平成22年07月12日
四国電力株式会社

伊方発電所における通報連絡事象(平成22年6月分)および
通報連絡事象に係る報告書の提出について

  •   平成22年6月に、当社から愛媛県および伊方町に通報連絡した事象は以下の7件です。これらの事象による環境への放射能の影響はありませんでした。
事    象 発生月日 発表月日 公表区分
1.伊方発電所   エタノールアミン排水処理装置排水冷却器からの漏えいについて
6月 1日 -
2.伊方発電所1、2号機   復水脱塩装置排水配管からの漏えいについて
6月 2日 -
3.伊方発電所3号機   取水ピット水位計の不具合について
6月 7日 -
4.伊方発電所1号機   安全防護系シーケンス盤のシステムの停止について
6月 8日 6月 9日
5.伊方発電所1号機   原子炉補機冷却水冷却器1A冷却用海水供給配管からの漏えいについて
6月11日 6月11日
6.伊方発電所3号機   燃料取扱棟内における水漏れについて
6月22日 6月23日
7.伊方発電所2号機   発電機出力の低下について
6月24日 -
県の公表区分 A:即公表
  B:48時間以内に公表
  C:翌月10日に公表
  •   過去に発生した以下の通報連絡事象について、その後の調査結果を踏まえた原因と対策をとりまとめ、愛媛県および伊方町に報告書を提出いたしました。
事    象 発生月日 発表月日 公表区分
1.伊方発電所1号機   2次系設備の軸受冷却水冷却器への海水供給配管からの漏えいについて
平成21年
 8月16日
平成21年
 9月10日
C
2.伊方発電所1号機   蒸気加減弁開度変動に伴う発電機出力の変動について
平成21年
11月20日
平成21年
11月20日
B
3.伊方発電所2号機   ほう酸濃縮液ポンプ(共用)ドレン配管フランジ部からの漏えいについて
平成22年
 5月 5日
平成22年
 5月 6日
B

(別紙1)伊方発電所における通報連絡事象の概要(平成22年6月分)

  1. 伊方発電所  エタノールアミン排水処理装置排水冷却器からの漏えいについて
  2. 伊方発電所1、2号機  復水脱塩装置排水配管からの漏えいについて
  3. 伊方発電所3号機  取水ピット水位計の不具合について
  4. 伊方発電所1号機  安全防護系シーケンス盤のシステムの停止について
  5. 伊方発電所1号機  原子炉補機冷却水冷却器1A冷却用海水供給配管からの漏れについて
  6. 伊方発電所3号機  燃料取扱棟内における水漏れについて
  7. 伊方発電所2号機  発電機出力の低下について

(別紙2)伊方発電所における通報連絡事象の報告書概要

  1. 伊方発電所1号機  2次系設備の軸受冷却水冷却器への海水供給配管からの漏えいについて
  2. 伊方発電所1号機  蒸気加減弁開度変動に伴う発電機出力の変動について
  3. 伊方発電所2号機  ほう酸濃縮液ポンプ(共用)ドレン配管フランジ部からの漏えいについて
以上

別紙1

伊方発電所における通報連絡事象の概要(平成22年6月分)

1.伊方発電所  エタノールアミン排水処理装置排水冷却器からの漏えいについて

  6月1日、2次系の排水を処理するエタノールアミン排水処理装置(1、2、3号機共用)において、排水冷却器より2次系の排水が漏えいしている(約1滴/秒)ことを運転員が発見したことから、保修員が排水冷却器の締付ボルトの増し締めを行いましたが、漏えいが停止しなかったため、同日11時50分、当該装置を停止して排水冷却器の点検を実施することとしました。
  調査の結果、排水冷却器のガスケットが減肉しており、当該ガスケット部からの漏えいを確認したことから、当該ガスケットを新品に取り替えました。その後、当該装置を運転して漏えいのないことを確認し、6月15日10時45分、通常状態に復旧しました。
  なお、漏えいした排水(約50リットル)は、紙ウエスでふき取って回収し、総合排水処理装置で処理しました。
  今後、引き続き、詳細を調査します。

伊方発電所 2次系排水処理装置系統概略図

PDFマーク(印刷用)伊方発電所  2次系排水処理装置系統概略図  (PDF-45KB)

2.伊方発電所1、2号機  復水脱塩装置排水配管からの漏えいについて

  6月2日18時50分頃、伊方発電所1、2号機の復水脱塩装置の排水配管の弁より、2次系の排水が漏えいしていることを運転員が発見しました。その後、復水脱塩装置の中和槽排水ポンプ(2号機)を停止し、漏えいは停止しました。
  調査の結果、当該弁は取替作業中で仮取り付けされた状態であり、2号機の中和槽排水ポンプが隔離されていなかったため、当該ポンプが自動運転した際に、当該弁と配管の隙間から復水脱塩装置の排水が漏えいしたものと判明しました。
  その後、仮取り付けしていた当該弁を復旧して漏えいがないことを確認し、6月4日16時15分、通常状態に復旧しました。
  なお、漏えいした排水(約10m3)の敷地外への流出はなく、周辺環境への影響はありません。
  今後、引き続き、詳細を調査します。

伊方発電所 復水脱塩装置中和槽排水系統概略図

PDFマーク(印刷用)伊方発電所  復水脱塩装置中和槽排水系統概略図  (PDF-41KB)

3.伊方発電所3号機  取水ピット水位計の不具合について

  6月7日19時01分、通常運転中の伊方発電所3号機において、取水ピットの水位計の異常を示す信号が発信し、同日20時05分、水位計が故障していることを確認しました。
  調査の結果、取水ピットAの除塵装置下流側の水位計の動作不良であることが判明したことから、当該水位計の取替部品が納入され次第修理します。
  なお、取水ピットAおよびBの除塵装置上流側は同水位であり、片系統の水位計により除塵装置上流側の水位監視が可能であることから、当該水位計を復旧するまでの間、取水ピットAの上流側水位計を下流側の当該水位計の代替として使用して取水ピットAの除塵装置下流側の水位監視を行います。
  今後、引き続き、詳細を調査します。

伊方発電所3号機 循環水系統概略図

PDFマーク(印刷用)伊方発電所3号機  循環水系統概略図  (PDF-48KB)

4.伊方発電所1号機  安全防護系シーケンス盤のシステムの停止について

  6月8日21時00分頃、定期検査中の伊方発電所1号機において、安全防護系シーケンス盤Aのシステムが停止していることを作業員が確認しました。
  調査の結果、当該システムに電源を供給する計装用電源装置の試験後の復旧操作において、2系統ある制御システムのうち、停止させていた1系統の制御システムを再起動する際、起動スイッチによる復旧をさせないまま、もう1系統を停止したことから、2系統とも停止状態となってしまったことが判明しました。
  本システムは、運転中の2号機の中央制御室非常用給気ファン(1、2号機共用設備)の動作システムでもあり、プラント運転中は動作可能であることが原子炉施設保安規定上で要求されていることから、同日23時00分、2号機の保安規定に定める運転上の制限を逸脱したと判断しました。
  その後、当該システムの再起動を行い、6月9日1時35分、保安規定に定める運転上の制限の逸脱から復帰し、当該システムの監視を継続して異常のないことを確認したことから、同日16時10分、通常状態に復旧しました。
  今後、引き続き、詳細を調査します。

伊方発電所1号機 安全防護系シーケンス盤概略図

 

PDFマーク(印刷用)伊方発電所1号機  安全防護系シーケンス盤概略図  (PDF-39KB)

5.伊方発電所1号機  原子炉補機冷却水冷却器1A冷却用海水供給配管からの漏れについて

  6月11日7時45分、定期検査中の伊方発電所1号機の原子炉補助建家地下1階において、原子炉補機冷却水冷却器1Aの海水供給配管から海水が漏れていることを保修員が確認しました。
  その後、当該配管を隔離し、漏えいは停止しました。
  本事象の原因と対策については、7月8日にお知らせ済みです。

伊方発電所1号機 原子炉補機冷却水冷却器の冷却用海水系統概略図

PDFマーク(印刷用)伊方発電所1号機  原子炉補機冷却水冷却器の冷却用海水系統概略図  (PDF-38KB)

6.伊方発電所3号機  燃料取扱棟内における水漏れについて

  6月22日13時48分、通常運転中の伊方発電所3号機の燃料取扱棟において、伊方発電所1、2号機用の一次冷却材ポンプ予備インターナル(ポンプ内部部品)の点検の準備作業を実施していたところ、予備インターナルを水中保管している容器の水位確認用ホースより、床に保管用水が漏れていることを保修員が確認しました。
  その後、当該ホースを接続している弁を閉止し、漏えいは停止しました。
  調査の結果、漏えい量は約450リットルで、微量の放射能(放射能量:約5.4×105ベクレル)を含んでいることが確認されましたが、その大半は液体廃棄物処理系統へ回収し、残りを紙ウエスで拭き取るとともに、燃料取扱棟の床を養生していたポリシート等を除去しました。
  今後、引き続き、詳細を調査します。

伊方発電所 一次冷却材ポンプインターナル 保管容器概略図

PDFマーク(印刷用)伊方発電所  一次冷却材ポンプインターナル保管容器概略図  (PDF-39KB)

7.伊方発電所2号機  発電機出力の低下について

  6月24日11時頃、通常運転中の伊方発電所2号機において、1時間積算の電気出力が定格電気出力(566MWh)未満であることを確認しました。
  本事象は、海水温度の上昇にともないプラントの熱効率が低下することにより、電気出力が低下したものであり、プラントの安全・安定運転に影響を及ぼすものではありません。


別紙2

伊方発電所における通報連絡事象の報告書概要

1.伊方発電所1号機  2次系設備の軸受冷却水冷却器への海水供給配管からの漏えいについて

○事象

  平成21年8月16日8時48分頃、通常運転中の伊方発電所1号機において、湧水ピットの水位上昇傾向を運転員が確認し調査したところ、2次系補機冷却用の海水供給配管から海水が漏えいしていることを確認しました。
  現地調査の結果、当該配管に貫通穴を確認したため、当該箇所に補修処置を実施し、8月17日17時00分、漏えいのないことを確認しました。
  その後、1号機第27回定期検査において、当該配管をタールエポキシ塗装した配管からポリエチレンライニング配管に取り替え、平成22年6月20日10時00分、漏えいのないことを確認し、通常状態に復旧しました。

○原因

  調査の結果、漏えい箇所の配管内面においてタールエポキシ塗装が剥離しており、漏えい箇所を含めてタールエポキシ塗装に8箇所の補修痕を確認しました。このことから、補修塗装の劣化・剥離、または海水の流れによる海生生物等の衝突に伴う塗装面の損傷により、海水が炭素鋼管に接触した結果、炭素鋼管内面から外面に向かって腐食が進行して貫通に至ったものと推定されました。

○対策

  • 漏えいを確認した当該配管を耐食耐摩耗性に優れた内面ポリエチレンライニング配管に取り替えました。
  • 1号機の当該配管以外のタールエポキシ塗装箇所について、第27回定期検査から計画的にポリエチレンライニング配管に全て取り替えることとし、取替が完了するまでの間は定期検査毎に配管の内面点検を実施します。また、2号機についても第22回定期検査において、タールエポキシ塗装箇所の全数をポリエチレンライニング配管に取り替えます。3号機についてはタールエポキシ塗装配管は使用していません。
  • ポリエチレンライニング配管への取替後は、配管内面の点検頻度を上げることとします。

伊方発電所1号機 海水ポンプまわり系統概略図

PDFマーク(印刷用) 伊方発電所1号機  海水ポンプまわり系統概略図  (PDF-38KB)

2.伊方発電所1号機  蒸気加減弁開度変動に伴う発電機出力の変動について

○事象

  平成21年11月20日0時19分、通常運転中の伊方発電所1号機において、タービン蒸気加減弁が開動作したことにより、発電機出力が約6%上昇しました。この出力上昇に伴い、原子炉熱出力が最大で1680MWまで上昇し、保安規定で定める運転上の制限(1650MW)を一時的に逸脱しましたが、運転員が直ちに発電機出力を下げる操作を行い、通常運転に復帰しました。
  その後、蒸気加減弁の動作確認を行い、動作に異常のないことを確認しました。

○原因

  調査の結果、タービン蒸気加減弁の開度を調整している負荷制限器油圧が発電機出力と同時に上昇していたことから、負荷制限器へ給油する油圧系統を調査したところ、その一部に微量の油カスの付着が確認されました。このことから、油圧系統内部に設置されたフィルターでは捕捉できないような微細な油カス等が負荷制限器に流入してカップ弁とピストンの隙間等に噛み込んだため、負荷制限器からの排油量が減少して内部の油圧が上昇し、タービン蒸気加減弁が開動作して発電機出力が上昇したものと推定されました。

○対策

  • 負荷制限器へ給油する油圧系統の機器の分解点検を行い、内部付着物の点検清掃を実施しました。
  • 第27回定期検査から次回の定期検査までの間、静電浄油装置を使用してフィルターでは捕捉できない微細な油カス等の除去を行うとともに、次回の定期検査時に当該油圧系統の点検を行います。また、この点検結果により、今後の静電浄油装置の使用方法について検討するとともに、適切な機器の点検頻度を設定します。

伊方発電所1号機 2次系系統概略図

PDFマーク(印刷用) 伊方発電所1号機  2次系系統概略図  (PDF-57KB)

3.伊方発電所2号機  ほう酸濃縮液ポンプ(共用)ドレン配管フランジ部からの漏えいについて

○事象

  5月5日1時00分頃、通常運転中の伊方発電所2号機原子炉補助建家において、ほう酸濃縮液タンク室内のほう酸濃縮液ポンプ付近(同タンクおよび同ポンプは1、2号機共用)で微量の放射性物質(放射能量:約61ベクレル)を含む約1リットルの液体が漏えいしていることを確認しました。
  その後、当該ポンプに接続しているドレン配管のフランジ部からほう酸水が漏えいしたものであることを確認したため、当該フランジ部を点検した結果、フランジ部の締め付け状態は良好であり、フランジ面にも異常はありませんでしたが、フランジ部からの漏えいを防止するために使用しているガスケットの厚みが減少していたことを確認しました。このため、当該ガスケットの取替を行い、当該ポンプを運転して漏えいがないことを確認し、5月12日16時20分、通常状態に復旧しました。

○原因

  調査の結果、当該ガスケットは弱酸の環境において引張強さが減少し、液温が高くなると減少率が大きくなることが判明しました。このことから、ほう酸水による弱酸環境およびほう酸析出防止のために常時約75℃に加温している高温環境との組み合わせにより、ガスケットが劣化して復元力が低下した結果、シート機能が失われて漏えいに至ったものと推定されました。

○対策

  • 当該フランジのガスケットを耐薬品性に優れたノンアスベストガスケットに取り替えました。なお、当該ポンプと同型ポンプのうち、同様の使用環境(内包流体、温度)にある3号機ほう酸濃縮液ポンプのガスケットについては、既にノンアスベストガスケットに取り替えています。
  • 当該ポンプと同型ポンプのうち、内包流体はほう酸水であるが、使用温度が常温である3号機の4台のポンプについて、念のため、次回の3号機第13回定期検査時にノンアスベストガスケットに取り替えます。

伊方発電所 ほう酸濃縮液ポンプ(1、2号機共用)まわり系統概略図

PDFマーク(印刷用) 伊方発電所  ほう酸濃縮液ポンプ(1、2号機共用)まわり系統概略図  (PDF-21KB)

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