伊方町に通報連絡した事象は以下の3件です。これらの事象は、法律に基づく報告事象に該当するものではなく、また、環境への放射能の影響もありませんでした。
事    象 発生月日 発表月日 公表区分
1.伊方発電所2号機   制御棒位置表示の指示低下について
2月 5日 2月 5日
2.伊方発電所における作業員の負傷について
2月17日 2月17日
3.伊方発電所1、2号機   保修建家での作業員の負傷について
2月19日 2月19日
県の公表区分 A:即公表
  B:48時間以内に公表
  C:翌月10日に公表
  •   過去に発生した以下の通報連絡事象について、その後の調査結果を踏まえた原因と対策をとりまとめ、愛媛県および伊方町に報告書を提出いたしました。
事    象 発生月日 発表月日 公表区分
1.伊方発電所3号機   第2低圧給水加熱器3B入口抽気温度計の指示不良について
平成20年
12月24日
平成21年
1月13日
C
2.伊方発電所3号機   復水器内の復水導電率上昇について
平成21年
 9月25日
平成21年
 9月25日
3.伊方発電所2号機   アスファルト固化装置補助蒸気供給配管からの漏えいについて
平成21年
11月12日
平成21年
11月12日
4.伊方発電所3号機   海水淡水化装置塩酸注入系統からの漏えいについて
平成22年
1月 3日
平成22年
2月10日
C
5.伊方発電所3号機   ほう酸濃縮液ポンプドレン配管フランジ部からの漏えいについて
平成22年
1月10日
平成22年
1月10日
6.伊方発電所3号機   低圧タービン蒸気転向装置固定用ボルト廻り止め割りピンの欠損について
平成22年
1月13日
平成22年
2月10日
C

(別紙1)伊方発電所における通報連絡事象の概要(平成22年2月分)

  1. 伊方発電所2号機  制御棒位置表示の指示低下について
  2. 伊方発電所における作業員の負傷について
  3. 伊方発電所1、2号機  保修建家での作業員の負傷について

(別紙2)伊方発電所における通報連絡事象の報告書概要

  1. 伊方発電所3号機  第2低圧給水加熱器3B入口抽気温度計の指示不良について
  2. 伊方発電所3号機  復水器内の復水導電率上昇について
  3. 伊方発電所2号機  アスファルト固化装置補助蒸気供給配管からの漏えいについて
  4. 伊方発電所3号機  海水淡水化装置塩酸注入系統からの漏えいについて
  5. 伊方発電所3号機  ほう酸濃縮液ポンプドレン配管フランジ部からの漏えいについて
  6. 伊方発電所3号機  低圧タービン蒸気転向装置固定用ボルト廻り止め割りピンの欠損について
以  上

別紙1

伊方発電所における通報連絡事象の概要(平成22年2月分)

1.伊方発電所2号機  制御棒位置表示の指示低下について

  2月5日11時22分、通常運転中の伊方発電所2号機において、中央制御盤の制御棒の位置を監視する画面で、制御棒を操作していないにもかかわらず制御棒33本のうち1本の位置指示が低下していることを運転員が確認しました。
  調査の結果、制御棒位置信号を検出する信号検出回路のカードが不良であると確認したことから、当該カードを取り替えて、制御棒を実際に動作させる試験を行い、同日、当該制御棒の位置指示が正常に表示できることを確認しました。なお、この間、原子炉施設保安規定で定める運転上の制限※を一時的に逸脱した状態となりました。
  その後、念のため、当該装置の表示について、2月8日まで監視を強化していましたが、異常が見られないことから、通常状態に復旧しました。
  今後、引き続き、詳細を調査します。

伊方発電所2号機 制御棒位置指示装置概略系統図

※原子炉施設保安規定で定める運転上の制限
  「制御棒位置指示装置により、制御棒の位置が確認できること」

PDFマーク(印刷用)伊方発電所2号機  制御棒位置指示装置概略系統図  (PDF-52KB)

2.伊方発電所における作業員の負傷について

  2月17日9時25分頃、伊方発電所焼却炉建家入口(管理区域外)において、建家に入ろうとした協力会社の作業員1名が、誤って入口扉に自分の左手人差指を挟み、負傷したため、病院への搬送が必要であると判断しました。
  その後、車により市立八幡浜総合病院に搬送し、医師による診察の結果、「左示指(じし)挫滅創、左示指(じし)中節骨(ちゅうせつこつ)開放性粉砕骨折」と診断され、手術を受けました。
  当該作業員は、手術後より約2ヶ月の休業加療を要する見込みです。
  なお、当該作業員の被ばくおよび汚染はありません。

3.伊方発電所1、2号機  保修建家での作業員の負傷について

 2月19日11時15分頃、通常運転中の伊方発電所1、2号機保修建家(管理区域内)において、定期検査中の3号機より搬出した一次冷却材ポンプ用モータの点検作業をしていた作業員が、打ち下ろされたハンマにより左手の薬指と小指の間を負傷したため、病院への搬送が必要であると判断しました。
  その後、車により市立八幡浜総合病院に搬送し、医師による診察の結果、「左第4中手骨(ちゅうしゅこつ)開放性骨折、左環指(かんし)基節骨(きせつこつ)骨折」と診断され、手術を受けました。
  当該作業員は、手術後より約2ヶ月の療養を要する見込みです。
  なお、当該作業員の被ばくおよび汚染はありません。


別紙2

伊方発電所における通報連絡事象の報告書概要

1.伊方発電所3号機  第2低圧給水加熱器3B入口抽気温度計の指示不良について

○事象

  平成20年12月24日10時05分、通常運転中の伊方発電所3号機において、タービン建屋1階にある2次系の第2低圧給水加熱器の蒸気(抽気)温度を測定する温度計に不具合があることを保修員が確認しました。
  その後、復水器内の抽気管に設置している温度測定素子の断線により温度指示が不良となった可能性があることが確認されました。
  なお、当該温度計は、定期検査後のプラントのデータ確認に使用するものであり、プラントの運転に影響はありませんでした。

○原因

  当該温度計は、温度測定素子が復水器内部に設置されており、運転中に保修できなかったことから、第12回定期検査において調査を実施した結果、温度測定素子が破断しており、破断部付近の外表面に微小な傷を確認しました。このことから、第11回定期検査における点検の際に温度測定素子の外表面に微小な傷が生じて、さらに、温度測定素子を第2低圧給水加熱器本体との間にわずかな隙間ができる寸法・形状の固定金具で取り付けてあったことから、プラント運転中の振動により、この傷を起点として破断に至ったものと推定されました。

○対策

  • 当該温度計および類似箇所の温度計(3箇所)を新品に取り替えるとともに、固定金具を隙間のない寸法・形状のものに取り替えました。
  • 復水器内部の温度計の取り外しを実施する場合は、新品に交換するとともに、固定金具については隙間のない寸法・形状とするように作業要領書に記載します。

伊方発電所3号機 第2低圧給水加熱器入口抽気温度計概要図

PDFマーク(印刷用) 伊方発電所3号機  第2低圧給水加熱器入口抽気温度計概要図  (PDF-55KB)

2.伊方発電所3号機  復水器内の復水導電率上昇について

○事象

  平成21年9月25日、通常運転中の伊方発電所3号機において、2次系水質の異常を示す信号が発信し、復水器ホットウェルBの導電率の上昇を確認しました。その後、水質の分析を実施した結果、同日10時30分、ナトリウムおよび塩素が検出され、細管から微量な海水が復水器内に混入したものと推定されました。
  このため、10月13日から出力を約95%まで下げて、細管の漏えい箇所の特定調査を行い、漏えいが確認された細管1本に施栓を実施しました。また、渦流探傷検査の結果、施栓の判定基準に達していなかったものの、微小な指示が見られた細管および漏えい細管の周囲の細管など20本について施栓を実施し、10月16日13時30分、定格熱出力運転に復帰した状態で海水の漏えいがないことを確認しました。

○原因

  調査の結果、漏えいが確認された細管がある復水器壁側は、復水器内に設置している第2低圧給水加熱器ドレン配管のサポート板をつたわってきた水滴が衝突する可能性があることを確認しました。また、当該箇所は蒸気流速の速い場所であることから、細管に高速の蒸気と共に水滴が衝突した結果、細管外面からの小さな点状の減肉が徐々に進行して貫通に至り、細管から漏えいした海水が復水器内に混入したものと推定されました。

○対策

  • 事象発生後の点検において、漏えいが確認された細管1本および、その他の細管20本について、施栓を実施しました。なお、施栓を実施した細管のうち、第12回定期検査において点検した結果、異常が認められなかった2本について、施栓を取り外しました。
  • 第12回定期検査において実施した点検において、復水器水室3A、3C、3Dの細管のうち、漏えい細管と同じ位置でかつ流速の早い復水器壁側の各6本の細管に施栓を実施しました。(3Aについては既に1本施栓済み)
  • 流速の早い復水器壁側で施栓を実施した細管廻りの細管について、当面の間、毎定検、外観目視点検を実施します。また、外周細管について、高感度渦流探傷検査により、今回の漏えい箇所と同様な指示の有無を確認することとし、その結果、同様な指示が認められた箇所については、目視点検を実施する旨を作業要領書に記載しました。

伊方発電所3号機 復水器廻り系統概略図

PDFマーク(印刷用) 伊方発電所3号機  復水器廻り系統概略図  (PDF-63KB)

3.伊方発電所2号機  アスファルト固化装置補助蒸気供給配管からの漏えいについて

○事象

  平成21年11月12日10時30分頃、通常運転中の伊方発電所2号機の原子炉補助建家5階において、アスファルト固化装置の補助蒸気を供給する配管の保温材表面から、放射能を含まない2次系水(蒸気)が漏れていることを保修員が確認しました。
  このため、当該配管を点検した結果、直径約1mmの微小な貫通穴が1箇所確認されたことから、当該配管の取替を行い、11月16日11時40分、漏えいがないことを確認し、通常状態に復旧しました。

○原因

  調査の結果、当該補助蒸気系統はpH値を調整するためのアンモニアを注入していないため、他の2次系系統に比べ配管内面の鉄が溶出しやすい水質環境にあり、配管内面に酸化皮膜が形成されやすく、また、垂直配管の溶接部近傍で漏えいが発生していることから、溶接部の形状により蒸気の乱流が発生して当該部が減肉し、減肉箇所の廻りに形成された厚い酸化皮膜との段差によって発生した乱流によって、さらに減肉が進展して貫通に至ったものと推定されました。なお、水平配管内ではドレンは配管底部を流れており、酸化皮膜も垂直配管ほど厚く生成しないことを確認しました。

○対策

  • 当該箇所の配管を新品の炭素鋼製配管に取り替えました。
  • 次回の定期検査時に、当該垂直配管を耐食性に優れたステンレス製配管に取り替えます。
  • 今後、補助蒸気供給配管のうち材質が炭素鋼である垂直配管の直管溶接部周辺について、計画的に配管の肉厚測定を実施し、著しい減肉傾向が認められた箇所についてはステンレス製配管に取り替えます。

伊方発電所2号機 補助蒸気系統概略図

PDFマーク(印刷用) 伊方発電所2号機  補助蒸気系統概略図  (PDF-42KB)

4.伊方発電所3号機  海水淡水化装置塩酸注入系統からの漏えいについて

○事象

  平成22年1月3日4時27分、通常運転中の伊方発電所3号機において、海水淡水化装置の塩酸の漏えいを示す信号が発信したため運転員が現地を確認したところ、海水淡水化装置Bの塩酸注入系統の弁から建屋内の床面に少量の塩酸が漏えいしていることを確認しました。その後、運転中であった当該装置を停止し、同日4時35分、塩酸の漏えいは停止しました。
  点検の結果、当該弁内部のゴム製ダイヤフラムが変形していたことから、弁本体とダイヤフラムの間にわずかな隙間ができ、4本ある取り付けボルトのうち1本の貫通穴を通じて塩酸が漏えいしたものと推定されました。
  このため、ダイヤフラムとボルトを取り替えた後、塩酸注入ポンプを運転し、1月14日15時40分、漏えいがないことを確認し、通常状態に復旧しました。

○原因

  調査の結果、当該ダイヤフラムが塩酸により割れおよび膨れを伴う変形を起こしたことから、弁本体と当該ダイヤフラムの間に僅かな隙間が生じて、漏えいしたものと推定されました。なお、ゴム製のダイヤフラムは塩酸に対して使用可能とされており、これまでの点検結果に異常がなかったことから、平成16年より点検周期を3年から6年に1回に延長しており、ゴム製ダイヤフラムの変形の兆候が点検により確認できていませんでした。

○対策

  • 当該弁および海水淡水化装置Aの同様の弁のゴム製ダイヤフラムおよび取り付けボルト全数を、新品に取り替えました。
  • 次回の海水淡水化装置点検時において、当該弁および海水淡水化装置Aの同様の弁を耐食性に優れたテフロン製ダイヤフラム(点検周期:6年に1回)に取り替えます。
  • 当該弁と同じゴム製ダイヤフラムを使用している3号機復水脱塩装置の弁について、今後、計画的にテフロン製ダイヤフラムに取り替えます。
  • 塩酸系統のダイヤフラム弁の点検周期を延長する場合にはダイヤフラムの材質を確認するよう、ワンポイントレッスンを作成し、関係者に周知します。

伊方発電所3号機 海水淡水化装置系統概略図

PDFマーク(印刷用) 伊方発電所3号機  海水淡水化装置系統概略図  (PDF-65KB)

5.伊方発電所3号機  ほう酸濃縮液ポンプドレン配管フランジ部からの漏えいについて

○事象

  平成22年1月10日1時40分頃、第12回定期検査中の伊方発電所3号機の原子炉補助建屋4階のほう酸濃縮液タンク室内において、ほう酸濃縮液ポンプ付近で微量の放射性物質(放射能量:約560ベクレル)を含む少量の液体(約1リットル)が漏えいしていることを確認しました。
  このため、同日3時5分に停止中の当該ポンプを隔離して漏えいは停止し、漏えいした液体は全量を紙ウエスで回収しました。
  点検の結果、当該ポンプに接続しているドレン配管のフランジ部の合わせ面にわずかな隙間があり、この隙間からの漏えいであることを確認したことから、当該フランジ部のガスケットを取り替えて隙間がないことを確認した後、当該ポンプの確認運転を行い、1月28日13時40分、漏えいがないことを確認し、通常状態に復旧しました。

○原因

  調査の結果、当該フランジ部の合わせ面に最大0.25mmの隙間が認められ、締め付けボルトを規定トルクで締めた結果、僅かに締め付けられたことから、当該フランジが片締め状態であったことを確認しました。このことから、当該フランジ部は、片締めにより漏れが生じやすい状態となっていたため、当該ポンプの運転、停止に伴う圧力変動の影響により、締付圧力が徐々に低下して漏えいに至ったものと推定されました。

○対策

  • 当該フランジのガスケットを新品に取り替えるとともに、合わせ面の隙間が均等になるように復旧し、漏えいがないことを確認しました。
  • 同型ポンプのフランジの締め付けにおいては、トルク管理を行うとともに合わせ面の隙間が均等であることを確認するよう、作業要領書に記載します。

伊方発電所3号機 ほう酸濃縮液ポンプまわり系統概略図

PDFマーク(印刷用) 伊方発電所3号機  ほう酸濃縮液ポンプまわり系統概略図  (PDF-45KB)

6.伊方発電所3号機  低圧タービン蒸気転向装置固定用ボルト廻り止め割りピンの欠損について

○事象

  平成22年1月13日13時10分、第12回定期検査中の伊方発電所3号機において、タービン建屋2階で実施していた低圧タービンの開放点検で、入口蒸気の流れを分配する部品を固定するボルトの廻り止め割りピンが欠損していることを確認しました。
  当該割りピンは低圧タービン1基あたり2本あり、第1低圧タービンは2本、第2低圧タービンは1本が欠損していました。
  その後、欠損した割りピンは、第1低圧タービンの2本はほぼすべて回収、第2低圧タービンの1本は約7割を回収しました。なお、回収できなかった部位については、タービンの羽根等により微細な粒状または粉状に細分化されていると考えられ、タービンの下流機器への影響はないことを確認しました。
  また、第1、第2低圧タービンの羽根等について、外観目視点検および割りピンとの接触跡の浸透探傷検査を実施し、異常がないことを確認しました。 

○原因

  調査の結果、前回の定期検査時の割りピンの取り付けが若干浅めの挿入状態であり、振動しやすくなっていたことから、運転中の蒸気流による流体振動等の影響により、割りピンが微小振動するとともに、ナットが回転方向に微小振動することによって、ボルトおよびナットとの摺動により割りピンが摩耗減肉して、割りピンの損傷に至ったものと推定されました。

○対策

  • 当該部の廻り止めについて、摩耗や折損を防止するために、割りピンからテーパーピンとし、テーパーピンをナットで固定して溶接止めする廻り止めに変更しました。
  • 今後、定期検査毎にピンにゆるみ等の異常がないことを確認します。
  • 1、2号機の同様の割りピンについては、これまで摩耗減肉等の異常は認められていませんが、次回の低圧タービンの開放点検時に3号機と同様の廻り止めに変更します。

低圧タービン蒸気転向装置概略図

PDFマーク(印刷用) 低圧タービン蒸気転向装置概略図  (PDF-57KB)

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