針金の先に重りが付いていて、人形を動かすとやじろべえと同じようにバランスをとりながら揺れ動く土製玩具「運動人形」。明治時代に流行した玩具で、明治から昭和にわたり土製玩具を製作してきた高松の角(かど)新太郎が生み出しました。本作は、大崎文仙堂として玩具を製作・販売した高松の大崎豊五郎が戦後に復活させたもの。左から「飴売り」「ラッパ吹き兵隊」「へらへら踊り」の三体で、どれも明治の高松で日常的にみられた風俗を表しています。
「飴売り」は、高松市の仏生山(ぶっしょうざん)方面からげんこつ飴を売りに来ていた商人の姿を模しており、笠をかぶり、右手に鳴子を持ち、胸と背中に飴を入れる籠のようなものを吊るしています。子どもたちに大人気の大道商人で「雨が降ってもカーリカリ、カーリカリのカーリカリ」と声をあげながら、売り歩いていたそうです。「へらへら踊り」は、当時流行した同名のお座敷踊りの恰好をしています。
土製玩具で動く仕掛けのものは全国的にも珍しく、新しい趣向を取り入れたこの玩具は、明治の子どもたちを楽しませたことでしょう。
現在、7月15日までの予定で、全国47都道府県の郷土玩具を展示・紹介しています。