徳島県阿南市にある橘湾石炭火力発電所。ここで発電した電気の一部は、対岸の和歌山県まで海底ケーブルを通じて送られています。その四国側の出入口となるのが阿南変換所。逆に関西地方から電気を受けることもでき、四国の電気の安定供給のために、非常に重要な拠点となっています。
変換所という名が示す通り、ここでは電気の交流と直流を変換することができます。交流⇔直流の変換は、半導体素子の一種であるサイリスタ(下の写真)を利用。世界最大級のものを採用することで、大容量の電気を変換できるのです。
所内には、変電所にある設備のほか、変換所特有の設備も数多くあることから、丁寧かつ慎重に保守点検を行っています。定期巡視は、一通り実施すると5日かかりますが、これを月2回実施しています。
また、実際に電気を送るにあたっては、関西側の窓口である関西電力紀北変換所(和歌山県かつらぎ町)とのチームワークが欠かせません。このため、シミュレーターを使った合同訓練を定期的に実施するなど、普段から連携を密にしています。
このほか、施設見学会も積極的に受け入れています。「実際に稼働している現場の設備を見て、変換所の大切さや魅力、役割を少しでも多くの人に知っていただけると嬉しいですね」と川村所長。取材時に見学会に参加していた地元の高校生も、「設備管理の徹底ぶりに驚いた。変換の原理も詳しく教えてもらい、とてもいい経験になった」と声を揃えます。
来年で20周年を迎える阿南変換所。今後も四国の電気の安定供給に貢献していきます。