暑い時期こそ腸活!
手軽な発酵食「甘酒」を取り入れましょう

本格的な夏の到来を感じる今日この頃。暑さが続くとつい冷たいものを飲み過ぎてしまい、胃腸が弱り気味…という方も多い
のではないでしょうか。そんなときこそ、腸内活動を改善する「腸活」のために、発酵食を積極的に取りましょう。
発酵食のなかでも腸活にぴったりなのが甘酒。今回は、酵素たっぷりの自家製甘酒のつくり方や、甘酒を使ったレシピをご紹介します。


甘酒は「日本書紀」に出てくる「天甜酒(あまのたむざけ)」という飲み物が、起源とされています。庶民に広く親しまれるようになったのは、江戸時代になってから。甘酒売りが街を歩く様子は、夏の風物詩でした。エアコンや冷蔵庫もなく、夏の死亡率が高い時代。暑さで体力や免疫力が下がるのを防ぐため、暑気払いとして飲まれた甘酒は、夏の季語として使われています。
甘酒は、酒粕に砂糖を入れてつくるものもありますが、今回は米麹からつくるものを紹介します。麹菌がデンプンやタンパク質を分解することから、米麹でつくる甘酒にはブドウ糖やアミノ酸が多く含まれています。さらにビタミンB群も豊富。葉酸やビオチン、イノシトールのほか、トリプトファン、リジン、メチオニン、フェニルアラニンなどの必須アミノ酸、食物繊維などもバランス良く含まれています。
私たちが生きていくのに必要不可欠なこれらの成分は、実は病院で打つ点滴に含まれている成分とほぼ同じと言われています。そのことから、甘酒は「飲む点滴」として注目されるようになりました。麹菌の酵素は、食物の栄養を分解して消化や吸収を助ける効果があります。また、ブドウ糖には吸収した栄養をエネルギーに変える役割があり、疲労回復にも効果的なのです。
手軽に炊飯器で作る甘酒


- [材料(600ml分)]
- ● 米麹
- 300g
- ● お湯
- 300cc
- [作り方]
- 米麹をほぐして、炊飯器に入れます。
- 60℃のお湯を注ぎ、混ぜる。ゴミが入らないように布巾をかけ、蓋が半開きになるように、鍋の蓋などを炊飯器の蓋の上に置き、4時間保温する。時々、スプーンなどで混ぜるとよいでしょう。
- 粗熱が取れたら保存容器に移し、冷蔵庫で保存して、2週間程度で飲み切りましょう。

うどんの
ジャージャー麺
うどんのジャージャー麺


- [材料(2人分)]
- ● うどん
- 2玉
- ● 胡麻油
- 適量
- 甘酒ジャージャーソース
- ● 甘酒
- 大さじ2
- ● 豆味噌
- 大さじ2
- ● 生姜すりおろし
- 小さじ1
- ● たまねぎ
- 1/2個
- ● にんにく
- 1片
- ● 胡麻油
- 大さじ1
- ● 凍り豆腐
- 100g
- ● 香菜
- 適宜
- 甘酒ジャージャーソース
- ● 甘酒
- 大さじ2
- ● 豆味噌
- 大さじ2
- ● 生姜すりおろし
- 小さじ1
- ● たまねぎ
- 1/2個
- ● にんにく
- 1片
- ● 胡麻油
- 大さじ1
- ● 凍り豆腐
- 100g
- ● 香菜
- 適宜
- [作り方]
- 凍り豆腐は戻して、みじん切りにしておく。たまねぎとにんにくもみじん切りにしておく。
- フライパンに胡麻油とにんにくを入れ弱火にかけ、香りを出す。たまねぎを加えて炒め、甘味が出てきたら、凍り豆腐を入れてさらに炒める。
- 甘酒と豆味噌、生姜を混ぜたものを2に加え、全体の水分がなくなるまで炒める。
- うどんはゆでて、水気をよく切り、胡麻油をからませて、皿に盛り付ける。上に3を乗せ、香菜を散らす。

麹を扱う蔵人は、シミがない、肌がキレイと言われています。米麹に含まれるコウジ酸という美白成分は、メラニンの生成を抑え、シミやそばかすを予防する作用があるため、夏の美肌ケアにも欠かせません。化粧品にもコウジ酸が使われることが多く、まさに女性にとっての強い味方です。「飲む美容液」と呼ばれるのも分かりますね。
米麹からつくる甘酒には食物繊維やオリゴ糖が豊富に含まれているため、腸内環境を改善してくれ、便秘予防にもなります。甘酒といっても、ノンアルコールなので、妊娠・授乳中の方やお子さんも安心して飲むことができます。
また、甘酒はイライラを抑えるGABA(ギャバ)という物質も含んでいるので、ストレスによる肌荒れが気になる時にもおすすめです。
さらに、甘酒にはフェルラ酸という抗酸化物質も含まれているため、細胞の新陳代謝を促して肌の老化も防いでくれます。飲むだけでアンチエイジングまでできてしまうスーパードリンクなのです。
そのまま飲んでよし、アレンジするもよしの甘酒は、日常生活にも取り入れやすい食品。夏を元気に乗り切るために、ぜひ試してみてくださいね。
甘酒トロピカルスムージー

- [材料(1人分)]
- ● 甘酒
- 50cc
- ● パイナップル
- 適量
- ● バナナ
- 1/2本
- ● 氷
- 数個
- [作り方]
- ミキサーに材料を全部入れて撹拌する。グラスに注ぐ。


タカコ ナカムラ
「50℃洗い」「ベジブロス」「塩麹」「スーパーフード」などの食のトレンドをつくり発信する料理家。一般社団法人ホールフード協会を設立。2019年には老化物質「AGE」を抑える調理法として、低温調理を提唱。安全な食と暮らしと農業、環境をまるごと考えるホールフードを提唱し、発酵食を使うレシピ開発には定評がある。
http://www.whole-food.jp