香川県高松市に拠点を置く「一般社団法人 かがわガイド協会」は、アウトドアの達人による団体。
自然の中で楽しんでいるうちに、いつの間にか環境問題について考えていた―。
そんなきっかけを提供してくれるプロフェッショナルたちだ。
自然の中で遊びながら気付き学ぶ
「発見」へ導く「プロガイド」集団

一般社団法人 かがわガイド協会
香川県の自然を舞台に、企業研修や社員ボランティアイベント、交流人口を増やすためのツアー開発や社員遠足体験型環境学習などを行う「一般社団法人 かがわガイド協会(以下:ガイド協会)」。シーカヤックガイドとして活動する小前(こまえ)昭二さん、森や山での体験をナビゲートする松野陽平さん、会社経営の傍ら海ごみ拾いツアーなどを実施する森田桂治(けいじ)さんを中心として平成29年に設立された。
「自然に親しむ機会が減っている今の子どもたちに、環境問題について考えなさい、というのは酷。僕たちは自然の中で遊んできたから関心が持てますが、身近に感じていないものをいきなり守れと言われてもピンとこないですよね」と森田さん。行政などが自然観察会やアウトドア教室などを企画しても、ガイドをできる人材が少ないのが現状だという。「知識をただ伝達するのではなく、楽しい経験の中での“気付き”をサポートするようなガイドがもっと必要だ」と感じたのが、ガイド協会設立のきっかけとなった。
ガイド協会設立の前年にスタートしたのが、「里海プロガイド養成講座」だ。主催は、香川大学と香川県の共同プロジェクト「かがわ里海大学協議会」で、小前さんたちが講師となりガイドの基本を教える。受講者は、アウトドアの技術や安全管理から参加者を楽しませる方法まで実践的に学べる。受講者の一人、FM香川に勤める岡加依子(かよこ)さんは「地元の良さを伝えるアナウンサーとして、もっと地域の魅力を知っていきたい」と話す。
修了後は里海プロガイドとして活動できるようになる。企業や行政からの依頼も増え続けている今、仕事としてガイドをしたいという人も増え、これまでに12人の里海プロガイドが誕生した。




昨秋、三菱電機株式会社 四国支社が企画した、社員と家族向けのツアーでは、養成講座の修了生である谷光承(みつよし)さんと山田富士夫(ふじお)さんが、ガイドを務めた。研修の舞台は、海と山がすぐ近くにある坂出市王越(おうごし)町。午前中のプログラムでは、里山に入って竹を伐採し、その竹を加工して食器を作る。昼ごはんは、作った食器を使って、地元の方々が準備してくれた鯛めしやバーベキューを堪能。午後には、海ごみデータ調査をしながら海辺を散策した。初めて体験する大自然ならではのプログラムに子どもたちも終始笑顔。総務課長の野口昌彦さんは「参加者みんなが進んでやりたい!と積極的に楽しんでくれる研修になって、本当に良かった」と、その様子に目を細める。ガイド側がすべての準備を行うため、幹事も活動を一緒に楽しめるのも魅力だという。終了は午後3時前。子どもたちが疲れない時間で終わるのも満足感を高めるポイントだ。
「例えば竹が茂って日が当たらない山を見ることで竹林被害の現状が分かるなど、一つひとつ環境問題とも深い関係があるんですが、あえて難しい説明はしません。僕たちはあくまでも案内役。自分で課題に気付くことが、次の行動につながりますから」と森田さん。自然を愛し大切にする人たちがもっと増えてほしい。そう願いながら、ガイドたちは香川をフィールドとして自然の楽しさを伝え続けていく。




住所 |
香川県高松市川島東町293-5
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電話番号 | 087-840-3611 |
メール | kmorita@gofield.com |
URL | http://www.kagawa-guide.org |