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ひとことジャーナル

省スペースで手軽にできる
はじめてのキッチンガーデン

春の日差しに木の芽が吹く頃、何か新しいことを始めたくなりませんか? そこでおすすめしたいのが、野菜やハーブ、果樹など食用になる植物を育てつつ、見た目も楽しむガーデニングの一種、キッチンガーデンです。

その名の通りキッチンの片隅はもちろん、ベランダや庭の一角でも楽しむことができます。欲しい分だけ収穫できる便利さと、新鮮なものを味わう喜びを得られるのが魅力です。

ライフスタイルに合ったキッチンガーデンをつくろう
まず最初に何を揃える?

キッチンガーデンを始めたいと思ったら、どんなものを揃えればよいのでしょう? 最低限必要なものは、育てたい作物の苗か種、育てるための容器、土植えであれば培養土です。道具としては、スコップ、水やり用のジョウロもしくは水差し、お手入れ用のハサミ、さらに園芸シートがあると便利です。こうしてみると、意外と少ないですよね。これらの物は、100円ショップでも販売されていますので、ハードルもさらに低く感じられるのではないでしょうか。

もちろん、自分の手に合う道具を揃えてから始める、というのもありです。特にお手入れ用のハサミについては、実際に手に取り握ってみて、重さやサイズを確認してみることをおすすめします。また園芸用の手袋やガーデニングブーツ、エプロンや日よけの帽子なども必要になってくるかもしれませんが、最初のうちは家にあるもので代用し、不足を感じたらその都度揃えていくようにすると初期投資が少なくて済みます。

どこで育てるかで楽しみ方いろいろ
どこで始める?何を育てる?

キッチンガーデンは少しのスペースで始めることができますが、場所によって育てられる作物については、ある程度制約が出てきます。

場所を選ぶ際には、多くの作物は日光を好むということと、ほどよい風通しも必要であるということも考えましょう。また作物については、初めのうちは、あまり時間がかからずに収穫を実感できる物をおすすめします。

それでは、場所ごとの楽しみ方について、参考例をご紹介しましょう。

キッチンで楽しむ

キッチンは料理をする場所なので、できるだけ土を持ち込みたくないものです。そこでおすすめなのは、土を使わずに栽培する方法。例えば、ガラス瓶を利用した、豆モヤシなど発芽野菜の栽培、ハーブや細ネギなどの水耕栽培です。毎日の料理に少量あると便利なものをキッチンで育てれば、必要なときにサッと摘んで使うことができ便利です。

また、豆苗やカイワレダイコンの根元から3分の1を残して水耕栽培すれば、もう1~2回収穫できる…というのは節約技として有名。これも立派なキッチンガーデンです。

ベランダで楽しむ

使えるスペースの大小はあるかと思いますが、キッチンに比べると育てられる作物も大幅に増えます。プランターを使って、小松菜やチンゲン菜といった葉物野菜を育てたり、5月頃からは、一緒に植えると相性が良いトマトとバジルを育てれば、夏の間楽しめます。手ごろな鉢がない場合、培養土や肥料の袋に水抜き穴を開け、鉢の代わりに利用することができます。袋を立てて使えば、ジャガイモ栽培にも挑戦できますよ。収穫後の袋はゴミとして処分できるので、大鉢のように場所を取ることもありません。限られたスペースで育てるなら、食卓で出番の多いものを選ぶようにしましょう。

庭で楽しむ

庭では葉もの、実もの、根菜、ハーブ、果樹など、さらに多種多様な作物を育てることができます。プランター栽培ではミニサイズが限界の大根も、しっかり耕せば標準サイズの栽培が可能になります。

プランター栽培では市販の培養土を使いますが、庭では事前の土作りが大切になります。キッチンガーデンの場所を決めたら、深さ30センチほど地面を掘り起こし、堆肥や腐葉土を加えて耕しておきます。庭の土が粘土質の場合は、川砂も加えて水はけを良くします。土作りの作業には、足で踏み込めるシャベル(剣先スコップ)があると便利です。

また、砕石が敷かれていて掘るのが大変な場合は、レンガなどで囲ってレイズドベッド(上げ床花壇)をつくり、そこに培養土を入れて栽培する方法もあります。

いずれにしても、家庭でのキッチンガーデンは、多種類の作物を少量ずつ栽培するのがおすすめです。

情報をうまく活用して不安や迷いを解消

自分で作った作物を収穫して味わうことができるキッチンガーデン、初めて挑戦する上でネックとなるのはどんなことでしょう。

育て方が分からない? 作物に虫がついたり病気になったらどうするの? そんな不安は、情報をうまく活用することで解消できます。

市販の種袋や苗ラベルには、育て方の要点や、栽培方法にアクセスできるQRコードが記載されていることもあるので、これも大切な情報源になります。インターネット上には、個々の野菜の育て方を紹介するホームページがたくさんありますし、「こんなときはどうしたら?」と育て方に悩んだときに相談できるサイトやアプリもあります。

また近年では、情報というソフト面だけでなく、家庭向けのハード面としてLEDを利用した室内菜園システムも販売されるようになりました。これはケース内で野菜などを水耕栽培するもので、土を使わず、太陽の代わりにLED光を使うので日当たりの心配もいりません。専用器材が必要になりますが、クリーンにキッチンガーデンが楽しめるとあって、注目を集めています。

春は、園芸店やホームセンターの店頭に、多種多様な菜園キットなどの商品がたくさん出回る時期です。ぜひこの機会に、見て・触れて・味わうことのできるキッチンガーデンを楽しんでみてください。

畠山 潤子 ガーデンライフアドバイザーグリーンアドバイザー

平成9年より本格的にガーデニングをはじめ、その奥深さや素晴らしさを、多くの人に知ってもらいたいとの思いから、WEB、雑誌、新聞などで記事執筆や監修を行う。また地元において、公共スペース用のハンギングバスケットや寄せ植えの制作、講習会講師などの活動も行っている。