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ジャンピングふるさと 愛媛県内子町 ミカタスイッチ株式会社

地域の魅力に気付く鍵は
「よそもの目線」にあり

ミカタスイッチ株式会社

山間部である愛媛県内子町小田地区は町内でも過疎化の進む地区。
4年前、「地域おこし協力隊」として同地区に着任した納堂邦弘(のうどうくにひろ)さんは、
山里ならではの農作物を使った新商品の開発などに取り組むことに。
任期を終えた昨年には、町内で地域を支えるための会社を設立。
引き続き地域の課題を解決する納堂さんの活動を紹介する。

地域の農作物を活かした小田100%の新商品

納堂邦弘さんは、東京でコンサルティングの仕事に就いていたとき、東北の農村支援を行うようになった。そこで過疎化、高齢化という地方の課題に直面。その課題に取り組みたいと考え、内子町の地域おこし協力隊に応募した。当時、地域おこし協力隊公募事業を担当する内子町総務課政策調整班に所属していた寳泉武徳(ほうせんたけのり)さんは「小田地区の協力隊に求めていたのは、道の駅を中心に交流人口を増やすこと。納堂さんには課題解決のためのビジョンと分析力があり、この人なら任せられると思いました」と振り返る。

平成26年10月に内子町へと移住し、道の駅「小田の郷(さと)せせらぎ」(以下:せせらぎ)のマネージャーとなった納堂さん。すぐに、せせらぎ内にある産直コーナーの野菜の中に、地元特産の人参芋やアピオスなど、山里らしい農作物の数々を見つける。素材のままの状態で販売されているのを見て、せっかくの商品価値を活かしきれていないと感じた。付加価値をつけるために何かできないかと考えていたとき、せせらぎに隣接する使われていなかった加工所に眠るアイスクリームメーカーなどを見つけ、農作物を使ったスイーツ作りを思いつく。納堂さんから具体的なスイーツ作りについて相談を受けた生産者のひとり宮岡和夫さんは「自分たちの作る農作物は普通のものだと思っていた。それを加工して売り出すという発想に驚いた」と話す。宮岡さんも商品開発に関わり、試行錯誤を重ねて生まれたのが「オダメイド」。主原料には、100%小田産のものを使い、手作りすることにこだわった。

山里らしい農作物を使ったアイスやクッキーは話題性もあり、新聞や雑誌で取り上げられるようになった。しかし、あくまでも目的は「大勢の人に小田地区に来てもらうこと」。せせらぎでの限定販売にしたことで、メディア効果と口コミによって広がり、昨年度のせせらぎの利用者は年間約8万5千人と過去最高となった。

オダメイドの立ち上げから関わるミカタスイッチスタッフの上野あざみさん。「まさか商品開発ができるなんて思ってもいなかった」と笑う
オダメイドの立ち上げから関わるミカタスイッチスタッフの上野あざみさん。「まさか商品開発ができるなんて思ってもいなかった」と笑う
宮岡さんも商品開発に関わり、試行錯誤を重ねて生まれたのが「オダメイド」

ここにしかない価値を地元の人たちと見つける

地域おこし協力隊の任期は3年。「地域おこしは外からきた人だけで一回限りの成果を出して終わりではなく、じっくりと時間をかけて地域の人とともに行うもの」と納堂さん。小田地区には、まだまだ発掘できる魅力があると感じたこと、3年間で地域の人たちとの信頼関係もできたことから、任期終了後もこの地に留まることを決めたという。オダメイドの製造販売や、せせらぎの横にある、たらいうどんの店(かじか亭)の経営を引き継ぎ、平成29年10月に町内で起業した。社名の「ミカタスイッチ」は、「見方を変える」という意味を込めた造語。「よそもの目線」で地域をサポートするという思いを社名にした。

昨年には、地元で300年続く老舗酒蔵「千代の亀酒造」とコラボしたオダメイドの新商品「純米吟醸アイス」を開発。岡田将太朗社長は「日本酒の味には自信があった。それを活かした商品をつくりたいと思っていましたが、日本酒にレーズンを漬け込むという発想はありませんでした。僕ら若者も負けてられないと思いましたよ(笑)」と話す。

「地域の人たちが、自分たちの地域の良さに気付き、ここにしかないという誇りを持つことが大切。私はそれを『よそもの目線』で伝え続けるだけです」と納堂さんはほほ笑む。

これまでと違う見方をするには新しい目線が必要だ。違った立ち位置から見ることで、地域は元気を取り戻していく。

次は小田地区へ足を運んでもらうための機会と捉え、県内のイベントに出展(写真は「いよてつ髙島屋」での催事)
次は小田地区へ足を運んでもらうための機会と捉え、県内のイベントに出展(写真は「いよてつ髙島屋」での催事)
地元小学校では毎年、総合学習の時間を使って新しいオダメイド商品を企画。「今までにないものを思いつく子どもたちの発想が面白い」と納堂さん
地元小学校では毎年、総合学習の時間を使って新しいオダメイド商品を企画。「今までにないものを思いつく子どもたちの発想が面白い」と納堂さん

お問い合わせ

道の駅「小田の郷せせらぎ」
住所 愛媛県喜多郡内子町寺村251-1
電話番号 0892-52-3023
メール seseragi@odamachi.com
URL http://www.odamachi.com/
営業時間 8:00~18:00( 4月~9月)/8:00~17:30(10月~3月)
休み 12/31~1/3