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eしこく探訪

四国各地には、さまざまな魅力を持った「e」場所があります。
そこは、電気(electricity)を
うまく活用している場所でもあります。
その気になるポイントを訪ねる「eしこく探訪」。
隠れた魅力のヒミツにも迫ります。 

あかがねミュージアム
あかがねミュージアム
約40年前から美術館建設を求める市民の声があがっていた新居浜市。消えることなく燃え続けた市民の情熱が、「あかがねミュージアム」建設の原動力となった

交流が始まり、文化が生まれる

あかがねミュージアム

新居浜駅前に建つ
新しいランドマーク

 別子銅山で栄えた新居浜市。元禄3年(1690)に始まった銅採掘は、昭和48年(1973)まで続き、近代日本を切り拓く礎となりました。その新居浜市の玄関、JR新居浜駅前に平成27年(2015)7月に開館した総合文化施設が「あかがねミュージアム」です。銅板で覆われた3つのドームが目を引く威風堂々の姿。あかがねとは「赤金」の意で、銅を表しています。
 地上2階、地下1階の3階建て。館内には、美術館、太鼓台ミュージアム、にいはまギャラリー、 シアター、多目的ホールのほか、音楽スタジオや創作スペース、カフェ、コミュニティFMのスタジオがあります。美術、音楽、演劇など幅広い創作活動を支える設備が整っており、文化の発信拠点になることを期待されています。

「太鼓台ミュージアム」には、「新居浜太鼓祭り」で使用される実物の太鼓台が展示されている
シアターでは周囲360度がスクリーンとなっており、迫力のある新居浜太鼓祭りを疑似体験できる
自動で座席を格納できる「多目的ホール」は、演劇、映画、イベントなど幅広い活動に利用できる
憩いの場「Cuカフェ」の店名は、銅の元素記号から地元高校生が命名

井戸水を利用して
ベースの室温を調整

 あかがねミュージアムは、自然との共生を目指し、省エネルギーへの高い意識を持って設計されました。省エネ性能を評価してオール電化を採用すると共に、室温調整には地下30mからくみ上げる井戸水を利用した高効率ヒートポンプによる放射冷暖房システムを導入しています。井戸水は年間を通じて約15℃と温度が一定のため、夏はそのまま冷房として活用し、冬は井戸水の熱を利用して空気を温めることで、ベースとなる室温を保っています。最終的な温度は、空調でコントロールしていますが、このシステムが省エネに大きく貢献しています。また、湿度も一定に保つことができるため、「美術品の保管という面でも非常に助かっている」と、学芸員の菅さんは喜んでいます。
 なお、このシステムに利用した井戸水は施設内の雑水に使用した後、木々に散水して自然へ戻すことで環境に配慮しています。
 館内唯一の飲食店、Cuカフェでは、IHを使って調理を行っています。炎が上がらず、温度調節もしやすいので、経験の浅いスタッフにもわかりやすく数字で指示できます。初めはIHに半信半疑だった店長も「火力の強さと合わせて効率がいい」と、今や手放せない様子です。

井戸水を利用する高効率ヒートポンプによる放射冷暖房システムで「自然との共存を図っている」と阿部館長
館内の湿度の調整にも井戸水が利用されている

文化への思いを託した
大胆なコンセプト

 あかがねミュージアムで驚かされるのは、人の往来が多いことです。何もせず通り抜けていく人、待ち合わせ場所にする人、館内でお弁当を食べている人もいます。いろいろな人が自由に集まっている印象のあかがねミュージアムですが、これは意図的なもので、構想段階から考えられていました。施設の外には東西南北から建物に向かって伸びる4つのスロープがX字に設けられ、館内を通り抜ければ迂回せずに移動できるよう設計されています。そしてXの中心、館内のセンターにあるのが円形の屋内ステージ。おのずと人がステージ周辺を行き交うことになる仕掛けで、ステージ内は飲食自由としました。昼食を取るもよし、座って語り合うもよし、夕方にはギターを弾く若者も見られます。美術や音楽に興味がない人も気兼ねなく集えるから、思わぬ出会いがあり、交流が始まります。阿部館長いわく「ここは生きているミュージアム」。人と人の交流から新しい文化が生まれ、その文化が新居浜市の誇りとして育っていく場所です。

施設のちょうど真ん中に、階をまたいで設置されている円形ステージ。どこから入館しても、ステージの周辺を通って移動するように設計されている

「美術館」には、2つの展示室のほか、市民の作品を発表する場となる市民ギャラリーがある

お問い合わせ

● あかがねミュージアム

住所

愛媛県新居浜市坂井町2丁目8-1

電話番号 0897-31-0305
URL http://www.akaganemuseum.jp/