~海水濃縮工程へのヒートポンプ導入により大幅な省エネを実現~
室戸海洋深層水株式会社さまは、1998年に設立され、室戸沖の水深370mから採取した、陸水に汚染されていない清浄度が高い室戸海洋深層水を100%原料とする、塩・にがりの製造販売を行っています。自社で特許をとった独自の製塩技術によって製造された食塩は、一般的な食塩と比較してミネラルや無機栄養分を豊富に含むのが特徴です。
塩プロセスは、(1) 海水の濃縮、(2) 蒸発による結晶化、(3) 遠心分離機による塩とにがりの分離、(4) 温風乾燥の4段階からなっており、(1) 海水の濃縮においては、ボイラの蒸気により多量の水分を蒸発させるために、事業所全体の60%のエネルギーを消費していました。この濃縮工程にかかる燃料費削減と環境対策の観点から、さまざまな検討を行った結果、最も効果の大きいヒートポンプ式減圧濃縮装置が採用されました。
また、投資回収年数の短縮を図るため、中小企業庁の「中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業」を活用されております。
CO2排出量 算出条件 ◎電力…0.688kg-CO2/kWh(※1) ◎A重油…2.71kg-CO2/L(※2)
一次エネルギー使用量 算出条件 ◎電力…9.97MJ/kWh(昼間) 9.28MJ/kWh(夜間)(※3) ◎A重油…39.1MJ/L(※3)
※1:四国電力(株) 平成26年度CO2排出係数(調整後)
※2:地球温暖化対策の推進に関する法律
※3:エネルギーの使用の合理化に関する法律
新工場への移転を計画する中、重油を大幅に削減する策は無いかと検討していたところ、四国電力(株)高知支店からの提案で、ヒートポンプ式減圧濃縮装置を知りました。技術検討については、数回に渡るサンプル試験を実施しましたが、高知工科大学や装置メーカーおよび四国電力と協業することで、難度の高い補助事業を活用して設備導入に繋がりました。実際に導入した後の省エネ効果につきましては、四国電力から提案された省エネ試算結果と概ね同等の効果が出ております。
今回の設備導入によって、化石燃料の価格変動に左右されない増産体制に向けて一歩踏み出せました。最終的には自然エネルギーの活用も視野に入れた化石燃料に頼らない製塩工場を目指すなど、付加価値の高い製品で差別化を図っていきます。