当社は、伊方発電所2号機について、「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則」に基づき高経年化技術評価の実施および同評価結果に基づく追加保全項目の抽出を行い、本日、原子力安全・保安院に保安規定の変更認可を申請しました。
また、同法令に基づいて定期安全レビューを実施し、その結果を取りまとめました。
高経年化技術評価については、運転開始から30年を迎えるまでに、60年間の運転期間を仮定して原子炉施設の経年劣化に対する評価を実施し、新たに必要となる追加保全項目を抽出するものであり、抽出した追加保全項目は保安規定に記載することが定められています。
このため、伊方発電所2号機について同評価を実施した結果、これまで高経年化技術評価が実施されたプラントと同様に、機器の基礎ボルトについて追加保全項目が抽出されましたが、その他の機器・構造物については、新たに必要となる追加保全項目は抽出されませんでした。
今後、高経年化技術評価の内容および追加保全項目について、国の審査が行われます。
定期安全レビューについては、10年を超えない期間ごとに原子炉施設の安全性・信頼性を総合的に評価するものであり、このたび、伊方発電所2号機について、2回目の定期安全レビューを実施しました。
今回の評価については、平成12年4月から平成22年3月までの10年間について実施したものであり、伊方発電所2号機では、保安活動が継続的に改善され、安全性・信頼性の維持・向上が図られていることを確認しました。
当社は、今後とも原子力発電所の安全性・信頼性の向上に努めるとともに、皆さまの一層の理解と信頼を得られるよう、継続して努力してまいります。
以上
(添付資料)
(報告書)
伊方発電所2号炉 高経年化技術評価書 (PDF-519KB)
伊方発電所2号機 高経年化技術評価の概要
1.高経年化技術評価の位置づけ
高経年化技術評価とは、運転開始から30年を迎えるまでに、経年劣化に関する評価を行い、その結果に基づき、新たに必要となる追加保全項目を抽出するもので、抽出した追加保全項目は保安規定に記載します。
2.評価結果
今回の高経年化技術評価においては、長期間の使用(60年間の運転期間)を仮定し、原子力発電所を構成する安全上重要な機器・構造物(ポンプ、容器、配管、弁等の機器・構造物)について、現在発生しているかまたは今後発生する可能性のある経年劣化事象を抽出して健全性の評価を行いました。
その結果、これまで高経年化技術評価が実施されたプラントと同様に、基礎ボルト*については、サンプリングによる腐食の調査等が追加保全項目として抽出されましたが、その他の機器・構造物については、新たに必要となる追加保全項目は抽出されませんでした。
*:ポンプ、熱交換器等の機器を基礎コンクリートに固定するための埋込みボルト
以上
<参考:高経年化技術評価の対象設備>
No. |
分類 |
対象機器・構造物 |
1 |
ポンプ |
1次冷却材ポンプ、余熱除去ポンプ 他 |
2 |
熱交換器 |
蒸気発生器、再生熱交換器 他 |
3 |
ポンプモータ |
余熱除去ポンプモータ 他 |
4 |
容器 |
原子炉容器、原子炉格納容器 他 |
5 |
配管 |
1次冷却材管、余熱除去系統配管 他 |
6 |
弁 |
加圧器安全弁、主蒸気安全弁 他 |
7 |
炉内構造物 |
炉内構造物 |
8 |
ケーブル |
低圧電力ケーブル 他 |
9 |
電気設備 |
メタルクラッドスイッチギア 他 |
10 |
タービン設備 |
高圧・低圧タービン 他 |
11 |
コンクリート及び鉄骨構造物 |
格納容器内部コンクリート 他 |
12 |
計測制御設備 |
1次冷却材圧力計 他 |
13 |
空調設備 |
アニュラス排気ファン 他 |
14 |
機械設備 |
燃料取替クレーン 他 |
15 |
電源設備 |
非常用ディーゼル発電機 他 |
16 |
その他設備 |
除貝装置 他 |
伊方発電所2号機 定期安全レビューの概要
1.定期安全レビューの位置づけ
原子力発電所の定期安全レビューとは、10年を超えない期間ごとに次の項目について評価するものです。
(1) 保安活動の実施状況の評価
(2) 保安活動への最新の技術的知見の反映状況の評価
(3) 確率論的安全評価
2.評価結果
今回の定期安全レビューにおいては、前回の定期安全レビュー以降の10年間(平成12年4月~平成22年3月)までを対象として、評価を行いました。
その結果、各保安活動が継続的に改善され、安全性・信頼性の向上が図られていることを確認しました。
<定期安全レビューの結果>
項目 |
評価結果 |
||
(1) |
保安活動の実施状況 |
運転・保守管理、燃料管理、放射線管理等の各保安活動が継続的に改善され、安全性・信頼性の向上が図られていることを確認した。 |
|
(2) |
保安活動への |
国内外における原子力発電所の運転経験や原子力安全に係る最新の技術的知見を反映した諸対策が適切に実施され、安全性・信頼性の向上が図られていることを確認した。 |
|
(3) |
確率論的 |
評価結果 |
・炉心損傷頻度 =3.7×10-7/炉年 |
国際的 |
・IAEA国際原子力安全諮問委員会(1999)が示す目標 =10-4/炉年以下 |
以上