- 平成22年9月に、当社から愛媛県および伊方町に通報連絡した事象は以下の3件です。これらの事象は、法律に基づく報告事象に該当するものではなく、また、環境への 放射能の影響もありませんでした。
事 象 | 発生月日 | 発表月日 | 公表区分 | ||
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9月 6日 | - | C | ||
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9月 7日 | - | C | ||
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9月10日 | - | C |
県の公表区分 | A:即公表 |
B:48時間以内に公表 | |
C:翌月10日に公表 |
- 過去に発生した以下の通報連絡事象について、その後の調査結果を踏まえた原因と対策をとりまとめ、愛媛県および伊方町に報告書を提出いたしました。
事 象 | 発生月日 | 発表月日 | 公表区分 | ||
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7月17日 | 7月17日 | B | ||
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8月 2日 | 9月 9日 | C | ||
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8月 3日 | 9月 9日 | C | ||
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8月11日 | 8月11日 | B | ||
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8月20日 | 8月21日 | B |
(別紙1)伊方発電所における通報連絡事象の概要(平成22年9月分)
- 伊方発電所2号機 燃料移送装置の燃料コンテナ変形について
- 伊方発電所3号機 海水淡水化装置塩酸貯槽まわりからの塩酸の漏えいについて
- 伊方発電所1号機 タービン非常用油ポンプ用直流電源装置の不具合について
- 伊方発電所1号機 1次系弁漏えい監視用温度計の不具合について
- 伊方発電所2号機 充てんポンプ出口逃がし弁の動作について
伊方発電所における通報連絡事象の概要(平成22年9月分)
1.伊方発電所2号機における作業員の負傷について
9月6日10時20分頃、定期検査中の伊方発電所2号機の原子炉補助建家1階において、歩行中の作業員(1名)が転倒し、配管サポートで胸部を打撲しました。作業員に外傷はなく、その後、作業を継続していましたが、胸部に痛みがあったことから、産業医の診断を受け、12時13分、念のため胸部レントゲンを撮ることとし、市立八幡浜総合病院に車で搬送しました。
医師による診察の結果、「左肋軟骨挫傷、左胸部打撲症」と診断されました。
なお、本事象による当該作業員の被ばくおよび汚染はありません。
2.伊方発電所2号機 火災感知器の不具合について
9月7日9時24分、定期検査中の伊方発電所2号機の中央制御室において、火災感知器の一部の応答がないことを示す信号が発信しました。
点検の結果、作業員が床面コンクリートのはつり作業中に火災感知器用の信号ケーブル(1本)を切断したことにより、タービン建家等に設置している一部の火災感知器の信号が中央制御室に発信しない状態となったことを確認しました。
このため、当該ケーブルの補修を行った後、信号が正常に発信する状態であることを確認し、同日17時30分、通常状態に復旧しました。また、火災感知器を復旧するまでの間、監視不能になったエリアのパトロールを行い、この間に火災等の異常のないことを確認しました。
今後、引き続き、詳細を調査します。
(印刷用)伊方発電所2号機 火災感知器信号概略図 (PDF-39KB)
3.伊方発電所2号機における作業員の体調不良について
9月10日11時00分頃、定期検査中の伊方発電所2号機の燃料取替用水タンクエリア(屋外)において、当該タンク点検に従事していた作業員が体調不良を訴えました。
看護師が症状を確認した結果、当該作業員に熱中症の疑いがあったことから、12時00分、病院での診察が必要と判断し、市立八幡浜総合病院に車で搬送しました。
医師による診察の結果、「軽度の熱中症」と診断されました。
なお、本事象による当該作業員の被ばくおよび汚染はありません。
伊方発電所における通報連絡事象の報告書概要
1.伊方発電所2号機 燃料移送装置の燃料コンテナ変形について
○事象
7月17日9時30分頃、通常運転中の伊方発電所2号機の原子炉補助建家5階において、燃料移送装置の部品取替作業に伴うリフティングフレーム操作中に、リフティングフレームと燃料コンテナが接触したことから点検を実施したところ、燃料コンテナが変形していることを確認しました。
点検の結果、燃料コンテナのほか、コンベアカー(当該コンテナを載せる台車)やリフティングフレームの軸受構成部品の一部などにも接触による変形が確認されました。このため、燃料コンテナの変形部分を油圧ジャッキ等により修正するとともに、その他の箇所についても修正や部品の取替を行った後、模擬燃料を使用して燃料移送装置の動作確認を行って異常のないことを確認し、8月6日15時50分、通常状態に復旧しました。
○原因
調査の結果、メーカによる作業要領書の作成と当社の審査時に使用する手引きおよびチェックシートにおいて、干渉確認に係る具体的な記載がなかったことから、作業要領書作成時の干渉確認が不十分であり、リフティングフレームの立て起こし時に、燃料コンテナをリフティングフレームと干渉する位置に移動させる手順になっていたことを確認しました。このため、作業要領書の手順通りにリフティングフレームを立て起こした結果、リフティングフレームの下端と燃料コンテナが接触したものと推定しました。
○対策
- 今回の本作業に係る作業要領書について、リフティングフレームを取り外して仮置きする要領に変更しました。また、燃料コンテナおよびコンベアカーの変形部分を元の形状に復元するとともに、リフティングフレームの軸受構成部品を新品に取り替えました。その後、念のために燃料コンテナを新品に取り替えました。
- 今後、メーカにおいて、燃料コンテナの軸受構成部品を取り替える際に燃料コンテナとリフティングフレームを分解して実施することを標準工法とするなど、再発防止を図ることとしており、当社はその実施状況を確認します。
- 装置の分解点検等に伴い、インターロックを除外して操作を行う場合は、事前に周辺装置と干渉しない手順となっていることを確認する旨、作業要領書作成の手引きおよびチェックシートに追記します。
- 伊方1、2号機の燃料移送装置において、燃料コンテナが所定位置でない状態でリフティングフレームを操作した場合、リフティングフレームの下端が燃料コンテナと干渉する構造である旨のワンポイントレッスンを作成し、関係者に周知しました。なお、伊方3号機の同装置については、構造が異なることから、同様の干渉を生じることはありません。
(印刷用) 伊方発電所2号機 燃料移送装置概略図 (PDF-44KB)
2.伊方発電所3号機 海水淡水化装置塩酸貯槽まわりからの塩酸の漏えいについて
○事象
8月2日10時24分、通常運転中の伊方発電所3号機において、海水淡水化装置用の塩酸受入作業中のところ、同装置建屋内の塩酸ガスの検知を示す信号が発信したため、運転員が現場を確認した結果、塩酸貯槽まわりから塩酸が漏えいしていることを確認しました。漏えい量は約10リットルであり、建屋外部への流出はありませんでした。
点検の結果、直前に点検を実施した塩酸補給ラインのフランジ部から漏えいしたことを確認しました。このため、当該フランジのガスケットを取り替えて確実に締め付けを行った後、塩酸貯槽に塩酸を受け入れて、漏えいのないことを確認し、8月9日14時50分、通常状態に復旧しました。
○原因
調査の結果、同装置の塩酸系統配管フランジ部点検の復旧において、作業要領書読み合わせ時にフランジを確実に締め付けるよう周知していたが、作業要領書が個々のフランジの締め付け確認が確実にできる要領となっておらず、その後の締め付け完了の確認方法も明確に取り決めていなかったことから、作業員が当該フランジの締め付けを忘れて、仮締め状態であったことを確認しました。また、フランジ部の締め付け状態を確認するために実施しているフランジ面の間隔の測定について、記録用紙に「参考記録」と記載されていたことから、作業員および工事責任者が塩酸受入後に測定しても問題ないと判断していたことを確認しました。このため、当該フランジの締め付けが不十分な状態で塩酸を受け入れた結果、塩酸が漏えいしたものと推定しました。
○対策
- 当該フランジ部について、ガスケットを取り替えて確実に締め付けを行うとともに、今回分解点検を行った他のフランジ部(176箇所)についても確実に締め付けられていることを確認しました。
- フランジの締め付け状態を確実に確認するよう、フランジ面の間隔を記録する用紙に記載していた「参考記録」の文言を削除しました。
- 複数のフランジを分解点検する場合は、フランジ締め付け管理チェックシートを使用してフランジ1箇所毎の締め付け確認を確実に実施する旨、作業要領書および品質保証チェックシートを改正しました。
- 作業要領書読み合わせ時に周知した事項について確実に実施するとともに、作業の各ステップ毎に記録による確認を確実に実施するよう、ワンポイントレッスンを作成し、関係者に周知します。
(印刷用) 伊方発電所3号機 海水淡水化装置概略系統図 (PDF-49KB)
3.伊方発電所1号機 タービン非常用油ポンプ用直流電源装置の不具合について
○事象
8月3日17時31分頃、定期検査における調整運転中の伊方発電所1号機のタービン建家1階において、通常使用していないタービン非常用油ポンプ用電源の過電圧を検出する信号が発信し、スイッチが切となりました。
点検の結果、当該ポンプの電源回路にある整流器(交流電源を直流電源に変換する装置)の制御カードの不具合により、整流器出口の電圧が上昇したため、電源装置の異常を示す信号が発信したことを確認しました。このため、当該カードを取り替えて、整流器の制御状態に異常のないことを確認し、8月5日16時20分、通常状態に復旧しました。
○原因
調査の結果、当該制御カードに結露水が付着しており、また、当該ポンプの電源ケーブル処理箱内の電線管端部には、シール処置が施されていない箇所があることを確認しました。このため、当該電源装置内で発生した結露水が制御カード上に落下し、一時的に誤った制御信号を整流器に出力したことから、整流器出口の電圧が上昇したものと推定しました。また、当該ポンプの電源ケーブル処理箱内の電線管端部には、シール処置が施されていない箇所があり、そこから外気が浸入して冷やされた結果、結露水が発生したものと推定しました。
○対策
- 当該制御カードを新品に取り替えました。
- 当該ポンプのケーブル処理箱内の全ての電線管端部について、シール処置を実施しました。
- 当該電源装置と同様な設置条件である他の電源装置について、ケーブル処理箱内に結露水が発生していないことを確認しました。また、電線管端部のシール未施工箇所について、念のため、シール処置を実施しました。
- 定期点検時にケーブル処理箱内電線管端部のシール処置状況の健全性を確認する旨、作業要領書を改正します。
(印刷用) 伊方1発電所号機 非常用油ポンプ電源概略図 (PDF-19KB)
4.伊方発電所1号機 1次系弁漏えい監視用温度計の不具合について
○事象
8月11日2時32分、通常運転中の伊方発電所1号機において、1次系弁からの漏えい監視のため測定している配管の温度が高くなったとの信号が発信しました。
点検の結果、漏えいを示す他のパラメータに異常はないことから、弁からの漏えいはなく、1次系弁漏えい監視装置の信号送受信部の不具合により、信号が発信したものと推定しました。
その後、当該送受信器を取り替えて、正常な温度を指示していることを確認し、9月27日10時00分、通常状態に復旧しました。
○原因
調査の結果、信号の送受信器の故障により、温度信号の送受信が正常に行われず、正常な温度の信号が得られなかったものと推定しました。
○対策
- 当該送受信器を新品に取り替えました。
- 現在実施している第22回定期検査において、2号機に設置している同型式の送受信器を取り替えます。
(印刷用) 伊方発電所1号機 1次系弁の漏えい監視用温度測定概要図 (PDF-51KB)
5.伊方発電所2号機 充てんポンプ出口逃がし弁の動作について
○事象
8月20日16時49分頃、通常運転中の伊方発電所2号機の原子炉補助建家3階において、充てんポンプ2Bの点検後の試運転を終え、運転機の切換操作をしていたところ、当該ポンプ出口に設置している通常の状態では動作しない逃がし弁が動作していることが確認されたため、当該ポンプを停止しました。
その後、再度当該弁を加圧して、正常に閉止していることを確認した後、充てんポンプ2Bを運転状態として監視していましたが、当該弁が確実に閉止していることを確認し、8月21日8時50分、通常状態に復旧しました。
○原因
調査の結果、設備に異常はなく、充てんポンプの運転機の切換操作において、充てんポンプの速度調整と充てん流量調整弁の開度調整の操作タイミングがわずかにずれたため、充てんラインの圧力が高くなり、当該弁が動作したものと推定しました。
○対策
- 充てんポンプ切換等の運転操作時に、従来は充てん流量と封水注入流量を監視して調整していましたが、今後は、充てんライン圧力も監視しながら操作できるよう、充てんラインに圧力計を設置します。
- 充てんポンプ切換等の運転操作のシミュレータ訓練において、今後は、充てんポンプの速度調整と充てん流量調整弁の調整レートに重点をおいた訓練を実施します。
(印刷用) 伊方発電所2号機 充てんポンプまわり概略系統図 (PDF-29KB)