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遊びを通して知る香川の魅力
ふるさとへの誇りを育む美術館

讃岐おもちゃ美術館

今年4月25日、全国に広がるおもちゃ美術館の
9館目として誕生した「讃岐おもちゃ美術館」。
子どもから大人まで
誰もが楽しめる空間を運営するのが、
認定NPO法人 わははネット(以下:わははネット)だ。
1998年(平成10)の設立以来、
子育て支援一筋に取り組んできた地域のお母さんによる
香川県の子どもたちの未来につながる大きな挑戦が始まった。

今年4月25日、全国に広がるおもちゃ美術館の9館目として誕生した「讃岐おもちゃ美術館」。子どもから大人まで誰もが楽しめる空間を運営するのが、認定NPO法人 わははネット(以下:わははネット)だ。1998年(平成10)の設立以来、子育て支援一筋に取り組んできた地域のお母さんによる香川県の子どもたちの未来につながる大きな挑戦が始まった。

わははネットの活動を紹介した2020年1月号では、2019年に開催した木のおもちゃで遊ぶ移動型おもちゃ美術館「木育キャラバン」についても紹介

URL https://www.yonden.co.jp/cnt_landl/2001/jumping_furusato.html

自己肯定感を高めたい! という思いがきっかけに

2017年(平成29)末、わははネット理事長の中橋恵美子さんのもとに、高松丸亀町商店街振興組合から、わははネットが運営する子育て広場の移転が持ち掛けられた。ちょうどその頃、香川県の子どもたちの自己肯定感が全国最下位だったことを知り、自己肯定感を高めたいと考えていた中橋さんらわははネットのメンバー。「できれば木々をふんだんに使った『東京おもちゃ美術館』をコンパクトにしたような子育て広場にしたい」と組合側に伝えたところ、「おもちゃ美術館そのものをつくっては」と同組合が建設を予定している駐車場1階スペースを勧められたという。「20年以上子育て支援に取り組んできたとはいえ、こんな大きなことが本当にできるのか不安だった」と話す中橋さんだが、「香川県には誇れるものがたくさんあると知ることが、地域に誇りを持ち、自己肯定感を高めることにつながるはず」と考え決断した。

「内装やおもちゃにヒノキやスギなど香川県産の木々をふんだんに使用するだけでなく、香川県内各地にあるさまざまな伝統工芸も取り入れたい」。そう考えた中橋さんたちは伝統工芸士を訪問。「伝統工芸の技術を用いて、子どもたちのためにおもちゃを制作してもらえないか」と依頼した。

とはいえ、わははネットは地域のお母さんたちでつくる非営利団体。多額の借入をしての大きな挑戦を前に何度も不安になる中、それでも子どもたちのためにと走り続けた。「おもちゃ美術館」設立に向けたわははネットの奮闘ぶりに、多くの人たちが心を動かされる。自分たちにも何かできないかと80以上もの企業・団体からサポーターとして支援が集まった。また、個人向けのクラウドファンディングでは、「一口館長」として約900名が名乗りを挙げた。

「予算が少ない中で、作って欲しいという熱意だけでお願いしたにも関わらず、10倍、100倍もの価値の玩具が集まった。みなさんの思いを伝えるのが私の役目」と中橋さん。たくさんの大人が子どもたちの成長を見守っている
安全に遊べるよう土壁で囲まれた「赤ちゃん木育ひろば」には、ハイハイしても痛くないように、香川県産の杉板が使われており、やわらかい床になっている
木のおもちゃに魅せられ、思わず手にすると、大人も童心に帰り夢中になる
香川県漆芸研究所の協力で、香川漆芸の技法を全て盛り込んだ漆の滑り台を制作

多くの人の希望を乗せ未来へ向けて、いざ開館

構想から約4年。コロナ禍でオープン延期を余儀なくされたものの、ついにグランドオープンの日を迎えた「讃岐おもちゃ美術館」。エントランスを飾るのは、鮮やかな讃岐提灯。その先で、大きな赤灯台が出迎えてくれる。館内の床に敷き詰められているのは香川県産のヒノキブロック。天然の木材をブロック状にしているため、少しずつ形が異なる。「施工時には大工さんたちの悲鳴が聞こえました」と中橋さんは笑うが、赤ちゃんの足にとげひとつ刺さらないように、と丁寧に磨き上げてくれたという。木々をふんだんに使った空間は、ことでんのレトロ車両を模した部屋など、いくつもの空間に分かれている。ごっこ遊びを楽しむスペースには、伝統工芸の讃岐かがり手まりを使った讃岐盆栽の立体パズルや、茹で釜やレジスターはもちろん、麺や天ぷらまでリアルに再現したうどん屋さんがある。香川県らしいモチーフのおもちゃの多くは、伝統工芸の技術を活かして作られたオリジナルだ。遊びの案内を行うのは、赤いエプロンを着けたボランティアスタッフ「おもちゃ学芸員」87名。20代から70代までのスタッフが、2019年(令和元)から始まった養成講座でおもちゃの紹介方法などを学び、オープンに備えてきた。

「子どもたちにふるさとの誇りを」という思いと、多くの人たちによるサポートで生まれた施設。中橋さんは「まだ始まったばかり」と気を引き締めつつも、子どもから大人まで満面の笑顔が広がる館内にホッとしたような笑顔を見せる。「子どもたちが、香川に生まれてよかったと思えるような施設を目指したい」。そんな大人たちの思いが詰まった「讃岐おもちゃ美術館」という船が、多くの希望を乗せて、遥かな未来へと漕ぎ出していく。

うどん屋のカウンター上にかかるのれんは、伝統工芸の「讃岐のり染」で制作。「子どもたちのごっこ遊びの道具こそ本物を」と短期間で仕上げてくれたという
香川が誇る松盆栽を模した大型おもちゃ。盆栽のプロにアドバイスを受け加工・制作した幹や枝に、松葉に見立てた伝統工芸の讃岐かがり手まりを磁石でくっつける
ゆらゆらと揺れる庵治石のゆりかご。左右のバランスを保ちながら滑らかに仕上げた職人の技が光る
子どもたちを育む立場の「おもちゃ学芸員」。終了後のミーティングや清掃も真剣に
併設のショップ・カフェは、讃岐の伝統工芸やものづくりに光を当てる雑誌「IKUNAS」を発行する株式会社tao.が運営
併設のショップ・カフェは、讃岐の伝統工芸やものづくりに光を当てる雑誌「IKUNAS」を発行する株式会社tao.が運営

お問い合わせ

讃岐おもちゃ美術館
住所 香川県高松市大工町8-1 丸亀町くるりん駐車場1F
電話番号 087-884-7171
開館時間 午前:10:00〜12:30、午後:13:30〜16:00
※感染予防対策のため、午前・午後入れ替え制
休館日 木曜日(祝日開館、翌日振替休館)
※2・9月にメンテナンス休館、年末年始休館あり
入館料 大人(中学生以上):900円、生後6カ月~小学生:700円
URL https://npo-wahaha.net/stm/info/
撮影のためにマスクを外している場合があります