「嫁の気持ち」で作る宅配弁当


JR徳島駅から南に国道483号を経由しておよそ30分、スダチやミカン、ブランドイチゴ“ももいちご”の産地として知られる佐那河内村(さなごうちそん)。県都に隣接しながら徳島県では唯一の村です。平成26年、村に宅配弁当店「YOME厨房」がオープンしました。「YOME」の由来は、家族の健康を気遣う「嫁の気持ち」でお弁当を作りたいとの思いから。スタッフの大半は地元のお嫁さん。手作りと栄養バランスにこだわった弁当作りに日々余念がありません。
オーナーの多田和弘さん、奈津佳さん夫妻は、徳島市内で共働きをしながら子育てをしていましたが、ご近所同士が助け合う地域コミュニティが大切に受け継がれているこの村で子育てをしたいと考え、佐那河内村に移り住んできました。そんな二人は、佐那河内村で暮らしていく中で、地元の旬な野菜中心の手作り弁当を家庭や職場に届けることができれば、きっと皆に喜んでもらえると宅配弁当の店を始めました。


「YOME厨房」の弁当は、地元の旬な有機野菜や徳島近海でとれた新鮮な地魚が中心です。また、調味料のドレッシング、タレや味噌(みそ)も手作り。市販のものより塩分が少ないため、真心たっぷりのやさしい風味が食欲をかき立てます。宅配弁当のターゲットは高齢のお客さまを想定していましたが、いざ始めてみると、料理を作る時間のとれない妊婦や子育て中の母親、外食が多い単身赴任者から多くの支持をいただきました。
また、食事中の会話が弾むようにと、メニューや食材の説明とともに、その日の写真や奈津佳さんの日記が弁当に貼付されていて好評を博しています。
評判が評判を呼び、用意する弁当の数が増えると、手狭な厨房と設備に限界を感じるようになりました。そうした折、中小企業庁の「ものづくり補助金」に採択されたことをきっかけに、平成30年9月、新たな拠点を開設し、電化厨房を採用しました。




まず、IHコンロの導入で、調理時間が格段に早くなりました。「以前は野菜料理の下ごしらえの湯を沸かすことも大仕事で、弁当の出来上がる時間から逆算すると、深夜に起きざるをえませんでした。いつも寝不足状態で・・・」と苦笑いの奈津佳さん。「また、以前はエアコンの冷風が調理する際に出る熱で熱風に変わり、室温はグングン上昇。夕方にはスタッフ全員、心身共にぐったり。芯まで熱くなった体のほてりを冷やすため、近くの谷川に飛び込んだこともあります(笑)」と振り返ります。IHコンロの導入で、スタッフの体の調子が良くなり、体調によって微妙に変化していた味付けが1年を通して安定し、いつでも絶妙なやさしい味を提供できるようになりました。
IHコンロはフラットな設計のため、清掃が簡単になり、ゆとりのある作業スペースを確保できました。また、新たに急速冷凍庫を導入したことで、食材の長期保存を可能にしました。
作業時間が圧倒的に短縮され、「YOME厨房」の今後の展望についても考える時間ができたようです。次の夢は、トラックの運転手や郵便配達員たちが気軽に立ち寄れる食堂を開くこと。一日も早い実現を期待したいですね!





住所 |
徳島県名東郡佐那河内村上字幸田66-7 |
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電話番号 | 090-1170-3698 |
https://www.facebook.com/yometubo |