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地域のために動く!高校生たちの自主活動 地域のために動く!高校生たちの自主活動

地域のために動く!高校生たちの自主活動

高知県立嶺北(れいほく)高等学校:RYN(レイホク ユース ネイバーズ)

 緑豊かな嶺北地域の高校、高知県立嶺北高等学校では、約70人の生徒が授業や部活動の合間をぬって、さまざまな自主活動に取り組んでいる。嶺北高校には商品企画・開発、地域の魅力発見などの目的を持つ、4つの活動組織があり、生徒たちは、いずれかの活動に参加している。その中の一つが、地元の特産品を活かした商品を企画・開発する「RYN(レイホク ユース ネイバーズ)」だ。

嶺北地域(れいほくちいき)
「四国のおへそ」と呼ばれる嶺北地域は、高知県本山町、大豊町、土佐町、大川村の4町村で構成され、周囲を山々に囲まれた自然豊かな地域である

町の特産品を使って新しい商品を生み出す

 平成24年に「高校生が地域のために何かできないだろうか」という思いから自主活動に取り組む組織「RYN(レイホク ユース ネイバーズ)」が発足した。地元の特産品でさまざまな商品をつくり、販路の開拓に参画する組織。生徒たちは、課外時間を利用して自主的に参加している。

 当初は、地元の農業法人と協力し、嶺北地域の特産品である米粉を使ったチヂミ粉や地元の野菜を使った商品を開発。焼きドーナツやモンブランを秋祭りや文化祭で販売した。その取り組みが評価され、地域産業に貢献した高校生の活動に贈られる「高知県地場産業大賞・高知県次世代賞」も受賞した。また、毎年、高知県内のパン店やスーパーマーケット、飲食系企業とも特産品を使ったメニューを共同で発案。昨年は、特産品を使った「コロッケ風春巻きのレタス包み」が、県内の料理コンテストで最優秀賞を受賞した。また、生徒たちが企画・運営し、調理から配膳まで行うイベント「高校生レストラン」の開催や保育園での食育講座など、幅広い活動を行ってきた。

JA土佐れいほく、高知ファイティングドックスと共同開発した、イノシシ肉などを使った肉みそ「おいしし」。「平成29年度第32回高知県地場産業大賞・高知県次世代賞」を受賞した
JA土佐れいほく、高知ファイティングドックスと共同開発した、イノシシ肉などを使った肉みそ「おいしし」。「平成29年度第32回高知県地場産業大賞・高知県次世代賞」を受賞した
今年6月の高知ファイティングドッグスの試合では、さらに改良した肉みそ「おいしし」入りのおにぎりを販売
今年6月の高知ファイティングドッグスの試合では、さらに改良した肉みそ「おいしし」入りのおにぎりを販売

商品化を考えるなかで地域の良さに気付く

 今年2月には、毎年参加している「汗見川(あせみがわ)ふれあいの郷清流館」で汗見川活性化推進委員会が行うランチイベント「汗見川ランチバイキング」に参加。開催までに、特産品のそば粉を使ったクレープ生地と地元で採れた大根やゆずなどのジャムを試作。地域の方を招いて試食会を重ねてきた。また、お土産として米粉にしそを混ぜて焼いた「ゆかりんとう」も開発した。「1年のときから参加しています。レシピ開発に関わることが楽しい」と話すのはRYNの中村将太さん。

 当日は、地元の親子連れや年配の方々などが続々来場し、会場が満席になるほどの大盛況。オレンジ色のエプロンと法被(はっぴ)に身を包んだ生徒たちが、そば粉のクレープと5種類のジャムを振る舞った。委員会のメンバーであり、嶺北地域に惹かれて移住したという野尻萌生(のじりめぐみ)さんは「生徒にとっても高校時代に地域の方と接するのは良い経験になるはず。いずれ進学などで離れたときに、きっとこの町の良さに気付くでしょうね」とほほ笑んだ。

ゆかりんとうは汗見川ランチバイキングで地元の方にも試食していただいた
ゆかりんとうは汗見川ランチバイキングで地元の方にも試食していただいた
右/そば粉を使ったクレープ生地に添えるジャムは食材の良さを引き出すために、何度も試作を繰り返した左/そば粉を使ったクレープ生地は、そば粉の割合まで細かく決め、みんなで協力しながら一枚ずつ焼いていく
右/そば粉を使ったクレープ生地に添えるジャムは食材の良さを引き出すために、何度も試作を繰り返した
左/そば粉を使ったクレープ生地は、そば粉の割合まで細かく決め、みんなで協力しながら一枚ずつ焼いていく
今年6月の高知ファイティングドッグスの試合では、さらに改良した肉みそ「おいしし」入りのおにぎりを販売
汗見川ランチバイキングで汗見川ふれあいの郷清流館に集まった人たち。静かな地域に活気が溢れた

高校時代に育まれる魅力ある町への愛着

 昨年から「万次郎カボチャ」を使った新たな商品をつくりたいと、地元農家の指導で栽培から取り組んでいるRYN。今年で2年目となる取り組みで、この秋には収穫したカボチャを使って、生徒がレシピを考案した「ハリネズミのRくん(パウンドケーキ)」や「嶺北の雪景色(カボチャプリン)」を商品化する予定だ。

 今年5月には、農家の方々とともに商品に使用する万次郎カボチャの苗225株を植えた。「授業や部活動もあって生徒たちはとっても忙しいんです。それでもまじめに頑張っている姿を見ると、私たち大人も頑張らんと!と思うよね~(笑)」と担当教員の萩原陽子(はぎわらようこ)先生は言う。

 高校時代に得た体験が、地域に目を向けるきっかけになる。実際、自主活動を通じてこの町の魅力に気付き、卒業後も地元に残ったり、県内の大学で農業や環境について学んだりと、地域のために自分ができることを考える卒業生が増えているそうだ。この地を誇りに思う生徒たちの取り組みは、今後も引き継がれていくだろう。

地元の農家の方々から指導を受けて万次郎カボチャの苗を植え付け
地元の農家の方々から指導を受けて万次郎カボチャの苗を植え付け
地元の魅力に気付いてほしいという思いで生徒たちの活動をサポートする萩原陽子先生
地元の魅力に気付いてほしいという思いで生徒たちの活動をサポートする萩原陽子先生
高知県で品種改良された万次郎カボチャの苗。1つの苗から100個以上のカボチャが収穫できることも
高知県で品種改良された万次郎カボチャの苗。1つの苗から100個以上のカボチャが収穫できることも
万次郎カボチャの植え付けは、地元の農家の方と嶺北高校の生徒(農業コースの有志)が力を合わせ、幅広い世代での作業となった
万次郎カボチャの植え付けは、地元の農家の方と嶺北高校の生徒(農業コースの有志)が力を合わせ、幅広い世代での作業となった

お問い合わせ

高知県立嶺北高等学校
住所 高知県長岡郡本山町本山727
電話 0887-76-2074
メール reihoku-h@kochinet.ed.jp
URL http://www.kochinet.ed.jp/reihoku-h/mt/