「ナガヤプロジェクト」は、平成26年に徳島市の住宅街の一角でスタート。
古い長屋をベースとした、どこか懐かしい雰囲気の空間に、雑貨店、図書館、古本屋、革小物工房などが入っている。
長年、空き家になっていた建物を活用できないかと考えたオーナーの吉田絵美さんを中心として、
さまざまなジャンルの個人商店が集まった同プロジェクトを紹介する。
かつての面影をそのままに…
古くて新しい「ナガヤ暮らし」
錆びたトタンや木の窓…。
息を吹き返した懐かしい空間
東京で雑貨バイヤーとして活躍していた吉田絵美さんが徳島県三好市の地域おこし協力隊として帰郷したのは、平成23年のこと。仕事で各地のクリエイターなどを訪ねるうちに「東京以外の地域にも面白いものがたくさんある」と感じ、改めて地元である徳島県の魅力に気付いたのがきっかけだという。協力隊の任期中「うだつマルシェ」という新しい取り組みをスタートさせるなど、地域の活動をサポートしてきた吉田さんが、3年間の任期終了を契機に始めたのが「ナガヤプロジェクト(以下:ナガヤ)」だ。
舞台となるのは、徳島市にある昭和30年代に建てられた長屋形式の建物。吉田さんの祖父母が所有する長屋を「高校時代は古い・暗いとしか思わなかった」というが、改めて見直すと模様入りの窓ガラスやトタンを重ねたツギハギなど、現代の住宅では見られない魅力があった。「住居としては現代の生活スタイルに合わなくても、お店やアトリエとしてなら懐かしい空間と密接な距離感が生きるはず」と考えた吉田さん。まるで昔の“長屋暮らし”のように隣人同士が助け合う感覚でお店を運営できればと、これまでの活動で出会ったクリエイターや地域の人たちに声を掛けた。10年ほど空き家だった建物全体に耐震工事を施し、北側の1棟(むね)を吉田さん自身が雑貨店兼喫茶として改築。南側の2棟は呼びかけに応じた人々がそれぞれで修繕し、平成26年9月にオープンした。

互いのスタイルを守ってつながる
「おとなり」同士の付き合い
吉田さんが営んでいる雑貨と喫茶の店「nagaya.(ナガヤ)」の裏手にある2棟の長屋に入っているのは、誰もが気軽に立ち寄れる図書館や革小物作家のアトリエ、ウェディングプランナーの打ち合わせルーム。さまざまなジャンルのクリエイターが、それぞれ異なるペースでこの場所を活用している。
作品を制作する場として使い、月1〜2回展示販売や革を使ったワークショップを行う革小物作家の鳥居たか子さんは、入居当時は子どもたちを中庭で遊ばせながら制作することもあったそう。「うちの子どもたちとちょうど一回り違うので、鳥居さんに子育ての不安を聞いてもらうことも多いんです」と吉田さん。隣り合った古本屋のオーナーは、新生児を育てているとあって最近は不在がち。そのため、誰かが宅配便を受け取っておいたり、頼まれた本をお客さまにお渡ししたりすることもあるという。遠方からのお客さまもいれば、近隣の方が「昔住んでいた長屋を思い出す」と足を運ばれることも。定期的にプログラミング教室も開く図書館には小学生も集う。そんな中で、自然と関わり合い助け合うのが「ナガヤ」らしさになっている。
取材時も「台風大丈夫だった?」と吉田さんの父・吉田肇さんが顔をのぞかせると、みんなが集まって修繕の相談が始まった。「雨戸が開きにくい? じゃあちょっと見てみよう」と不具合箇所を見に行く肇さんもどこか楽しそうだ。
「ナガヤ」では、さまざまな立場の人たちが、「おとなりさん」の感覚でつながる。この現代版の長屋で、これからも新しい人と人とのつながりが生まれていくだろう。





お問い合わせ
住所 |
徳島県徳島市沖浜町大木247番地 |
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電話番号 | 088-635-8393 |
URL | http://nagayaproject.com/ |
メール | emiyoshida80@gmail.com |
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URL | https://instagram.com/nagaya.tokushima/ |
メール | karappo.ippai@gmail.com |
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URL | https://twitter.com/AdamtoKubo |
メール | toritohitsuji@gmail.com |
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